ポルシェ カイエンSハイブリッド 試乗レポート/金子浩久(2/2)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:ポルシェジャパン
パフォーマンスとエコを両立させているスポーティなハイブリッドカー
実際に、ライプツィヒ近郊のアウトバーン14号線の速度制限が無い区間で試してみると、条件が整うとフッと(音こそ立てないが)エンジンが停まり、そのまま走り続ける。
タコメーターの針がストンとゼロまで落ち、聞こえて来るのはタイヤノイズだけになる。これも、今まで体験したことのない不思議な感覚だ。本当に、ヨットやウインドサーフィンでsailingしているような気分になる。
エンジン回転を止め、システムから切り離すことによって燃費を稼ぐのがこのモードの目的である。
速度が落ちて来たり、加速が必要な状況に入ったとクルマが判断すると、クラッチがつながり再びエンジンが掛かる。周囲の状況によっては、頻繁にエンジン停止を行う。気を付けてチェックしてみたが、運転中にエンジン停止とクラッチの断続を体感することは難しかった。
タコメーターの針が落ちるのを見て知るのが精一杯で、クラッチは極めて滑らかに断続を行っていた。
カイエンSにこそ及ばないが、加速も速く、0-100km加速は6.5秒。0-160km加速は16.5秒。乗り心地やハンドリングなども軽快感こそ感じられないが、概ねカイエンSやターボに準じている。
カイエンSやターボと異なるのは、加速時のフィーリングと音だろう。
SやターボがポルシェのV8らしい精密な回転感と音を発しているのに対して、Sハイブリッドはスーパーチャージャーを組み合わせているためか、やや透明感に欠ける点が興を削ぐ。
アウトバーンを下り、一般道を走れば、当然、赤信号ではアイドリングストップを行う。車内は、静寂そのものだ。エコを訴求するだけのハイブリッドカーが多い中、カイエンSハイブリッドはパフォーマンスとエコを両立したスポーティなハイブリッドカーに仕上がっている。
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