サーブ 新型9-5 試乗レポート/岡本幸一郎(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
走りにもサーブらしい独特の軽快感がある
実のところ2代目9-5というのは、GM傘下時代に開発されていたクルマであり、メカニズムの一部がオペル・インシグニアと兄弟関係にある。ただし、AWD機構やターボエンジンに関する技術や、内外装の作り込みはサーブ独自のものだし、素材が同じでもこれほどドライブフィールを違う味付けにできること、さらにはその味付けの巧さにも唸らされた。
誤解なきように述べると、オペルはオペルとして優れた部分を多々持っていることもお伝えしておこう。
これまでサーブ車に乗るたびに感じていたことに、独特の軽快感があるのだが、この2代目9-5も、ドライブするとサーブらしい趣を大いに感じさせてくれた。エアロで2トンに達しようかという、5mを超える大柄なクルマであり、オペルとの共有化もあって、さすがに今度は無理だろうと予想していたにもかかわらず、運転感覚としては、大きさや重さを感じさせない、持ち前の身軽な操縦感覚があった。
それは、軽くてクイックなステアリングや、走行抵抗の小ささなどからかもし出されているのだろうか。軽くてもステアリングの中立がフラつくこともなく、直進性はすこぶる良好で、接地感も高い。市街地では乗り心地にやや固さを感じるものの、それが高速道路ではちょうどよくなり、速度感覚をマヒさせるほどの安定感と、圧倒的なフラット感をもたらしている。
このクルマが本領を発揮するのは、やはり高速巡航時だろう。動力性能はエンジンの仕様相応。162kW[220ps]、350Nmの2リッター直4を積むヴェクター(4WDで車両重量1860kg)は、スペック的にはまずまずながら、少々無理しているという印象もなくはない。とはいえ、いずれも静粛性は高く、4気筒のヴェクターでも、それほど上質感は損なわれていない。その点、221kW[300ps]、400NmのエアロのほうがパワフルでV6らしい上質なフィーリングが得られるだけでなく、低速トルクが十分にあるので運転しやすい。
2WDのヴェクターのコストパフォーマンスも捨てがたいが、筆者がオススメするのは、クルマにキャラクターとの相応しさも含め、エアロのほうだ。
こうして新型9-5に触れて、一時はどうなることかと心配したサーブがなくなってしまわなかったことに、あらためてよかったと安堵した。価格も手頃とは言い難く、非常にニッチなクルマには違いないが、この味に期待する人にとっては、しっかりとその期待に応えている。
触れて直感する、ああサーブだなという感覚は、走ってみてなおさら強いものとなる。まさに、サーブファンのためのクルマである。現在抱えている問題が解決され、サーブが今後もユニークで面白いクルマを世に送り出し続けてくれるよう、切に願うところである。
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