ポルシェ ケイマンS 試乗レポート/金子浩久(2/2)

ポルシェ ケイマンS 試乗レポート/金子浩久
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都内および富士スピードウエイ往復試乗

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試乗した黄色いケイマンSは6速MT版。たくさんのオプショナルが装備されていた。

電子制御可変ダンパーのPASM(ポルシェ・アクティブサスペンションマネージメントシステム)をはじめとして、バケットシートやスポーツクロノパッケージ、カーボンセラミックブレーキ、20インチタイヤとホイールなどスポーツドライビングのための装備が満載されている。

リクライニングしないスポーツシートは足の短い筆者にとって、ハンドルとシートの張り出しの間隔が狭くなるから乗り込むのにひと苦労だ。シートを後ろに下げれば少しは乗り降りしやすくなる。

クッションが薄く、左右の張り出しが大きなシートは“座る”というより“収まる”という感覚だ。

スパルタンな乗り心地を覚悟していたが、杞憂に終わった。小さな段差や舗装のつなぎ目などはタイヤとサスペンションが細かく滑らかに動いて吸収してしまう。PASMでスポーツモードを選んでも、基本的には変わらない。

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クラッチを踏んでマニュアル変速を繰り返しながら街中を進む限りは、ケイマンSは平和そのものだ。

エンジンはアイドリングストップも行う。だから、エンストを起こしてしまっても、副次的な御利益でクラッチペダルを踏み込めばその場でエンジンは再始動する。

高速道路で感心させられたのは、コースティング機能だ。すでにカイエンやボクスター、911などにも装備されているが、一定速度の巡航状態に入ったとクルマが判断すると、クラッチが切れエンジンがアイドリング状態になる。少しでも燃費を稼ぐためである。

10秒以上続く時もあれば、すぐにクラッチがつながって回転数が上がる時もある。いずれも、走行状態をクルマがモニターしていて、エンジン回転数と車速、ステアリングの直進状態、路面の傾斜などを演算して決めている。

そんな様子だから、高速道路でもドラマは起きない。様子が大きく変わるのは、山道に入ってからだ。

ダイレクトな感覚でドライバーと一体化する

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空いた山道でスロットルペダルを深く踏み込んでいくと、4500回転辺りを越えたところで排気音の音質と音量が一変する。乾いた 炸裂音が鋭く響き渡り、タコメーターの針はより速く回り込もうとする。レッドゾーンは7400回転。

路面を手の平でダイレクトにつかみ、両足で蹴り飛ばすような加速が始まり、一段そしてもう一段とシフトアップしていくとエンジンサウンドの高まりとともに車速も高まっていく。

コーナーを前にして踏み込むブレーキも絶品だ。車体が前のめりになるのではなく、下に沈み込むように減速していく。

真骨頂はコーナリングだ。

ステアリングの切り始めは軽く滑らかで、ノーズが向きを変えていくのに比例して手応えが増してくる。その同期がピタリと一致しているので一体感がとても大きい。

3本のペダルを踏みながらスピードを調整し、ステアリングを切ってコーナーを回ることが喜びに直結している。そういうクルマは他にもあるけれども、ケイマンSほどダイレクトな感覚でドライバーと一体化するものは、他には知らない。

あらゆる操作が滑らかで、上質で緻密。走行モードとPASMの切り替えで、スパルタン過ぎることもない。新型ケイマンSはピュアスポーツとしての洗練度をさらに向上させた。

それは滋味溢れるGT化が進む911とは、ケイマンとボクスター兄弟が袂を分かったことを意味している。

獰猛な小型ワニという車名の由来通りに、ケイマンSは人間が素手では捕まえられないくらいに素早っこく走り回るスポーツカーだ。純粋にドライビングを追求したい人には正面から向き合ってもらいたい。その世界は奥深い。

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金子 浩久
筆者金子 浩久

モータリングライター 1961年東京生まれ。 自動車と自動車に関わる人間について執筆活動を行う。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』など。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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