ポルシェ 911カレラ4&カレラ4S 海外試乗レポート(1/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:ポルシェ・ジャパン
後輪駆動と4WDモデル 一体どちらが優れているのか
総面積がわずかに2平方kmにも及ばない、ヴァチカン市国に次ぐ世界第二位の小国。人口はおよそ3万2千人で公用語はフランス語。宗教はカトリックで主な産業は観光業……と、ガイドブック風に連ねてみればこういう事になるものの、自動車ファンにとってみればそれよりもF1レースやモンテカルロ・ラリーでお馴染みというのがモナコ公国だ。
独自の切手をも発行する独立国とは言え、現実には旅行者にとっては限りなく「南仏の一部分」という感覚が抜け切らないのがこの地でもある。実際、最寄りのニースの空港へと降り立ちそこから海岸沿いの道を東へと向かって移動を始めると、多くの人は一体どこがフランスとの国境線だかも気がつかないうちに世界屈指の華やかさを誇るモナコの中心街へと辿り着く事になるはずだ。もちろん、検問ゲートがあるわけではないし、通貨が異なることもない。当然道路標識などもフランス語のままだ。
5月に開催されたF1グランプリ用の仮設スタンドの撤去作業がいまだに続くそんなモナコの地――正確には、街を一望する高台に建ったホテル――を舞台に開催されたのが新型ポルシェ911カレラ4、カレラ4Sの国際試乗会。911の歴史上初めてカレラ/カレラSという異なる排気量のモデルが同時にリリースされた後、カブリオレ、そして今回の4WDモデルと997シリーズは予想通り、そのバリエーションを着々と拡充中だ。
こうして常に新鮮なニュースを提供し続け話題性を途切らせないようにするのは、スポーツカーの売り方を知り尽くしたポルシェならではの戦略でもある。日本のスポーツカーの場合、リリースの時点ではそれなりに気合いの入った作品(クルマ)を作り上げても、その後に話題性を継続させる努力を行わないため、たちまち話題の新鮮度が下がりそれゆえに販売台数もジリ貧になってしまうという例が多く見られるのは何とも残念。
その点、世界の大きなモーターショーが開催される度に必ず何らかのニュースでファンの気持ちを揺さぶるポルシェやフェラーリは、「スポーツカーにとって、顧客の気持ちを引きつける事がいかに大切かを心底わかっている」と思わせるブランドだ。
1988年に登場の964型以降、911のラインナップに加えられ続けているカレラ4シリーズ。ハイパワー・エンジンを搭載したモデルが、不足するトラクション能力を引き上げる目的から4WD化を行うというのは巷には良く見られる手法。が、後輪の上に荷重がタップリと載ったRRのレイアウトの持ち主ゆえ、911の場合の4WD化は単なるトラクション能力の補完という事とは少々意味合いが異なるのが特徴。
RRレイアウトの持ち主が、そもそものリアヘビー・バランスのために通常時にはアンダーステアを示しやすく、一方でブレーキングや下り坂によってその重量バランスが前寄りになった途端に前輪グリップが増してオーバーステア気味の挙動を示す“リバースステア”の傾向を持ち気味というのは知られているところ。そう、ポルシェではそんな911というモデルが宿命的に備える習癖を改善するひとつの手段として、そもそも4WD化に取り組んだとも考えられるのである。
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