マツダ CX-60はなぜ売れない? マイナーチェンジで何が変わった? 価格や改善点などを解説

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マツダ CX-60 は、2022年9月に発売されたマツダの上級SUVです。発売当初は注目を集めたものの、2024年に入って販売台数が低迷しています。

この記事では、CX-60がこれまで売れなかった理由や、2024年12月に行われたマイナーチェンジでの改善点、改良後の価格などについてカーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが解説します。

目次[開く][閉じる]
  1. マツダ CX-60の立ち位置とSUV市場の現状
  2. マツダ CX-60の販売低迷とその要因
  3. マツダ CX-60の魅力と一部改良での改善点
  4. グレード構成の見直しも実施
  5. マツダ CX-60の一部改良後の価格
  6. リコールの必要性とリコール以外の課題
  7. マツダ CX-60の一部改良後の評価とまとめ

マツダ CX-60の立ち位置とSUV市場の現状

現在、日本国内ではSUVの人気が高く、新車販売台数の30%以上を占めています。従来人気のあったミニバンを抜き、SUVが市場をリードする形となっています。

マツダはSUVに力を入れており、国内で販売している8車種(OEMを除く)のうち5車種がSUVです。

その中でもCX-60は比較的新しい設計のモデルで、2022年9月に発売されました。

CX-60は後輪駆動のプラットフォームが採用され、直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボエンジンなどが搭載された上級SUVとして位置づけられています。

マツダ CX-60の販売低迷とその要因

CX-60の販売は発売直後こそ順調でした。

マツダは当初、CX-60の予約受注台数が8726台に達したことを公表し、2023年の1か月平均登録台数は1995台に達していました。

しかし2024年に入ると、1か月平均登録台数は533台にまで激減し、発売時の目標台数(2000台)の27%にとどまっています。

販売低迷の主な要因

CX-60の販売の低迷には複数の要因が影響しています。

まず、CX-60は発売以来、複数回のリコールが発生しています。エンジンオイルのポンプチェーン、フロントスタビライザー、トランスミッション、インバーターの制御コンピューターなどに関するリコールが頻発し、「CX-60は大丈夫か?」というユーザーの不安を招きました。

しかし、リコールは、ユーザーの安全を確保するために重要な措置であり、批判されるべきではありません(その理由については記事末にて記載します)。

さらに、乗り心地や変速ショックの問題も指摘されています。

乗り心地が硬く、特に街中での細かい振動や段差を越える際の衝撃が強いと感じるユーザーが多く、上級SUVとしての快適性に疑問を持たれることがありました。

また、変速時のショックも強く、特に低速域ではスムーズさに欠けるとの声があがっています。こうしたネガティブな評価がSNSを通じて急速に拡散し、販売に悪影響を及ぼしました。

マツダ CX-60の魅力と一部改良での改善点

一方で、CX-60には魅力もあります。

開発者、販売店ともに「直列6気筒クリーンディーゼルターボと後輪駆動のプラットフォームによる走りの良さ、内装のていねいな造り込みは、CX-60ならでは」とコメントしています。

マツダはCX-60の人気を再び高めるために、乗り心地や変速ショックなどの欠点を解消して、走りの良さやスポーティなイメージを際立たせることが重要と考えています。

2024年12月、CX-60は一部改良が実施され、課題解決に取り組みました。主に以下のような改良がおこなわれています。

マイナーチェンジでの改善点

(1)乗り心地と足回りの改善

・ショックアブソーバーの減衰力とスプリングレートを調整

・4WDモデルでリヤスタビライザーを廃止

・市街地走行時の微振動と突き上げ感を軽減

(2)変速ショックの改善

まず、乗り心地と足まわりについては、ショックアブソーバーの減衰力やスプリングレートが調整され、4WDモデルではリヤサスペンションのスタビライザー(ボディの傾き方を制御する足まわりのパーツ)が廃止されました。

これにより、街中走行時の細かな振動が軽減し、突き上げ感が抑えられました。ただし、大きな段差を乗り越える際の粗さは依然として残る状態です。

また、変速時のショックについても改善が施されました。

以前に比べると滑らかになったものの、トルクコンバーター(エンジンの動力をミッションに伝えるマニュアル車のクラッチに相当するパーツ)付きATほどのスムーズさには至っておらず、さらなる改善が求められます。

グレード構成の見直しも実施

CX-60の一部改良に合わせ、グレード構成も見直されました。

特に注目されるのは新グレードの「XD SP」と特別仕様車の「トレッカー」です。

新グレード「XD SP」の導入

CX-60ではスポーティなイメージを強化するため、ディーゼル仕様の新グレード「XD SP」を導入しました。

外観デザインにも変更が加えられ、フロントグリルはハニカムタイプに変更されています。

また、アルミホイールのサイズも18インチから20インチへと拡大されました。

XD SPの価格設定は割高?

