メルセデス・ベンツ Gクラスまでもが電気自動車に!? 注目はエクステリアデザインと背面タイヤ設置部分の仕掛けにあり
- 筆者: 竹花 寿実
- カメラマン:山本 圭吾
2021年9月にドイツで開催されたIAA MOBIRITY 2021。コロナ禍ということもあり参加したメーカーはドイツ系ブランド中心であり、そのほとんどが電動化モデルであった。なかでも目立ったのは世界的に人気のオフローダーメルセデス・ベンツ Gクラスの電気自動車モデルEQGである。未だ発売時期などは明らかとなっていないが、完成度からするとそう遠くない未来に市販化が実現しそうな状況だ。そこで今回はメルセデス・ベンツのEQGについて現地でわかった情報をご紹介する。
もはやクルマだけでなく、IT企業までもが参戦! ミュンヘンモーターショーはモビリティショーへ変革
2021年9月7日~12日にドイツ・ミュンヘンで開催された「IAA MOBIRITY 2021」は、実際には中国在住者しか見ることが出来なかった4月の上海オートショーを除くと、「コロナ時代に突入後初の国際モーターショー」だったと言える。
半世紀以上に渡ってフランクフルトで開催されてきた「IAA Pkw(乗用車に特化した国際自動車展示会)」は、近年モーターショーを取り巻く環境の変化に対応仕切れず、前回の2019年で終了。新たにミュンヘンで「モビリティショー」として再スタートを切った。
モビリティショーはクルマだけにあらず! IT企業や自転車メーカーも参戦
会場はミュンヘン市郊外にあるメッセ・ミュンヘンが中心だが、市中心部にも「オープンスペース」と呼ばれる屋外展示スペースが設けられ、その間を一般道を規制して最新のエコカーを試乗しながら移動できる「ブルーレーン」で繋ぐという、これまでにない試みを行っていた。
また自動車メーカー以外にも、IT企業やMaaS系スタートアップ、マイクロモビリティ企業、そして100社を超える自転車メーカーなどが参加し、従来のモーターショーとの違いを感じさせるものとなっていた。
コロナ禍のためドイツメーカーがメイン! そして出展モデルはEVが当たり前に
自動車メーカーはドイツ系が中心で、GMやステランティス、ジャガー・ランドローバー、ボルボ、キア、スーパーカー/ハイパーカー系、そして全ての日本メーカーが不参加であった。そのためドイツのローカルイベントのような雰囲気になってしまったのは残念ではある。
だが感染状況が好転しつつあるとはいえ、まだコロナ禍であり、人が集まる所に行くのを躊躇する人がまだまだ多い中で、6日間の一般公開で40万人も来場したというのは、リアルイベントとしてのモーターショーの存在意義を示したと言えるだろう。
電動化社会のその後を見据えたモデルも目立つ
自動車メーカーの出展内容は、過去数年の主要なショーと変わらず「EV祭り」であった。だが各社ともニューモデルは当然のようにEVなので、そこにはもはや新鮮味はない。
むしろBMWが出展した、リサイクル素材100%とリサイクル率100%を目指し、循環型経済の未来におけるプレミアムカーの在り方を模索したコンパクトEVのコンセプトカー「iビジョン・サーキュラー」や、VWがお披露目した、2025年にわずか2万ユーロ(約260万円)という低価格での発売を計画している、若者向けライフスタイル系コンパクトEVのコンセプトカーである「ID.ライフ」といった、「電動化の次に求められるもの」の表現に新鮮さを感じた。
メルセデス・ベンツはまさにEV祭り! 高級サルーンを中心にクーペまでもが電気自動車に
一方、今回のショーの主役は完全にメルセデス・ベンツだった。プレスデイ前日には、ミュンヘン市内で世界中から数百人のメディア関係者を集めて、大規模な前夜祭を開催。ほかにも、メッセ・ミュンヘンとオープンスペースの両方に巨大でオープンな雰囲気のブースを構え、多くの来場者を楽しませた。
しかも、EQブランドにおけるEクラスに相当するEQEや、EQSのAMGモデル。近々登場予定のEQSのSUVバージョンをベースにしたマイバッハ版を示唆したコンセプト、AMG GT 4ドアクーペの超高性能PHEVバージョンなどなど、とても現実的で魅力溢れるコンセプトカーや市販予定モデルを、多数お披露目したのだ。
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GクラスのEVモデル「EQG」は2024年に市販化。LEDを多用したド派手な見た目に注目
なかでも強烈なインパクトを放ったのは、メルセデス・ベンツ コンセプトEQGだ。SクラスやSLとともに、メルセデスのアイコン的存在であるGクラスをベースにしたバッテリーEVのスタディである。
このモデルは、2024年には発売される予定であることもアナウンスされ、メルセデスは本気で全てのモデルを電動化しようとしている事を改めて印象づけた。
背面タイヤカバーの中身はタイヤじゃない!? EVならではの仕掛けも多数
そのコンセプトEQGは、ブルーのLEDを内蔵したフロントグリルや、ブラックパネル、2トーンのボディカラー、凝ったデザインの22インチアルミホイール。そしてスクエアな形状でコンパクトな背面ボックス(ここにはスペアタイヤではなく充電用ケーブルが内蔵されている模様)など、写真を見てもらえれば判るように、すでに生産型にかなり近い。
だが、現時点ではあくまでも「コンセプト・スタディ」であり、Gクラスとして認められるために必要な、オーストリア・グラーツ郊外にある標高1445mのシェークル山にある、最大斜度60度、距離5.6kmの伝説的なテストトラックにおける試験も完了していない。
EQGだって悪路走破性はしっかりキープ! しかも超低重心で走行性能爆上がり
しかし、悪路走破性能に関して心配する必要は全くなさそうだ。
EQGの基本骨格は、現行のW463型Gクラスと同じラダーフレーム構造で、はしご形のフレームの隙間にバッテリーを搭載するため、ICE(内燃機関)を搭載する既存のGクラスよりも低重心となる。
またフロントが左右独立のダブルウィッシュボーン、リアはリジットの前後アクスルには、各ホイールのすぐ近くに4つの電動駆動システムを統合。つまり4モーターの4WDなのである。
4つのホイールは、それぞれ個々に緻密な駆動力制御が可能となる。それだけでもトラクション性能は飛躍的に向上しそうだが、EQGではさらにローレンジモードを備えたギアボックスを搭載。
しかも前後とセンターのデファレンシャルロックもシミュレートできるというから、もはやオフロードで無敵の走破性能を実現するはずである。
EQGの最大出力は500馬力以上!? 内燃機関モデル同様にAMGバージョンも追加へ
「EQG」という車名は、じつは今から4年前の2017年にメルセデスは商標登録している。また「EQG 560」と「EQG 580」というモデル名もすでに登録済みである事が判明している。
彼らはEQGの詳細なスペックについて、現時点では明らかにしていないが、EQS 580 4MATICが最高出力523PS、最大トルク855Nmである事を考えれば、EQGも同等のスペックとなると想像できる。当然、さらにハイパフォーマンスなAMGモデルも搭乗するだろう。
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電動化は没個性にあらず。メルセデス・ベンツは伝統と価値をより強固なものに
クルマの電動化が進むと、個性的なモデルが減り、クルマの白物家電化にますます拍車がかかると見る向きもあるが、このコンセプトEQGを見るかぎり、メルセデスは逆に、これまで培ってきたブランドの伝統と価値を、一層際立たせる方向を目指しているように思える。
間もなくSLも新型にフルモデルチェンジすると噂されているが、こちらもどんなモデルとなるのか、とても興味深い。
【筆者:竹花 寿実】
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