スバルの新型WRX S4は2.4リッターエンジン搭載で登場! パワーは下がっても足回りの改良など走って楽しい1台に仕上がっている【試乗&解説】

  • 筆者: 竹花 寿実
  • カメラマン:堤 晋一
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モータースポーツ、特に世界ラリー選手権(WRC)で勝つことを目的に、1992年に生まれたスバル WRX。来年は初代の登場から30周年を迎えるWRXは、これまでに4世代がリリースされ、世界中にコアなファンを生み出し続けている。

そのセダンモデルである新型WRX S4が2021年11月25日(木)にフルモデルチェンジされた。2.0リッターターボエンジンから2.4リッターターボエンジンが搭載されたことなど中身の面で大きく進化を果たした新型WRX S4をサーキットコースで試乗する機会を得た。新旧での走行性能の違いを解説しよう。

目次[開く][閉じる]
  1. 排気量を拡大したエンジンを搭載するも、パワー自体は下がっている!?
  2. 上質な回転フィールでアクセルペダルを踏み込んだ瞬間から感じるレスポンスの良さ!
  3. トランスミッションやダンパーなどの装備でさらにスムースな走りを実現

排気量を拡大したエンジンを搭載するも、パワー自体は下がっている!?

新型WRX S4は、そのデザインからもすぐに気付くが、昨年デビューした2代目スバル レヴォーグと基本設計が共通の4ドア・スポーツセダンである。いまや世界的にも珍しい、CセグメントのAWDスポーツセダンである新型WRX S4は、「AWDパフォーマンスカーとしての“究極の一体感”」を目指して開発された。

具体的には、レヴォーグで実現した“新時代に突入した、SUBARUの走り”を基本に、新開発の2.4リッター水平対向4気筒DOHC直噴ターボの搭載や、変速速度を大幅に短縮したCVT“スバル・パフォーマンス・トランスミッション”の採用、ハンドリング性能をさらに高めるAWDシステム“スポーツモード付きVTD”の採用、そしてレヴォーグ以上に走りのキャラクターを変化させるドライブモードセレクトにより、これを実現している。

先代モデルより最高出力は落ちたが、加速や応答性に優れている

FA24型2.4リッターターボはプレミアムガソリン仕様だが、最高出力が245馬力/5600rpm、最大トルクは375Nm/2000〜4800rpmと、先代モデルの300馬力、400Nmには及ばない。だが低回転域から高トルクを発生させるトルク特性と、電子制御のエアバイパスバルブおよびウェイストゲートバルブ、またエンジンとトランスミッションの協調制御により、先代を超える加速性能と優れた応答性を実現。パフォーマンスは確実にアップしている。

レヴォーグと同様に、フルインナーフレーム構造や構造用接着剤を用いたスバルグローバルプラットフォームを採用する新型WRX S4は、先代比でねじり剛性が28%、フロント横曲げ剛性は14%向上。さらにサスペンションストローク拡大(フロント5%、リア20%)やマスオフセット低減(6%)、2ピニオンパワーステアリング採用、全幅が1825mmとなる事をいとわずに採用した245/40R18サイズのパフォーマンスタイヤ(ダンロップSPスポーツマックス600A)により、ハンドリング性能とロードホールディング性能を高め、極めて優れた操縦安定性も手に入れている。

上質な回転フィールでアクセルペダルを踏み込んだ瞬間から感じるレスポンスの良さ!

今回は発表に先駆けて、10月中旬に千葉県の袖ケ浦フォレストレースウェイで、プロトタイプによるサーキット試乗の機会があった。当日は先代WRX S4のSTIスポーツも用意されており、実際に走りの進化ぶりを体験することができた。

先代VA系のSTIスポーツは、デビューから7年が経つが、継続的に改良が施されてきただけに、2021年秋の時点でステアリングを握っても、その走りに古さを感じることはない、2.0リッターターボは勢いよく吹け上がり、パンチの効いた加速を披露する。ハンドリングもキレ味抜群で、ボディの剛性感も申し分ない。

2代目レヴォーグの走りを体験してしまった身としては、CVTの制御に若干時代を感じるものの、今でも十分に現役として通用するモデルという印象だ。

最上級グレード「STIスポーツR」は先代とは明らかなレベルの違いを感じさせる

だが新型WRX S4 STIスポーツRに乗り換え、ピットレーンで動き出した瞬間、先代とは明らかにレベルが違う、動的質感の高さが全身を包んだのだ。2.4リッターターボはとても上質な回転フィールで、アクセルペダルを踏んだ瞬間からタイムラグなしにトルクが立ち上がり、クルマはスッと軽く前へ転がり始め、スバル・パフォーマンス・トランスミッションはダイレクト感を感じさせながら、とても滑らかに変速比を変えていく。パワーステアリングは全く渋さのない操舵フィールで、適度な手応えの中にグリップ感を伝えてくれる。

ドライブモードセレクト「スポーツ+モード」に入れて、車速を上げてもその印象は変わらない。高速域からフルブレーキングし、減速Gを残した状態でステアリングを切り込むと、ノーズが素直に向きを変え、狙った通りのコーナリングができる。この時車体のロール量は最小限に抑えられ、明らかに先代より少ない。左右のコーナーが続く場面でも、リヤがしっかり付いてきて、挙動が乱れることもない。

トランスミッションやダンパーなどの装備でさらにスムースな走りを実現

このような走りには、スポーツモードでは先代以上に引き締められるZF製電子制御ダンパーや、LSDトルクを低く設定して差動制限を抑制することでアンダーステアを抑えるVTDが大きく寄与している。スバル・パフォーマンス・トランスミッションも、減速時にはブリッピングしながらシフトダウンし、横Gが立ち上がると変速比を固定してくれるので、スムースなコーナリングをサポートしてくれる。

オプションのレカロシートは身体をしっかりとサポートしてくれる

またレカロ社と共同開発したというスポーツシート(オプション)が、素晴らしい出来映えであることも特筆に値する。このシートが横Gが強くかかるときでもドライバーの身体をしっかりサポートするので、ドライバーの正確な操作を助けてくれるのだ。

ドライブモードセレクトの代わりにSI-DRIVEを搭載し、コンベンショナルなダンパーを装着したGT-Hは、STIスポーツRほどではないものの、やはり明らかにレベルアップした走りを見せてくれた。足回りが若干ソフトな設定で、コーナリング中のロール量が若干大きい(それでも先代より少ないが)ため、STIスポーツRほどアジリティは高くないが、それでも先代より格段にキレのある走りが楽しめた。

今回はクローズド・サーキットのみの試乗だったが、新型は一般道でも間違いなくレベルアップしたスポーティネスと上質な乗り味を披露することだろう。新型WRX S4は、再び世界から喝采を浴びることになりそうだ。

【筆者:竹花 寿実】

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樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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