メルセデス・ベンツ Vクラス海外試乗レポート/川端由美(2/3)

  • 筆者: 川端 由美
  • カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
メルセデス・ベンツ Vクラス海外試乗レポート/川端由美
メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目) メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目) メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目) メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目) メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目) メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目) メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目) メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目) メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目) メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目) メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目) 画像ギャラリーはこちら

7速ATは素早い加速と燃費走行に貢献

メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目)メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目)

本国ドイツのラインナップは、ターボ付き2.1リッター 4気筒ディーゼル・エンジンが3機種。出力の違いで「V200 CDI」(136hp/330Nm)、「V220 CDI」(163hp/380Nm)、「V250ブルーテック」(190hp/440Nm)。そのうち、日本の厳しい規制をクリアして導入されそうなのは尿素SCRを搭載する「V250ブルーテック」だろう。2代目と同じRWDのプラットフォームを採用し、ATが従来の5速から7速になったのも朗報だ。

サイドサポートが張り出した大ぶりなシートに身を預け、エンジンをスタートする。北ドイツの美しい港町、ハンブルクを出発し、デンマーク国境を目指してステアリング・ホイールを切る。アクセルを踏み込むと、フロントに積まれる2ステージ・ターボ付き2.1リッターディーゼル・ユニットの最高出力は190hpと驚くには値しないが、1,400~2,400rpmの範囲で440Nmの最大トルクをフラットに発揮する。

7速ATの躾がよく、普段は1,500rpmに達する前にスッと早めにギアをあげて燃費走行に徹しているが、いざ、アクセルを踏み込めばどんな速度域からでも迅速に加速できる。全長5,140mm(発売時はロングのみ)のボディサイズを忘れて、パドルシフトを駆使して積極的に操るのも楽しい。

後席もゆったり座れ、長時間でも快適に過ごせるようさまざまな工夫がなされている

メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目)

アウトバーンを走りはじめてすぐに、静粛性の高さに感心した。中低速域のトルクに厚みがあるエンジンゆえに、いったん加速して巡航に入ってしまえば、エンジン回転数をごく低く抑えて粛々と走ることができる。空力性能は低燃費化に貢献するばかりでなく、風切音を低めることにも役立っている。

CLSと共通のフロントアクスルに補強を施し、ボディ剛性を高め、リアアクスルには従来のエアサスを廃止して、周波数官能式のダンパーを採用したことで、走りの質感が高まった。初採用の電動パワステは低燃費化に貢献する一方で、モーターをラック側に付けることで操舵時の違和感なく、低速で扱いやすく、高速でががっしりと頼もしいステアリング・フィールを作り出している。

メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目)メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目)

運転していて楽しいのは十分にわかったが、このクラスのミニバンで気になるのはやはり後席の快適性だろう。スライドドアを開けて後席に乗り込む。最大3列8人乗りのシートアレンジが可能だが、折角なら左右独立シートでゆったり座りたい。たっぷりした座面とサイドサポートが張り出したシートにくつろいで座っていると、長時間のドライブでも疲れ知らずだ。

前後に大きくスライドできるため、子供の成長や荷物の量にあわせてシート位置をフレキシブルに調整できる。2列めを反転させて、中央にあるコンソールからテーブルを出せば、ラウンジのようなくつろいだ空間が生まれる。現行モデルと比べると、格段に物入れも充実しており、後席にもカップホルダーや電源が備わるなど、長時間のドライブでも後席の住人が快適に過ごせるような工夫がなされている。

リアのハッチゲートを開くと、大人4人が乗った状態でも十分な容量を誇る荷室が備わる。RWDのプラットフォームを採用しているため、底床設計というわけではないが、バンパーレベルと同じ荷室フロアは、重い荷物も積み込みやすそう。上下にセパレートできるシェルフで使いやすく仕切ることもできるし、ガラスハッチだけ開けてさっと荷物を取り出せるなど、実用面もなかなか侮れない。

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川端 由美
筆者川端 由美

1971年生まれ。大学院 工学専攻 修士課程修了。1995年住友電工にて、カーエレクトロニクスやタイヤの研究にたずさわる。1997年、二玄社『NAVI』編集部に編集記者として転職。2004年からフリーランスの自動車ジャーナリストとなる自動車の新技術と環境問題を中心に取材活動を行なう。エンジニア、女性、自動車ジャーナリストといったハイブリッドな視点でリポートを展開する。国土交通省・独法評価委員会委員、環境省・有識者委員ほか。記事一覧を見る

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