BMW Z4 実燃費レビュー【総評編】(1/2)
- 筆者: 金子 浩久
唯一気になるハードトップによるトランクの使い勝手
Z4は先代から大きく様変わりしたが、現行型もBMWらしい“駆け抜ける喜び”に溢れていた。
前述の通り、高速道路ではパワフルでスムーズで味わい深いエンジンと賢いトランスミッションによって余裕にクルージングをこなし、ワインディングロードでは抜群の身体能力を活かしたコーナリングを繰り返していた。
走りだけではない。クールで機能的なインテリアなどは、Z4を所有するヨロコビにも溢れている。
しかし、疑問が残るところもあった。
それは、金属製の電動開閉式ハードトップによるものだ。一般道編の冒頭でも触れた通り、金属製ハードトップに変更したことによって、トランクが使いにくくなった。
「容量自体は、あまり小さくなっていない」と反論されてしまうかもしれないが、トランクの使い勝手は容量の数字ではなくて、形状が問題になるのだ。Z4のトランクは、ハードトップを閉めたクーペの状態では310リットル確保されている。オープン(開けた)状態では180リットルだ。
景色のいいところに差し掛かり、「ルーフを開けよう!」と誰でも思うだろう。そのためにオープンカーを買ったのだから。しかし、肝腎のところに来ても、あなたはルーフを開くことができない。なぜならば、ルーフを開けるためにはルーフを収めるトランクに十分な空間が確保されていなければならないからだ。
Z4の場合、130リットル分までの小さな荷物だったなら、開閉に支障がない。しかし、それより大きな荷物を積んでしまうと、開けたルーフを電動で畳んで収める空間を侵害してしまっているから、ルーフを閉めることができなくなってしまうのだ。
ああ、せっかくの景色を前にして、オープンカーに乗っているのにルーフを開けることができないなんて!あなたは、そう怒り、嘆き、悲しむかもしれないが、ルーフを開けるために下ろした荷物を他に積み替える場所はZ4にはどこにもない。
1シリーズや3シリーズのカブリオレならば、まだ後席に積める可能性が残されている。
長距離を走ることが苦にならないどころか、愉しみでもあるクルマ作りが成されているのに、遠くに行くために必然的に多くなる荷物が積めなくなる。これはいったい、悲劇なのか、喜劇なのか。
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