XD SPの前身となる改良前の「XD Sパッケージ(2WD)」の価格は381万1500円でしたが、改良後に導入されたXD SP(2WD)は412万5000円となり、約31万円の値上げが行われました。

一方で、上級モデルの「XD Lパッケージ(2WD)」は422万4000円であり、XD SPとの差額はわずか10万円しかありません。装備の違いを考慮すると、XD SPの価格は割高に感じられる可能性があります(一部改良後のCX-60の価格一覧は記事の後半にまとめています)。

マツダはXD SPを中心に売り込む方針ですが、価格をもう少し抑えるべきだったといえます。

また、外装のスポーティさを強調する施策として、エアロパーツを割安なオプションとして設定するなど、より分かりやすい変更が必要だったでしょう。今後の改良に期待したいところです。

特別仕様車「トレッカー」の追加

特別仕様車として、マイルドハイブリッドのディーゼルモデルに「XD-HYBRID トレッカー」が追加されました。

トレッカーは、「XD ハイブリッドエクスクルーシブスポーツ」をベースに、荷室と居住空間を分けるパーティションネットやパノラマサンルーフが標準装備されました。

外装色も専用の「ジルコンサンドメタリック」が設定され、トレッカーでのみ選択できます。

トレッカーの価格は552万7500円で、ベースのXDハイブリッドエクスクルーシブスポーツに比べて22万円高く設定されていますが、妥当な範囲でしょう。

トレッカーの問題点

しかし、トレッカーには問題点もあります。

特に、アイドリングストップ後の再始動にスターターモーターを使用する方式へ変更されたことで、再始動時に金属音が響く可能性があります。

販売店には試乗車がほとんど用意されない予定となっており、実際に試乗して確認することが難しい点も課題として挙げられます。

マツダ CX-60の一部改良後の価格

CX-60は新たに追加されたグレードを含め、価格が見直されました。

エンジンタイプごとに一部改良後の価格を一覧でまとめました。

※価格はすべて税込

2.5L ガソリン(25S)

グレード駆動方式価格

Sパッケージ

2WD

326万7000円

4WD

349万2500円

Lパッケージ

2WD

379万5000円

4WD

402万500円

エクスクルーシブモード

2WD

409万7500円

4WD

432万3000円

3.3L ディーゼル(XD)

グレード駆動方式価格

SP

2WD

412万5000円

4WD

435万500円

Lパッケージ

2WD

422万4000円

4WD

444万9500円

エクスクルーシブモード

2WD

456万5000円

4WD

479万500円

3.3L ディーゼル マイルドハイブリッド(XD-HYBRID)

グレード駆動方式価格

エクスクルーシブモダン

4WD

530万7500円

エクスクルーシブスポーツ

4WD

530万7500円

トレッカー

4WD

552万7500円

プレミアムモダン

4WD

567万500円

プレミアムスポーツ

4WD

567万500円

ガソリン PHEV(PHEV)

グレード駆動方式価格

Lパッケージ

4WD

570万200円

プレミアムモダン

4WD

646万2500円

プレミアムスポーツ

4WD

646万2500円

リコールの必要性とリコール以外の課題

CX-60は改良前に複数回のリコールが発生していました。

記事の途中では「リコールは、ユーザーの安全を確保するために重要な措置であり、批判されるべきではありません」と記載しました。

それはリコールやサービスキャンペーンを責めると、かつてのような「リコール隠し」を誘発する可能性があるからです。

リコールが生じると車両の運転に不安が生じ、部品交換などで一定期間クルマを使えなくなるため、ユーザーが不便を強いられるのは事実です。

一方、リコールを責めることで最終的にユーザーの不利益に繋がる可能性があるため、冷静な対応が求められます。

マツダ CX-60の一部改良後の評価とまとめ

一部改良後のCX-60についての評価は以下のとおりです。

外観

4.0

★★★★☆

内装・居住性

4.0

★★★★☆

走行性能

4.0

★★★★☆

運転のしやすさ

3.0

★★★☆☆

乗り心地

3.0

★★★☆☆

燃費

4.0

★★★★☆

価格の割安度

2.0

★★☆☆☆

一部改良後のCX-60の良い点

・直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボは動力性能が高い

・後輪駆動をベースにしたプラットフォームで走行安定性が良い

・後輪駆動の採用によるボンネットの長い外観はカッコいい

×一部改良後のCX-60の気になる点

・乗り心地を改善したが、段差の通過では突き上げ感が生じる

・XD SPは販売の主力とすべく設定された新グレードだが価格は割高

・特別仕様車のトレッカーはアイドリングストップの再始動音に注意したい

CX-60は、発売当初は順調な販売を記録したものの、リコールや乗り心地の問題が影響し、販売が低迷しました。

2024年12月の改良によって、乗り心地や変速ショックなどの課題は改善されつつあります。

今後もユーザーに寄り添った商品開発が求められるでしょう。そのためには販売店の意見をしっかりと吸い上げることが重要といえます。

【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:森山 良雄】

マツダ/CX-60
マツダ CX-60カタログを見る
新車価格:
326.7万円646.3万円
中古価格:
238万円587.2万円

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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