日産 新型 フーガ 3.7GT TypeS[2015年マイナーチェンジ] 試乗レポート/渡辺陽一郎(1/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
今も昔も、高級車の基本は「セダン」です
最近は「ホンダ ヴェゼル」、「マツダ CX-3」などのSUVが注目されている。車種数が激減したスポーティークーペも、「ダイハツ コペン」、「ホンダ S660」、新型「マツダ ロードスター」とコンパクトな車種が発売され、人気を盛り返しそうだ。
ならばセダンはどうなのか。保守的なジャンルのようにいわれるが、かつては「クルマの基本形」とされ、今でも見るべき点は多い。全高は1500mm前後が上限だから、重心を低く抑えられる。後席とトランクスペースの間には隔壁があり、ボディ剛性を高めやすい。
セダンの「低重心&高剛性」は、走行安定性、乗り心地、静粛性を向上させる上で有利になる。だから今でもメルセデスベンツ/BMW/アウディといった欧州の高級ブランドには、セダンの品ぞろえが豊富だ。
もちろん日本車にもセダンは多く、日産を代表する車種としては、「フーガ」と「スカイライン」が挙げられる。2015年2月に、フーガがフルモデルチェンジを受けたので、少し時間が空いたが試乗してみたい。
賛否両論!? スカイラインに続き「インフィニティ」マークを日本にも導入
まずはマイナーチェンジの変更点だが、外観ではフロントマスクが大きく変わった。従来型のグリルは横方向にメッキのスリットを配置したが、新型ではメッキの縁取りの中に、ブラックのメッシュグリルを収めている。スポーティーな雰囲気を強めた。
そして日産のエンブレムは、インフィニティに付け替えられた。現行スカイラインと同様の変更だ。インフィニティのエンブレムは賛否両論で、開発者は「プレミアムセダンとしての表現」だという。ただしそれならば、インフィニティのエンブレムを付ける意味を明確に発信しないとユーザーには分かりにくい。「スカイラインの変更で文句が出たのは、一部の中高年齢層だけだった」ともいわれたが、エンブレムに向けた関心とこだわりが薄いためだろう。
日産はフーガ、スカイライン、今後はシーマなどにもインフィニティのエンブレムを装着して、プレミアムセダンのグループを確立させたいのだろうが、実現は難しい。日産の特徴は、コンパクトカーの「マーチ」、ミニバンの「セレナ」、スーパースポーツカーの「GT-R」、そしてフーガという具合に、いろいろなクルマを幅広くそろえることにあるからだ。同様のことがトヨタやホンダにも当てはまる。仮に欧州車のようにブランドイメージを統一させるなら、レクサスと同じく独立したブランドにするか、「CX-5」以降のマツダのように、クルマ造りに共通性を持たせねばならない。
ただし独立したインフィニティブランドにすれば、スカイラインの名前が消滅したり、取り扱い店舗数が減ってマイナスも生じてしまう。またマーチからGT-Rまで、日産車に共通性を持たせるのも難しいだろう。
日産の国内市場に対する冷淡な姿勢の表れか
だとすれば従来と同じように、フーガはラグジュアリーセダン、スカイラインはスポーティーセダンのイメージリーダーに据えるのが効果的だと思う。そもそも我々が住んでいるのは日本だから、海外とは日本メーカーに対する認識が違う。日産とトヨタは誰でも知っていて、インフィニティやレクサスが上まわることはできない。日本におけるメーカーの伝統を考えれば、1970年代初頭のオイルショックから普及を開始した海外のブランド戦略は通用しない。
にもかかわらずフーガとスカイラインは、インフィニティのエンブレムを付けた。これは今の国内市場に向けた日産の姿勢を象徴しているように思える。もはや日本がホームグラウンドという意識は薄れ、北米、欧州、中国などと同じく、市場のひとつに位置付けるようになった。
だからダウンサイジングの市場傾向に基づき、軽自動車を三菱と共同開発した。以前とは取り組み方が違う。日産にとって日本は成熟した市場で、優先順位も下がり、2014~2015年にかけて新型車がほとんど登場していない。
日本のユーザーとしては寂しいが、それだけにフーガのマイナーチェンジは注目される。機能を大幅に向上させたからだ。
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