日産 GT-R 2011年モデル Black Edition 試乗レポート/岡本幸一郎(3/3)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
性能向上と大きな走りの洗練が図られた2011年モデル
「世界最高のマルチパフォーマンスと意のままに操る快感」をテーマに開発された2011年モデルでは、性能向上とともに走りも大きく洗練されている。
エンジンは、これまでも十分に速かったところ、さらに速くなった。数値が示すとおり、以前より一気に50ps近くもパワーアップしているわけだが、実際のフィーリングもずいぶん変わって、低~中回転域のピックアップが向上し、高回転域での伸び感も上がっている。しかも10・15モード燃費は、従来の8.3km/Lから8.5km/Lに向上しているし、JC08モードのほうが8.6km/Lと、10・15モードを上回るほど。
さらには、駆動トルクを最適化し、シフトスケジュールを変更することで、燃料消費量を抑えるという「SAVEモード」が新設されていて、市街地で乗るには、このSAVEモードのほうが走りやすく感じられたぐらいだ。
シャシーもマイナーチェンジでここまでと驚かずにいられないほど、かなり多岐にわたって手が入れられているし、ボディにはアルミハニカム入りカーボンコンポジット製ストラットバーやサポートメンバーを追加して剛性UPを図っている。これらによるドライバビリティの向上は明白だ。
従来は気になった乗り心地の粗さが改善され、直進安定性も高まっているし、いささかタイヤの接地性が損なわれやすかった部分についても、スプリングやダンパーやブッシュの進化や、サスペンションジオメトリーをミリ単位で見直したおかげで、限界域の挙動も安定感が増している。得られたものはけっして小さくないのだ。
乗り心地については、単に快適性を問うと評価の分かれるところだと思うが、筆者としては、こうした超高性能車において、性能にプライオリティを置いた結果、それなりにハードなものとなっていることは納得がいく。
まもなくドイツのニュルブルクリンクで、次期2012年モデルの最終仕上げのため、長期にわたるテストとタイム計測が行なわれるとのこと。2011年9月初頭の執筆時点でのGT-Rの最速タイムは、2011年モデルが約1年前に一部ウェットながらマークした7分24秒22だ。
これはクラブトラックエディションやスペックVといった特殊なモデルではなく、GT-Rの標準的な市販モデルを、スリックタイヤを履かせたクルマで行なうわけではなく、あくまで市販状態と同じクルマで行なったものであり、それは今後も同様だ。そして、テストで得られた内容は、すぐさま11月から生産される2012年モデルに投入される。
衝撃の登場からまもなく4年が経過し、4年分の進化を遂げるGT-Rの2012年モデルは、どのようなクルマに仕上がり、ニュルをどんなタイムで走ることができるのだろうか、実に楽しみだ。
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