メルセデス・ベンツ Vクラス海外試乗レポート/川端由美(1/3)

  • 筆者: 川端 由美
  • カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
メルセデス・ベンツ Vクラス海外試乗レポート/川端由美
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ミニバン大国ニッポンに、メルセデス・ベンツが殴り込みをかける

メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目)

ドイツの自動車雑誌の調査によれば、自動車オーナーの実に40%しか自分が本当に欲しいクルマには乗っていないらしい。自動車雑誌の読者で、しかもアンケートに回答してくれる人なんだから、当然、クルマ好きである。裏を返せば、世のクルマ好きの60%は、家族や仕事や趣味といった事情、あるいは予算の都合でクルマを選んでいるわけだ。

家族や仕事や趣味といった事情で選ぶクルマの筆頭にあるのが、ミニバンだろう。日本は世界でもまれに見るミニバン大国ということもあって、この分野では国産車メーカーが俄然強い。しかも、選択肢の幅も広い。

200万円前後の小型ミニバンから、300万円以上の大型ミニバンまで勢揃いしている。なかでも、トヨタ アルファード/ヴェルファイア、日産 エルグランドあたりの「LLクラス」は、かつての大型セダン需要のうち、”役員車”の需要を取り込んでいることもあって、最上級グレードでは600万円台、700万円台なんて豪華仕様もラインナップされている。

そんなミニバン大国ニッポンにメルセデス・ベンツが殴りこみをかけるモデルが、3代目となるVクラスだ。

3代目Vクラスは内外装の質感が高まり高級志向に

メルセデス・ベンツ 新型Vクラス(3代目)

現行モデルの日本価格が461万8,000円(税込み)であり、新型の本国価格が3万6050ユーロ(税抜き)であることを考えると、狙いは大型ミニバンの最上級クラスだ。

正直なところ、これまでのVクラスは”商用車ベースのミニバン”といった雰囲気から抜け出しきれなかった。初代はFWDのプラットフォームに2.4リッター直列4気筒エンジン+4ATを搭載して、いかにも”商用バン・ベースのミニバン”といったふうだった。2代目はヴィアノ(のちに、Vクラスに戻る)に車名を改めてRWD(後輪駆動)のプラットフォームを採用し、パワートレーンをV型6気筒エンジンに絞るなど、より乗用車らしく仕立てあげられてはいた。が、切磋琢磨の国産ミニバンと比べると、シートアレンジの豊富さや荷室の使い勝手などは分が悪い。

ところが、ジュネーブ・モーターショーで見た3代目Vクラスは、内外装の質感がぐっと高まって、高級ミニバンらしくなっていた。

エクステリアでは躍動感のあるスタイリングと最近のメルセデス・ベンツ一族に共通するフロントマスクが、乗用車らしさを強調している。開発にあたっては、商用車部門のチームに乗用車部門からもエンジニアが加わり、日本で絶大なシェアを誇る和製ミニバンも詳しく研究したという。

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川端 由美
筆者川端 由美

1971年生まれ。大学院 工学専攻 修士課程修了。1995年住友電工にて、カーエレクトロニクスやタイヤの研究にたずさわる。1997年、二玄社『NAVI』編集部に編集記者として転職。2004年からフリーランスの自動車ジャーナリストとなる自動車の新技術と環境問題を中心に取材活動を行なう。エンジニア、女性、自動車ジャーナリストといったハイブリッドな視点でリポートを展開する。国土交通省・独法評価委員会委員、環境省・有識者委員ほか。記事一覧を見る

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