[試乗]売れてる日産 セレナ、もうひとつの顔”Rider”(ライダー)の魅力に迫る(3/3)

背高スタイルながら安定感は保たれている

操舵感は反応が鈍めで、峠道ではクルマの向きが変わりにくい。現行セレナはプラットフォームを先代型と共通化しており、ライバル車のステップワゴンやヴォクシー＆ノアに比べて床が70mmほど高い。高重心だから、操舵感を鈍く抑えてバランスを取った。車両の動きは鈍くても後輪の接地性は優れ、全高が全幅を上まわる縦長のボディでありながら、直進時を含めて安定性の不満は感じにくい。

乗り心地は硬めで、路上の細かなデコボコを拾いやすい。タイヤは前述の16インチで、銘柄はブリヂストン エコピアEP150であった。指定空気圧は280kPaで、車両重量が重いミニバンの中でも高めだ。転がり抵抗を抑えて燃費を向上させるため、乗り心地の悪化を招いた面がある。タイヤが路上で細かく跳ねる動きをもう少し抑えると良い。走行安定性と乗り心地は、標準車では同サイズのタイヤを履いたハイウェイスターに近い。

日産はセレナ ライダーの販売に力を入れており、試乗車を配置したディーラーもある。標準車と乗り比べて判断するのが良いだろう。

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セレナ ハイウェイスターとライダーはどこがどう違うの！？

なお、試乗した日産 セレナ ライダー オーテック30周年特別仕様車の価格は348万840円だ。セレナ ハイウェイスター G(301万1040円)に比べて約47万円高い。この金額で外観がライダー専用になり、本革シート、寒冷地仕様や前席クイックコンフォートヒーター(オプション価格は7万2360円)などが加わる。

大雑把な価格換算としては、本革シートなどの内装関連が15万円、外装が25万円(ライダー ダイナミックエクステリアパッケージ／8万6400円を含む)、これにオプションの約7万円を加えて約47万円の価格差が構成された。

このセレナ ライダー オーテック30周年記念特別仕様車(348万840円)に、サイド＆カーテンエアバッグや運転支援技術のプロパイロットを含んだセーフティパックB(ナビ取り付けパッケージを含めて27万円)、カーナビ本体(約29万円)などを加えると総額は約404万円だ。税金や自賠責保険まで含めると約429万円に達する。

割安感を重視するならハイウェイスター プロパイロットエディション(291万6000円)などを選ぶのが良いが、セレナ ライダー オーテック30周年記念特別仕様車には、本革シートなど独自の上級装備もセットした。エルグランドやヴェルファイア＆アルファードで上級仕様を選ぶと、税金などを含めた総額は500万円以上だが、セレナなら約429万円で最高峰のグレードが手に入る。このように考えるユーザーなら、選ぶ価値を見い出すだろう。

それにしても、装備が充実したことで売れ筋ミニバンの価格もかなり高くなった。アベノミクスといわれながら所得がほとんど増えない悲しい状況を思うと、需要が軽自動車やコンパクトカーに移るのも理解できる。

「いつかはセレナライダー」。ちょっと豪華でスポーティーな2リッターエンジンのミニバンが、今では憧れの存在なのかも知れない。

[レポート：渡辺陽一郎／Photo：茂呂幸正]

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日産 セレナ ライダー オーテック30周年特別仕様車 プロパイロットエディション[FF] 主要諸元

全長x全幅x全高：4845x1755x1865mm／ホイールベース：2860mm／車両重量：1730kg／駆動方式：前輪駆動(FF)／乗車定員：8名／最小回転半径：5.7m／エンジン排気量：1997cc／エンジン最高出力：150ps(110kW)/6000rpm／エンジン最大トルク：20.4kgf-m(200N･m)/4400rpm／モーター最高出力：2.6ps(1.9kW)／モーター最大トルク：4.9kgf-m(48N･m)／動力用主電池：鉛酸電池／トランスミッション：エクストロニックCVT(自動無段変速機)／タイヤサイズ：195/60R16 89H(前後)／サスペンション形式：(前)ストラット式(後)トーションビーム式／メーカー希望小売価格：3,616,920円[消費税込]