もし運転中に冠水・水没したらどうする!? まさかの時のためのサバイバル術を伝授!

運転中の冠水・水没に対する知識は身に付けておこう

記憶に新しいところでは、九州北部を襲った豪雨被害があり、被害に遭われた地域の一日も早い復興を願うばかりだ。しかし、今回の豪雨で被害の無かった地域でも、道路の冠水などは決して他人ごとではない。

特にニュースにもなるような局地的な大雨の場合、日本全国どんな地域であっても冠水被害に遭う可能性がある。運転中の冠水による立ち往生や閉じ込めなどは、誰にでも起こる危険であり、まだまだ台風シーズンが続くからこそ、冠水や水没に対する備えと知識を身に付けておきたいものだ。

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ドアが開かなければ窓ガラスを割るのが最善の策

まずは、JAFが行った興味深い実験映像から、クルマがどの程度水没したらドアが開かなくなるか見てみよう。

映像によると、浮力によって後輪が浮いている場合、ドアが開けられたのは水深30cmまでで、倍の60cmを超える水深ではドアを開けることができなくなっている。一方、後輪も沈み、完全に水没している状態では、時間は掛かるものの、なんとかドアを開けることができている。

動画内でも説明があるように、この差は車内外の水圧差によるもので、車内に水がある程度侵入してくるのを待てばドアを開けることは可能。しかし、後輪が浮くほどの水深に入ってしまうと、冷静でいられないのが普通し、万が一流れのある状態ではコントロールが効かず、ドアが開けられるようになるまで冷静に待つことは難しいかもしれない。

したがって、万が一30cm以上の深さにはまり、ドアを開けることができない状況に陥ってしまったら、窓ガラスを割って脱出するというのが最善の方法となる。

備えあれば患いなしの脱出用ハンマー

次の実験映像では、どんな道具を使えば窓ガラスを割ることができるのかを検証しているが、見ていただければわかるように、一見割ることができそうなヘッドレストや小銭では、窓ガラスを割ることはできない。さらに、不意の事態で冷静さを失っている状況では、さらに脱出が難しくなることも想像できる。

クルマの窓ガラスは、強度を考えて簡単に割れない構造になっており、車内から割るためには、できるだけ鋭利で固く、さらにしっかりと力を伝えやすいことが必要だ。そうなると、やはり脱出用のハンマーがもっとも安全、且つ確実に窓ガラスを割ることができる。車内に備えておいて損はないだろう。

少しでも危険を感じたら冠水した道路には侵入しない

脱出用ハンマーを使わなくてはならない状況に遭遇しないことが一番だが、何よりも、大雨の時は冠水している道路に侵入しないことがもっとも大切だ。街中の冠水しやすい場所である“アンダーパス”には、近年水深を判断できる目安が描かれている。また、道路上の掲示板などでも、冠水状況を伝えているため、大雨時に運転する場合は、そういったインフォメーションに十分注意したい。

だが、それでも「これぐらいなら大丈夫だろう」と、冠水している道路に侵入してしまう人もいるが、路面がはっきり見えなくなるほどの深さがある場合は、絶対に侵入してはいけない。なぜなら、路面状況がはっきり確認できなければ、実際どの程度冠水しているのかを見極めることが難しいからだ。

自動車整備士であり検査員資格を持っている筆者の経験では、水深が分からにまま冠水した道路に侵入し、立ち往生してしまったクルマを何台も見てきている。ドアが開かなくなるような深さでは命の危険があるのはもちろん、ドアが開く30cm以下の水深であっても、クルマに大きなダメージを与えてしまう可能性がある。

万が一エンジンが大量の水を吸い込んでしまうと、“ウォーターハンマー”という現象が起こり、最悪の場合エンジンが壊れてしまう。また、クルマには多くの電気部品が使用されているため、その場での被害が無かったとしても、浸水してしまったことであとあと大きな故障の原因になる可能性も大いにあるのだ。

命を守ることはもちろん、安全にクルマを使用するためにも、冠水している道路には侵入しないことがもっとも大切であるということを心得ていただきたい。

[筆者:増田 真吾]

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増田 真吾
筆者増田 真吾

和太鼓とROCKを愛する自動車ライター。国産車ディーラー、車検工場でおよそ15年自動車整備士として勤務したのち、大手中古車販売店の本部業務を経験。その後、急転直下で独立しフリーの自動車ライターに転身。国家資格整備士と自動車検査員資格を保有し、レースから整備、車検、中古車、そしてメカニカルな分野まで幅広い知見を持つ。昔の彼女が付けた肩書は「熱血太鼓車バカ」。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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