オーテックオーナーズグループ(AOG)湘南里帰りミーティング2014【オーテックジャパン&ニスモ 代表取締役社長 宮谷正一氏インタビュー編】(2/2)

  • 筆者: マリオ 高野
  • カメラマン:茂呂幸正・和田清志・オートックワン編集部/インタビュアー: 山本シンヤ
オーテックオーナーズグループ(AOG)湘南里帰りミーティング2014【オーテックジャパン&ニスモ 代表取締役社長 宮谷正一氏インタビュー編】
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オーテックとニスモはライバルではない

オーテックオーナーズグループ(AOG) 湘南里帰りミーティング2014 【オーテックジャパン&ニスモ 代表取締役社長 宮谷正一氏インタビュー編】

山本:ベース車が同じでも、両者は競争ではなく協調していく。お互い別の道を進むというわけですね。

宮谷社長:特にニスモのロードカーは車種が限られますからね。現状では、なかなか良いラインナップになっているとの手応えはあります。

GT-R、フェアレディZ、エルグランド、ジューク、マーチ、ノート……。将来的に次はどのモデルをベースにするなど、今後のことはもちろん名言できませんが(笑)

かつてのように、オーテック製コンプリートカーの投入の予定はあるのか?

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山本:セレナはニスモにはないけど、オーテックにはある。反対に、同じモデルでニスモとオーテックの両方が設定されることはありえますか?

宮谷社長今後、もし仮に同じ車種に設定したとしても、両者はそれぞれ違うパフォーマンスになります。今も、エルグランドは両ブランドとも設定されているのですが、違う方向にしてるつもりです。

山本:最近のクルマを見ていると、ニスモとオーテックがライバル関係になっているようなイメージを抱いていて、これから両者がどのように進化していくのか気になっているファンは多いと思いますが、これからは個性も性能もキッチリ分けて行くという話で安心しました。

今日の里帰りミーティングに集まったユーザーさんを見ていると、走行距離が20万キロを超えた人が1割ほども居られますよね。オーテック車は長く乗り続けたくなる良いクルマが多いことを証明していますが、逆にいえば、次に新しく乗り換えたくなるクルマが見当たらない状態にあるといえる気がします。

たとえば、マーチ12SRには、後継としてマーチニスモがあるわけですが、オーテックからニスモにブランドが変わっているので、直系の後継モデルにはあたらず、今ひとつ乗り換えにくいのではないでしょうか。

スカイラインにもオーテック車の後継がありませんから、古いスカイラインのオーテック車のユーザーさんは、買い替えたくてもクルマがないのが現実です。

オーテック車として絶大な支持を集めた過去のモデルの、オーテック車としての新型を投入することについてはいかがですか?

オーテックオーナーズグループ(AOG) 湘南里帰りミーティング2014 【オーテックジャパン&ニスモ 代表取締役社長 宮谷正一氏インタビュー編】

宮谷社長:そもそも、ベースとなる基準車のコンセプトが変わって行きますから、コンプリートカーも時代に合わせて変わっている、ということなのです。

今のスカイラインでいうと、昔とはまったく性質の違うクルマになりましたから、昔のスカイラインと同じようにはできません。これからもベース車は変わって行くので、我々はそれに合わせて検討して行くだけです。もちろん、収益面も考えた上での検討を重ねて行きます。

たしかに、オーテック車のお客様の中には、今のニスモブランドではなく、本当の意味での後継車が欲しいという方もおられると思いますが、ニスモブランドに変わって良くなるところもあります。エンジンや吸排気など、チューニングするレベルの拡大は、日産自動車のプログラムであるニスモだからできることなのです。

山本:ニスモのクルマは日産自動車のプログラムの一環ならではの利点があると。では、オーテックのメリットはどこにありますか?

宮谷社長:大組織にはない小回りですね。簡単にいうと、企画を早く決めて早くクルマを作れることです。大組織である日産自動車のプロセスでは長くかかるものでも、オーテックではグッと早く実現できるということは大きな強みになります。判断も決断も実行も早い。自分たち(オーテック)で決められることもメリットです。

有志のオーテック社員がクルマを作る「ワクワクモータース」の活動に期待

オーテックオーナーズグループ(AOG) 湘南里帰りミーティング2014 【オーテックジャパン&ニスモ 代表取締役社長 宮谷正一氏インタビュー編】

山本:なるほど。そんなオーテック社内で、技術の伝承のため「ワクワクモータース」という取り組みがあります。現場の人はこれをプロダクトしてやりたいと思っているようですが、社長としてはどうお考えですか?

宮谷社長:基本的に推奨していますが、彼らは上からやれといわれてやっているのではなく、自分たちがやりたいからやってるのが素晴らしいですね。良い活動としてサポートはしています。

ワクワクモータースとは?:オーテックジャパン「ワクワクモータース・チガサキ」マーチ ボレロR 試乗レポート/山本シンヤ

山本:ファン目線からすると、オーテックの人たちが楽しんで作ったクルマに乗ってみたい、所有したいという気持ちが強いのですが、「ワクワクモータース」が作ったクルマの市販化についてはいかがですか?もちろん、現状のまま市販することはできないと思いますが、社長ご自身、ひとりのクルマ好きとしての印象についてもお願いします。

オーテックオーナーズグループ(AOG) 湘南里帰りミーティング2014 【オーテックジャパン&ニスモ 代表取締役社長 宮谷正一氏インタビュー編】

宮谷社長:将来的に市販に繋げるかどうかについては何ともいえませんが、様々な方向性でこれからも論議していきます。

先日、ワクワクモータースが作ったクルマをとある走行会に持ち込んだのですが、トヨタやホンダのレーシングドライバーが興味津々でしたね。クルマが好きな人の興味を強く惹くのはわかっているので、なんとかうまくやれる方法を模索していきます。

現状でもナンバーを取得しているので公道を走ることはできますし、まったく世に出せないレベルではないにせよ、オーテックの量産車としてお客様に提供するには安心や保証も必要ですから、まだまだ課題は多いです。ただ、ワクワクモータースの活動が将来のオーテック車にエッセンスとして注入されることはあるかも知れません。

山本:今後のオーテック車に期待しています。本日はありがとうございました。

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マリオ 高野
筆者マリオ 高野

1973年大阪生まれ。免許取得後にクルマの楽しさに目覚め、ヴィヴィオとインプレッサWRXを立て続けに新車で購入。弱冠ハタチでクルマローン地獄に陥るも、クルマへの愛情や関心は深まるばかりとなり、ホンダの新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、ダイハツ期間工(アンダーボディ組立て)などを経験。2001年に自動車雑誌の編集部員を目指し上京。新車情報誌やアメ車雑誌の編集部員を経てフリーライターとなる。編集プロダクション「フォッケウルフ」での階級は「二等兵」。記事一覧を見る

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