日産 ムラーノ 試乗レポート(2/2)

イメージよりもよく走る2.5リッターエンジン

試乗車は上級の250XVグレード。ドライブすると軽快な走り味が好印象。もともとムラーノは比較的大きな車体のわりに軽快な走りを身上としているが、2WD化により80kg軽くなったことによる恩恵は感じられる。

1.7トンを超える車重に2.5リッターエンジンという組み合わせからイメージするよりもずっとよく走る。乗り心地もよく、静粛性に優れ、キャビンの快適性はいたって高く保たれている。

全体のドライブフィールは、乗用車と比べても遜色ない印象で、これほど大きなクルマながら、一体感のある走りにはスポーティな感覚すらある。ムラーノが世界中で高く評価されているのは、デザインだけではないことをあらためて感じさせられた次第である。

ただし、CVTの変速の制御が、4WD車のもう少し大きな車重を視野に入れているせいか、やや飛び出し感がある。また、3.5L車には備わるマニュアルモードが付かないところは、コストを考えると仕方がないのだろうが、ちょっと残念。

10・15モード燃費の公表値は、4WDが11.0～11.4km／L、2WDが11.6km／Lとわずかに向上しているが、エコカー減税や補助の対象となっていないのも惜しいところではある。

そんなムラーノだが、これまでもデザインに魅力を感じても、価格が高くて手が出ないという人は少なくなかったらしく、なにはともあれ低価格グレードが追加され、選択肢が広がったことは、ユーザーにとって朗報に違いない。

300万円を切るかどうかというのは、受け取る側の印象としてはずいぶん違うはずだし、4WDは必要ないという人もいるだろう。冷静に考えると、4WDと2WDの約18万円という価格差はそれほど大きいわけではないのだが、これまでムラーノを選択肢から外していた人にとっても、今回追加された2WD車であれば検討に加わる可能性も高まったのではないかと思う。

あるいは逆に、低価格グレードが追加されたことでムラーノに興味を持ち、もう少しのプラスアルファで優れた4WD車が買えることを知り、そちらを選ぶ人もいるはずだ。

いずれにしても今回のグレード追加は、ムラーノのバリューをあらためて見直す、いい機会になったといえるだろう。