三菱 デリカD:5 公道試乗|先代も嫉妬!? 変わったのは顔だけじゃない!(2/3)
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:和田 清志
新型デリカD:5にPHEVが設定されない理由
新型デリカD:5でもうひとつ注目すべきはパワートレインだろう。
ラインナップは先代からの2.2リッター直噴ディーゼルターボがキャリーオーバーされるのみで、アウトランダーのようなプラグインハイブリッド(PHEV)は用意されない。
ここにまずトヨタとの天秤をかける人々や、アウトランダーの先進性に“未来感”を覚えた人々には軽い失望を覚えるかもしれない。もちろん筆者もそのひとりだ。
しかしデリカD:5が現時点でPHEVを搭載しないのは、車両価格の高騰を抑えるため。4WDをデフォルトとしたパッケージングにこれを搭載すれば、間違いなく400万円台後半から500万円台の大台へと届く。ミニバンとしてだけではなく、悪路走破性も大切にしたデリカD:5にとっては、それよりも既存のディーゼルターボを磨き上げることで、まずこれまでデリカD:5を愛してくれたユーザーたちに無理なく移行してもらう道を選んだのだと推測できる。
ちなみにGSプラットフォームにPHEV用のバッテリーや制御ユニットを搭載することは技術的には可能。車内スペースは多少犠牲になるが、その声が大きければ検討する考えもあるとは答えていたが、つまりは現状だとディーゼル・ターボのみとなる。
三菱初となる“尿素SCRシステム”を採用
そんな2.2リッター「4N14」ユニットは、構成部品の約5割が新規に改められ、主運動系機関の重量は17%の軽量化を達成した。ダミーホーニングを採用してシリンダー締結時の変形を防いだ結果、合わせてピストン/コンロッド/クランクシャフト形状の最適化までもが可能となって、大幅なフリクション低減が可能になったという。
さらにはアイドルストップなどのエンジン停止中にインジェクターが燃料を遮断できるようにしたことで、再始動時に燃圧を高める必要がなくなった。常時燃圧が掛かっている場合と再始動時に燃圧を高める場合でどちらの負担が大きいのかまでは計りかねるが、確かにスタート時のスムーズさには、現代的なディーゼルエンジンを感じることができた。
また三菱としては初の「尿素SCRシステム」を採用し、クリーン・ディーゼルとしての進化を果たした。ちなみに尿素の補充は走り方にもよるが、1~1.5万km毎になるとのこと。総合燃費はWLTCモードで12.6km/Lである。
使いやすさを優先するため最高出力/最大トルクを向上
興味深いのはこのエンジンで、最高出力が従来型の109kW(148馬力)/3500rpmから、107kW(約145馬力)/3500rpmへと下がっていることだ。対して最大トルクは360Nm/1500-2750rpmから、380Nm/2000rpmへと向上している。
これは見た目の数値よりも、実際の使いやすさを優先した結果だろう。
1500rpm付近での最大トルクはグラフ上からは350Nm付近と読み取ることができ、わずかに従来型よりもトルクは低い。しかしその加速感は、衰えていないどころからスムーズさも加わって快適だ。
その立役者となっているのは、従来の6速から8速となったスポーツモードAT。1速のギア比を8%加速重視とすることによって、出足の素早さが実現されていた。
またこの8速ATはトルクコンバーターのロック率がかなり意識的に高められているようで、変速時のダイレクトなつながり感が心地良い。さらにアクセルに対する滑り感が少ないため、人間の感覚に自然な加速感が得られる。この点はCVTや制御のあまいトルコンATに大きなアドバンテージを持つと思う。
もともとデリカD:5にはランエボ仕込みといえるステアリングコラム取り付け式の大ぶりなパドルが与えられていたが、こうしたピックアップの良さによって、新型はその見た目と走りがシンクロしたと言える。ピークパワーや絶対的な速度がものを言う時代が終わった今、こうしたトランスミッションの制御能力が、エンジン性能よりも大切になってきているのを痛切に感じた。
>>新型デリカには三菱らしさが凝縮されている! だが煮詰めしてほしい部分も…[次ページへ続く]
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