【燃費】マツダ デミオ XD [ディーゼル] 燃費レポート/永田恵一(5/5)
- 筆者: 永田 恵一
マツダ デミオディーゼル 燃費レポート/総評
【総合燃費】
マツダ デミオ XDツーリング Lパッケージ(6速AT)/22.4km/L
トヨタ アクアS(初期モデル)/26.3km/L
ホンダ フィットハイブリッド Fパッケージ/26.1km/L
マツダ デミオ13S Lパッケージ(6速AT)/18.9km/L
デミオディーゼルは、アクアに対しては若干、そしてフィットハイブリッド相手では絶望的にユーティリティ面では劣ってしまう。そして、前頁で記載した通りATではスピードが上がらないと上位のギアに入らず、燃費が伸び切らないという弱点があるのは事実だ。
だが、逆に言えばこの2つを除けば動力性能の高さ、高速走行における燃費の良さ、全体的なクオリティの高さといった強烈なアドバンテージを備えている。それだけに、デミオディーゼルが「欲しい」という方に対しては「すぐに買いに行った方がいいですよ」と勧められる。
また、興味がある方やアクアやフィットハイブリッドを検討している方に対しても、「せめて、ディーラーで実車確認と試乗だけはした方がいい。デミオディーゼルを知らなかったということだけはもったいない」とアドバイスしたい程の魅力を備えているコンパクトカーだ。
その魅力は、世界中のコンパクトカーのベンチマークとなっている「VW ポロ」と比べても、デミオディーゼルは「価格まで含んだ総合力で見れば勝っている」と言えば分って頂けるだろうか。
デミオディーゼルと他のコンパクトカーの燃料コストを比較してみる
その魅力を裏付けるべく、損得勘定を計算してみよう。まず、燃料コストをレギュラーガソリン 1リッターあたり「134円」、軽油は「114円」として総合燃費で計算すると、1万kmあたりのガソリン代はアクア、フィットハイブリッド、デミオディーゼルとも「約5万2,000円」である。つまり、マツダの「クリーンディーゼルはハイブリッドに対して燃費で若干劣っても、軽油の安さで燃料コストは互角に持ち込める」という主張は見事に実証されたことになる。
さらに、デミオディーゼルには筆者の愛車である「6速MT」という存在もある。そもそも、MT自体が万人向けとはいえないものの、6速MTなら個人の裁量やドライビングスキルという要素はあるが、6速ATのシフトスケジュールの難を一気に解消でき、その上で自分の意志でギアを選べて自らの操作で燃費を伸ばすことができる。さらに、時には圧倒的な動力性能の高さも楽しめるという魅力を備えている。
そして6速MTの燃費は、アクアやフィットハイブリッド並だと考えられる。つまり、デミオディーゼルの6速MTは、軽油の安さも加味すれば燃料コストがハイブリッドより安く済み、「エコ」で「楽しい」という相反する難しい課題を見事に実現しているのである。
また、デミオは(値引きなどを含む実売価格は別として)価格もクリーンディーゼル車の購入補助金と装備内容を考慮してハイブリッドの2台と比べると、フィットハイブリッドよりも若干安く、アクアに対しては15万円から20万円も安いなど、価格面でも強烈な競争力を持つ。
総合すると、「走行距離が多く」「リアシートを使う機会が少ない」ユーザーにはぴったりなコンパクトカーと断言できる。
では、デミオのディーゼルモデルとガソリンモデルとの燃料コスト比較では!?
ついでに、デミオのディーゼルとガソリンとの損得勘定も計算してみよう。
こちらも値引きなどを含んだ実売価格は別として、装備内容やクリーンディーゼルの購入補助金を加味すると価格差は「25万円」といったところ。 1万kmあたりの燃料コストはディーゼルが5万2,000円に対し、ガソリンは7万円、25万円の元を取るには14万kmの走行が必要になり、差額を回収することは現実的には難しいだろう。
しかし、中古車市場ではディーゼル車の価格は高く、処分する時に差額の半分程度を回収できることは十分期待できる。そんなことを考えると7万kmくらい走ればトータルで元を取ることは可能だ。
ただ所有中の走行距離が5万km程度の人だと(そういった人は市街地の走行がほとんどという人が多いだろう)、元を取れない可能性が高く、ディーゼルとガソリンで迷っているというならガソリンを選んだ方がいいだろう。
新型デミオは、日本が世界に誇れるコンパクトカーである。オーナーであるということもあるが、今後の改良などでさらなる飛翔を期待したい。
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