SUVの次に流行るクルマって何? 世界のモーターショーから見えた答えとは

モーターショーを見れば、ちょっと先の未来が見える

「次に売れるクルマは何か」というのは、ユーザーならずとも自動車メーカーやメディアにとっても大いに気になるところだろう。

そこで大きなヒントになるのが、”モーターショー”だ。メディアやユーザーが注目する場で、自動車メーカーが次世代のアイデアをコンセプトカーとして提案し、その反応を見る。反響があれば市販化を考えるし、そうでなければ次のアイデアを模索する。今より1歩、2歩先の自動車の未来を予感させるのがコンセプトカーなのだ。

また最近では、中国やアセアンというアジア市場が急成長しており、そうした市場の動向が世界のトレンドに影響を与えるようになってきた。たとえば、近年の欧州の強烈なEV志向の背景には中国政府のEV志向の政策が影響しているのは間違いない。そのため、世界のトレンドを推測するにあたり、中国やタイやインドネシアといった国のモーターショーの様子を無視することはできないのだ。

世界トレンドを席巻し続けたSUV

実際に、過去5年ほどの世界各国のモーターショーでトレンドとなっていたのはSUVであった。「右を向いても左を向いてもSUV。SUV祭といった様相」という記事を何度も書いた記憶がある。そして、リアルワールドでの新車販売でも、SUVのヒットが目立つようになった。これは日本だけでなく、中国や欧州でも同じだという。ちなみに北米ではもともとSUVの人気が高く、「いまさらSUVブームとは言い難い」というだけで、SUVの販売はやはり絶好調だという。

そうした状況を鑑みて、「次にトレンドになるクルマは何か」を考えてみたい。

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最近のモーターショーのトレンドは電動化と自動化だ

次世代のキーワードは”CASE”

では最近の世界のモーターショーのトレンドは何かといえば、それは「CASE」だ。

CASEとは、2016年の秋のパリモーターショーでメルセデス・ベンツが発表した考えで、Cがコネクテッド、Aが自動運転、Sがシェアサービス、Eが電動化を意味する。

ディーゼル不正事件を機に、ドイツ勢はEV推し

ちなみにその1年前となる2015年秋のフランクフルトモーターショーの直後に、VWによるディーゼル不正事件が発覚。それまで「環境対策は、ディーゼルで」と言っていたドイツ勢が、1年をかけて大きく方針を電動化に方向転換してみせたのが、翌2016年のパリモーターショーであったのだ。

それからのドイツ勢の電動化の動きは強烈であった。世界各地で開催されるモーターショーにEVのコンセプトカーを数多く投入し、「これからはEVだ!」と喧伝。実際のところ、ハイブリッドで電動化を先んじていた日本ブランドのさらに先を行く姿勢を見せた。まだ、ろくに量産ハイブリッドも量産EVも市販していないのに、なぜそんなにもドイツ勢が強気になれるのか? と不思議に思うほどであった。

日米も自動運転に大きな関心

一方、自動化に関してはドイツ勢だけでなくアメリカからも、そして日本からも強く大きな関心が寄せられている。また自動化にはコネクテッド技術が欠かせず、さらに自動化の先に見えるMaaSといったシェアリングサービスの普及などが予想されている。そしてモーターショーには、コネクテッド化、自動運転化、シェアリング化、電動化を見据えたコンセプトカーが数多く登場するようになった。

つまりは、メルセデス・ベンツの提唱したCASEが、自動車業界の全体のトレンドとなっているのだ。

EV化されたSUVや超小型車、ミニバンなどが話題を集める

超小型EVによるシェアリング

とはいえ、CASEは次世代技術のキーワードであって、車種そのものではない。ではCASEを実現化したクルマはどのようなものになるのかといえば、自動運転できるEVの超小型車や箱型のミニバンだ。所有というよりもシェアリングでの利用が多いかもしれない。

超小型EVといえば「ホンダ e」が市販間近であるし、トヨタも軽自動車よりも小さい超小型EVを今年の東京モーターショーで発表するとアナウンスしている。また箱型のミニバンでいえば、昨年にラスベガスで開催されたCESでトヨタが「e-Palette Concept」を発表したのに続き、今年のCESでは数多くのOEMやサプライヤーが箱型のEVコンセプトを数多く出品していた。

ただし箱型のミニバンEVはシェアリングでの利用が中心になるだろう。そういう意味では、個人向けの新しいトレンドとなりえるのは、街乗り用の超小型EVではないだろうか。

大量の電池を搭載できるのはSUV

ちなみに街乗り用ではなく、ガソリン車同様に普段使いで乗れる車両の電動化を考えるとやはりSUVに利がある。SUVは大量の電池を搭載しやすいため、電動化に向いた車種と言えるのだ。そういう意味では、電動化が進んだ先でも、一般ユーザー向けの車種としてはSUVの人気は続くのではないだろうか。

アジアではミニバンが期待値大

またアジア限定ではあるが、ミニバン人気勃興の気配もある。慢性的に渋滞が多くクルマの平均速度の遅いアジアやアセアンでは、ミニバンがショーファーカーとして人気が高い。特にインドネシアでは、昔から日本製のミニバンの人気が高かった。しかし最近ではインドネシアに限らず、中国などでも日本製のミニバンの注目度が高まっているという。

ミニバンは電動化にも対応できるし、自動化技術が進めば、また別の意味で存在価値が高まる。アジア限定の陰のトレンドとして、ミニバンも期待できるのではないだろうか。

[筆者:鈴木 ケンイチ]

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鈴木 ケンイチ
筆者鈴木 ケンイチ

1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。最近は新技術や環境関係に注目。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)記事一覧を見る

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