サーブ 新型9-5 試乗レポート/岡本幸一郎(1/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
航空機メーカーを起源とするサーブ
世界に数ある自動車メーカーの中でも、サーブはかなりユニークな存在といえる。
その生い立ちからしてユニークなサーブは、1937年、ときのスウェーデン政府が軍用機の製造を目的に設立したのが起源。「SAAB」の社名の由来は、「Svenska Aeroplan AB(=スベンスカ アエロプラン アクツィエ ボラゲット=スウェーデン航空機株式会社)」の頭文字を取ったもので、シンボルマークである「グリフィン」は、鷲の頭と翼とライオンの胴体を結合させた架空の怪獣で、黄金の宝を守り、守護と強さを象徴するものという。
第二次世界大戦終結後まもなく、航空機メーカーであるサーブの一部門として自動車の生産を手がけるサーブ・オートモビルが1947年に設立。1950年には初の量産モデル「92」の市販を開始した。モノコックボディ、FFの駆動方式と、当時としては珍しい手法を採用したほか、CD値は0.5程度が当たり前だった時代に、0.32という現在でも通用する空力性能を風洞実験により実現するなど、航空機メーカーを起源とするサーブらしい特色を有していた。
ちなみにサーブは当初から現在にいたるまで、「9」で始まる車名を用いているが、これは「民間向けの製品」を意味するコードだ。また、サーブというとターボのイメージが強いが、その発端は、1977年発売の「99ターボ」で、量産車で世界初のターボエンジン搭載車であった。
ターボチャージャーというのは、空気の薄い上空でも出力を維持できるよう、吸入空気の密度を高めるための手段として開発された、もともとは航空機のための技術であり、サーブがターボに積極的であるのも航空機メーカーだった名残といえる。
翌1978年には、その後しばらくサーブの主力モデルとなる「900」を発売。ユニークなデザインとパワフルなターボエンジンにより人気を博した。さらに、1980年代中盤には高級車メーカーとしての道を模索し、ランチア、アルファ・ロメオといった高級ブランドを擁する伊フィアットとの合弁プロジェクトにより開発されたフラッグシップモデル「9000」を発売。これが1997年に登場する「9-5」へとつながっていく。
サーブが評価された、ひとつの大きな要因が独特のデザインにある。航空機メーカーを起源とすることを加持させる、空力を意識したエクステリアと、操作性に配慮したコクピット。さらに、シンプルで機能的で、かつ造形としても優れたデザインというのは、スカンジナビアンデザインの本質でもある。
これらが融合して、サーブは独特の世界を構築してきた。それは現在にいたるまでサーブの良き伝統として受け継がれている。
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