ミニバンやSUVだってキャンピングカーになる!<セレナ・デリカD:5・フリード・カングー・CX-5> [JCCS2017]
- 筆者: 遠藤 イヅル
- カメラマン:オートックワン編集部
国産キャンピングカーのベースは、圧倒的にトヨタ ハイエースだが
2月2日(木)~2月5日(日)まで幕張メッセのホール1~ホール4を使用して開催された「ジャパンキャンピングカーショー2017」(JCCS2017)。昨今のRV市場、キャンピングカー市場の広がりを受け、今年は300台以上のキャンピングカーが展示され、大いに賑わった。
キャンピングカーの中心は国産車を国内ビルダーが架装したモデルだが、その中で圧倒的なシェアを誇っているのがトヨタ ハイエースのバン、しかもワイド&スーパーロング仕様の車内をキャンピングカーに架装するバンコンバージョン仕様のキャンピングカーだ。
ハイエースのワイドは幅広ボディとはいえ1.9m以内に収まる全幅で取り回しもOK(限界はあるが、案外狭い道にも入って行ける)で室内も広く、キャンピングカーにはうってつけ。国産車のためアフターサービスや部品の確保にはもちろん問題がなく、現行モデルの200系は2004年に登場していることもあってアフターマーケットも充実していることなどが、高いシェアを保っている理由なのではないかと思う。
ライバルの日産 キャラバンの先代モデル(E25型)にはワイドの設定が無かったということもあるだろう。ハイエースを徹底的にマークして開発された現行型NV350キャラバン(E26型)ではようやくワイドボディが登場したことから、キャンピングカーショーでは近年キャラバンのキャンピングカーも以前より少しずつ増え始めている印象。逆にNV350キャラバンにはナローボディ仕様でもハイルーフ設定があったりして、それをウリにしたキャンパーもあるくらいだ。
ミニバンをベースに新車ディーラーが独自開発したキャンピングカーに注目
でもハイエースやキャラバンは商用車なので、ミニバンをベースにしたキャンピングカーがあったらなあ、という声に応え、キャンピングカーショーでもいくつかミニバンや乗用ワゴンのキャンピングカー仕様も出展されていた。架装しているビルダーも、国内メーカーのディーラーで手がけているケースが多いのも特徴だ。
1994年に日産プリンス販売株式会社の関連会社としてオープンして以来、20年以上のキャンピングカーの架装・販売の実績を持つ日産プリンス東京販売直営のキャンピングカープロショップ、日産ピーズクラフトは、早速デビューしたばかりの新型セレナをキャンピングカーにした「セレナ P−SV」を初披露した。
旧型モデルから継続されたポップアップルーフは新型の2トーンカラー(オプション)に合わせて黒く塗装され精悍な印象。純正用品かと見違えるほどデザインにマッチしたルーフなので、閉じている時もスタイリッシュだ。商用車ベースの「いかにもキャンピングカー!」という感じがしないのも、女性ユーザーなどにはむしろ好ポイントになるのではないだろうか。
ポップアップルーフに2名、車内のセカンド&サードシートを倒しオプションのアンダーベッドを載せて2名、合計4名が快適に車中泊可能だ。エンジン停止中の電源や暖を取ることに関しては、オプションでFFヒーターやサブバッテリーを用意していることで解決している。
また、もう一台の展示車、NV200バネットをキャンピングカーにした「TOURDO STAR(ツールド・スター)」は、さらに気軽にキャンピングカーを楽しめる仕様になっている。
外観は輪をかけてキャンピングカーらしい雰囲気が無いが、モダンなデザインのソファー形状のセカンドシートを後ろ向きにして、サイドラックを左右に備えたサードソファーシートと向かい合わせにすればダイネットスペースがあっという間に完成、車中泊時はセカンド&サードシートを展開して大人2名用ベッドに、サイドラックの上にオプションの上段ベッドを設置すれば子供が2名横になれる空間が現れる。見た目とは違い、このモデルも本格的なキャンパーなのだ。
ワイルドな「デリカD:5」はキャンピングカーとの相性が良い
三菱のディーラーでは、三菱車をキャンピングカーに架装する西尾張三菱自動車販売株式会社が有名である。三菱を代表するミニバン「デリカD:5」にルーフテントを設けたキャンピングカー仕様『デリカD:POP』に注目だ。
テント内には2名が就寝出来るスペースを持つ。また純正のセカンド・サードシートを倒し、オプションのベッドを敷けば、さらに2名が車内でも過ごせるようになっている。キャンピングカーの定番であるバタフライシートへの換装はあえて行わず、普段使いも出来るノーマルシートのままアレンジ出来ることにこだわったという。補助電源にはソーラーシステムとサブバッテリーをオプションで設定している。
ちなみにこのデリカD:POPをベースにバタフライシートを加え、ベッド使用時の機能性を高めた「デリカD5クルーズ」(ケイワークス/愛知県豊橋市)というモデルもあるので、使い方に合わせ比較検討したいところだ。
「デリカD:5」は1BOXワゴンなのにRV風のスタイルと悪路走破性を持ち一世を風靡した、あの「デリカスターワゴン」や「デリカスペースギア」の伝統を受け継いだワイルドな印象を持つ。さらにクリーンディーゼルモデルの設定もあって、長距離ドライブ派からの支持もアツい。そんなD:5のアクティブなイメージと、アウトドアの代名詞であるキャンプのイメージがぴったりマッチして、とても魅力的なモデルに映った。
