DESIGNER'S ROOM vol.3 NISSAN SKYLINE CROSSOVER 渡辺誠二(2/4)
- 筆者: マリオ 二等兵
- カメラマン:島村栄二
ラグジュアリーなクーペと、ラグジュアリーなSUVとのパーフェクトフュージョン、完璧に調和されたもの、というイメージで作ってきたとのことですが、SUV車に与えられがちな、いわゆるクロカン4WD的な無骨さはあまり感じられません。これも意図的なものですか?
スカイラインらしいパフォーマンスの表現に加えて、強調したのはエレガンスです。
無骨なクロカン的雰囲気は、あえて一切入れませんでした(笑)。ただし、やはりこういうスタイルのクルマだと、時にはオフロード走行に駆り出される場合もあり得ますので、悪路における走破性能はしっかりと確保しています。
実際、アメリカで先行して発売したインフィニティEXでは、4WDを選ばれる比率がかなり高くなっていますからね。決して見た目だけのシティユースオンリーのクルマではありません。
多くのSUVユーザーさんは、砂漠などの実際に本格的なSUVが求められる場所へ行くわけではないですが、「イザという時には少々の悪路でも走行できる」という潜在性能に対する期待は抱いていますからね。
クロスオーバーは、SUVならではの見晴らしの良さと、どこへでも行けそうな多様性に加えて、クーペの持っている非日常的な自分を演出できる魅惑的な要素を同時に表現できるデザインとしました。
クーペをそのまま持ち上げて、という安直な発想ではなく、ちゃんと4枚ドアがあって、人や愛犬がゆったりと乗れて、長距離でも乗員みんなが寛げると言う点にも当然注力しました。
スカイラインはセダンがプロフェッショナルなビジネスライク、クーペはスポーツ、そしてクロスオーバーはフリーダムという、それぞれの個性に合わせたイメージを演出することに成功していると思います。内装については、基本的な造形はスカイラインのものを踏襲していますね。シート表皮などの素材はグレードアップしていますが。
内装でも、走るマシーン的なコックピット感覚よりはむしろ大人の遊び心をくすぐる様な魅惑的で上質な空間を目指しました。
新しいジャンルのクルマとして、スカイラインというブランドをより拡張していくため、乗れば、今までとは違った新しい生活を想像してもらえるような雰囲気を高めています。
ところで、近年の日産車を見ていると、車種のジャンルを問わず、総合的なデザイン力は一歩抜きん出ているように思えてなりません。御社はデザイナーさんの数が他社よりも多い、というイメージがありますが。
日産ブランドとしての一貫性と、日産デザインとしてのダイバシティというテーマを掲げています。
マーチのような小型車から、大型の高級車、そしてGT-Rのような特殊なスポーツカーまで、ラインナップは多様性に富んでいるので、様々な個性をもったデザインが生まれ、それをまた統制していく必要もあります。ですから自ずとある程度の人員が必要になってきます。
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