マツダ 4代目「ロードスター」デザイナーインタビュー/マツダ株式会社 デザイン部 チーフデザイナー 中山 雅【DESIGNER’S ROOM】(4/5)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:小林岳夫
横からのフォルムでクラシックな魅力を表現
AO:ウインドスクリーンがこれまでより後方に移動していますが。
N:70㎜下げています。さきほど上から見た造形は時代を反映したと説明しましたが、横から見たときには逆にクラシックを表現したかったのです。ただドライビングポジションは早い段階で決まっていたので、ドアの位置は動かせません。現代のクルマはドアのヒンジ部分とウインドフレームの根元を一体として剛性を確保します。つまりウインドスクリーンをずらすとその部分が弱くなってしまうのですが、ここもエンジニアの人たちに頑張ってもらって実現できました。
AO:ソフトトップはルーフ部分にハードボードを内蔵しましたが、これもデザイナー側からの要件なのでしょうか。
N:もともとは空力のためですが、個人的にも高速道路で幌が膨らんでいるのはカッコ悪いと思っていました。そこで初めて、ソフトトップにもデザイナーがタッチすることになりました。ただ絵を描いて渡すだけではエンジニアの人たちが納得してくれないので、こちらでデータをしっかり出して、理由を説明しました。もちろん風のコントロールも計算に入れています。ドアの小さな三角窓は、これがないと巻き込みがひどくなるので、あえて装着しました。
エクステリアとインテリアを分け隔てなくデザイン
AO:ではインテリアに話を移しましょう。まず目が行くのはドアの上部にボディカラーを回り込ませたところですが、これもクラシックな表現ですか。
N:結果的にはクラシカルな雰囲気も出ていますが、当初の目論みは違っていました。通常、インテリアデザインはエクステリアと別々に進めるのですが、今回はフロントフードやトランクリッドとつなげて考えました。そもそもオープンカーには内と外の区別がないのが当たり前であり、前から後ろへと流れていくラインを連続させたかったので、この部分をボディカラーとしました。連続性を出すために、インパネの両端に小さな三角形のパネルを埋め込むという小技も仕込んでいます。コストを考えたら大変なことですが、なんとか説得しました。
AO:ロードスターのコンセプトのひとつに「アフォーダブル(手の届きやすい)」がありますが、話を伺っていると、新型はコストを度外視したデザインが目立つような気がするのですが。
N:たしかにヘッドランプをオールLEDとしたり、お金は掛かっています。ただスポーツカーはライフサイクルが長いので、10年後も旧くならない仕立てにしないといけません。しかもLEDなどの新技術は量産効果でコストが下がって一般的な装備になっていくでしょう。だからこそ進取の精神が大切なのです。そういう考え方を貫ける部分は、他の乗用車より恵まれているかもしれません。10年に一度しかモデルチェンジしないので、開発チームは部活っぽい雰囲気ですが、それを含めて許してくれるマツダという会社には誇りを持っています。
スポーツカーらしい演出など、もともと必要なかった
AO:インパネはアクセラやデミオの延長線上にあるという感じを受けたのですが。
N:そのあたりはイメージを共通させています。操縦のための空間と横方向への広がりの組み合わせです。そもそもロードスターのインパネはコックピットっぽくありませんでした。シートが低くセンタートンネルが高いので、囲まれ感を無理に演出する必要がないのです。そのうえでデミオで導入した運転席左右のルーバーの面を揃えたり、ブラッシュアップを図っていきました。
AO:シートも良い意味で肩ひじ張らない、スッキリした形をしていますね。
N:シートについては芯を通すという考えから、横方向のラインは入れないようにしました。ショルダー部分のサポートを盛り上げなかったのは、ソフトトップの開け閉めなどの支障にならないようにという機能的な理由もありますが、台形フォルムのボディで上がゴツく盛り上がっているのは妙だと思ったからです。オープンカーのインテリアは外から見えるものでありスタイリングの一部なので、美しさにこだわりたかったのです。
[スポーツカーデザインの素晴らしさ・・・次ページへ続く]
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