「フリード」のキャンピングカーは 「気軽」「楽しい」「ちょうどイイ!」
愛知県下で輸入4輪車・2輪車のディーラーを多数持ち、ホンダのディーラーも経営するホワイトハウスは、キャンピングカーの輸入やキャンピングカーの製作も行っており、今回のキャンピングカーショーでもデビュー間もない新型「ホンダ フリード+」のキャンピングカー仕様『FREE STYLE』などを展示していた。
「FREE STYLE」の屋根上ポップアップルーフは大人2名がゆったりと横になれるベッドスペースを備え、ホワイトハウス独自仕様の回転フロントシートを後ろに回せば、車内はリビングスペースにもなる。プライバシーカーテンで窓を覆えば、小さなフリードでも立派なキャンピングカーに早変わりだ。荷室の床が就寝時には折り畳んで収納出来るフラットクッションマットを敷くだけで良い。寒さ対策もしっかりしており、エンジンを切ってもFFヒーターを床下に備えた「エア・ヒーターシステム」で車内を暖めることが出来る。
フリードはコンパクトで使い勝手の良いミニバンなのはご存知の通りだが、さらにしっかり車中泊も出来るキャンピングカーとなれば、フリードの持っている可能性はもっと広がる。誰でも気軽にキャンピングカーライフが楽しめそうだ。
ちなみにホワイトハウスブースではほかにも「ステップワゴン」や軽ハイトワゴンの「N-BOX+」ベースでもポップアップルーフ仕様を用意している。街乗りでも苦にならないサイズで日常での買い物や仕事、ドライブなどへの使用はもちろんのこと、イザとなればキャンピングカーに早変わりするミニバンベースのキャンピングカーは、見ているだけで楽しい気分になる。次世代キャンピングカーとして、このような「コンパクトでキャンピングカーらしくないのに、実はキャンピングカー」が盛り上がるかもしれない!
アクティブさに輪をかける! ルノー カングーのキャンピングカー仕様がデビュー
同じくホワイトハウスが会場で初披露したのが、ルノー・カングーのキャンピングカー仕様「KANGOO POP」だ。
カングーは元来ルノーの商用ボンネットバンでありながら、優れたハンドリングや乗り心地、ポップなデザインと商用車ゆえの優れた使い勝手から乗用仕様が日本で大ヒット。発売以来未だに多くのカングーファンを生み出し続けている、ルノー・ジャポンの看板モデルである。
カングーはアウトドアやスポーツを楽しむユーザーにも人気があるため、ホワイトハウスでは「本気で遊びたいというニーズに応えよう」ということで、同社が得意とするポップアップルーフを搭載したカングーベースのキャンピングカー「KANGOO POP」を開発したという。
ポップアップルーフ以外にも用途によって形を変えることができるマルチリビングベッドやギャレーなどの「本気で遊ぶ大人をサポートする機能」が満載。カングーらしさ、カングーの魅力を倍増させるモデルとなっている。
ポップアップルーフには大人2人がゆっくりと寝ることが可能なほか、車内は対座リビングや大人2人の就寝など用途によってさまざまに形を変えることができるマルチリビングベッドやスライド式ギャレーを備えている。
市販化に期待! CX-5に“カラクリ”ルーフ
また、1979年に設立以来マツダの特装車部門を担当するほかショーカーの製作なども行っているマツダE&Tは、マツダ CX-5の先代モデルをキャンピングカー仕様にした「CX−5ポップ・アップ・ルーフ・コンセプト」を参考出品した。
面白いのは架装ベースが中古車ということで、「キャンピングカーのベースは新車でなければならない」ということはないのだなあ、と思った。
構造としては一般的なポップアップルーフを屋根上に展開してベッドルームを作る方法なのだが、実はCX−5のようなSUVスタイルのキャンピングカー仕様はあまりない。というのも、ポップアップルーフは中で大人が横になるため、180cm以上の結構な屋根の長さが必要になる。そうなると必然的にポップアップルーフは、ミニバンや屋根の長いモデル(例えばステーションワゴンなど)にしか採用することが出来ないのだ。スタイリッシュなCX-5ならなおさらのこと難しいはず。
そのためマツダE&Tが開発中のポップアップルーフは、上部&前部に展開するとテント部が拡大し、大人が就寝出来るサイズを確保する設計を採用。これによってSUVのルーフ長におさまるキャンピングカー用ポップアップルーフを実現させた。展示車にはそれをアピールするように、ポップアップルーフ部に横になった大人のシルエットパネルが用意されていた。カラクリシートならぬ、カラクリルーフ!?
同社では「走って、曲がって、泊まれるSUV」を謳うが、これってよく考えると「ありそうで無かった」コンセプトなのだ。
まだ開発中で試作段階のCX−5ポップ・アップ・ルーフ・コンセプトだが、今回のキャンピングカーショーでの反応を見て市販を検討したいとのこと。SUVベースのキャンピングカー、しかも中古車ベースという新しいアイデアの具現化を期待したい。
[レポート:遠藤イヅル/Photo:オートックワン編集部]
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