日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー(5/5)

日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー
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意味のないダブルボギーはない

最後に、座右の銘の話になると、宮本丈司はこう話しだした。

【日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー】

【宮本丈司】いろいろあって、決めきれないでいるのですが…いま、これまでを振り返って思うのは、電気自動車開発に携わるため日産に入社したとはいえ、ご承知の通り電気自動車開発には波があって、自分の想いとは裏腹に他のテーマの研究もしてきました。

たとえば、ディスプレイや、職場についてなど…。しかしそうしたことが、そののち役に立っているのです。ですから、いつも部下たちに言うのは、やりたいことを目指して入社してきても、必ずしもそれに直結しない場合もあるので、自分の想いとは別の仕事に就くことになっても絶対無駄にならないから一生懸命に取り組めと。一見、畑違いと思えることでも、いずれ必ず役に立つ。クルマの開発は、総合技術の結集なので、あらゆる技術で出来上がっていく仕事です。

また、失敗も糧になる。そんなことをあるところで言ったら、友人がそれを聞いて「意味のないダブルボギーはないってことだな」と。なかなかうまいことを言うなぁと思って、それがいまは頭に残っています。

さて、ヨーロッパの自動車メーカーも電気自動車開発に本格的にのりだし、市販へ向けた実証実験を重ねている。リチウムイオンバッテリー開発も熱を帯びている。競争相手の動向をどう見ているのか?

【日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー】【日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー】

【宮本丈司】まず、リチウムイオンの次は何かという話がありますが、何か突破口が現れる可能性はあるにしても、リチウムイオンバッテリー以外はこの先20~30年は無理ではないかと感じています。同時に、リチウムイオンバッテリーの理論的限界は見えています。ただし、その限界に到達できていないのが現状です。

この先20~30年は、リチウムイオンバッテリーを使い切る競争になるのではないでしょうか?リチウムイオンバッテリーは、民生用からはじまっているので、民生用の競争環境を見ていると、あの凄さが電気自動車用リチウムイオンバッテリーにも来るのかな?という気もします。

とはいえ、ちょっと違うのではないかと思うのは、信頼性の面です。とくに、いくつものバッテリーを組み合わせて使うところに知見が必要で、そこは、まだ世の中でよくわかっていないだろうと感じるのです。

アメリカの自動車メーカーで不具合が起こりましたね。信頼性の確保をどう考えるかという、自動車メーカーごとの思想も関わってくるでしょう。民生用リチウムイオンバッテリーと違い、多数の組み電池として使う際の信頼性確保にあるという実態が明らかになるまでは、表面的な数字の競争から、あっちがいい、こっちがいいという話は出てくるでしょう。それでも、日産が実績を示せないといけないとは思っています。

トヨタが、プリウスを世に出してトップに立つまで10年近くかかっています。そういうものだと思います。ライバル企業ではありますが、彼らの取り組みに対しては敬意を払っています。

まだ売ってもいない段階で、研究開発や実証実験を基に、性能の優劣が語られることが多い。急速充電規格についても同様だ。「口では何でも言えますよね」という、宮本丈司の言葉に全面的に同意である。

リーフの背景には、リチウムイオンバッテリーだけでなく、電気自動車に関する膨大な知見が、積みあがっていると思う。それが、日産の大きな財産であり、電気自動車における優位性でもある。END

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御堀 直嗣
筆者御堀 直嗣

1955年東京出身。自動車ジャーナリスト。玉川大学工学部機械工学科卒業。1978年から1981年にかけてFL500、FJ1600へのレース参戦経験を持つ。現在ではウェブサイトや雑誌を中心に自動車関連の記事を寄稿中。特に技術面のわかりやすい解説には定評がある。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。また現在では電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副会長を務める。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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