マツダ CX-5 デザイナーインタビュー/マツダ チーフデザイナー 中山 雅(2/3)

  • 筆者: 森口 将之
  • カメラマン:オートックワン編集部
マツダ CX-5 デザイナーインタビュー/マツダ チーフデザイナー 中山 雅
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言いたかったことは、「タイヤがシルエットの四隅にあること」

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AO:スカイアクティブ・テクノロジーはデザインにどう影響しましたか。

N:フロントホイールが従来よりも約50㎜前に出ています。通常は前傾しているエンジンを、上を支点として振子のように前に振っている感じです。これによってタイヤを四隅に配置しやすくなったことが、一番大きな影響だったと思っています。サイドビューがFRっぽいプロポーションになっていることも特徴です。

スカイアクティブがデザインにどういう影響を及ぼすかは、エンジニアは実感として分かっていなかったようです。でも私たちはFRっぽい形になる美点を知っていたので、今後のマツダのクルマは骨格がこう変わると示したんです。そうしたらエンジニアがやる気を出してくれました。「クルマの形をこんなに変えるんだ」と。

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AO:お互いの意識を高め合っていった感じだったんですね。

N:クルマのプロポーションは技術によって作られるものです。一番分かりやすいのがスポーツカーです。人間で言えば体型です。

私たちの仕事をファッションデザイナーに例えると、例えばマネキンが決まっていて、それに沿って絵を描いていくようなものです。これまでのマツダ車が7頭身ぐらいだったとすれば、今回はエンジニアがスカイアクティブという8頭身の体をくれました。だからそれまでと違う衣装を作ることができたんです。それを見たエンジニアは、9頭身ならもっとカッコ良くなるんじゃないかと思うようになりました。

お互いが刺激し合って、ウィン・ウィンの関係を築くことができたのです。だからエンジニアとの衝突は少なかったはずです。

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AO:BMWがその昔、E36の3シリーズでやった革新に近いですね。

N:CX-5はFFだからFRのようにはできませんが、デザインの側からは、フロントオーバーハングを軽くしてくれと要求しました。ショートオーバーハングではなくて、ライトオーバーハングです。ショートというとエンジニアは寸法ばかり見てしまうからです。真四角なクルマを作ってもショートオーバーハングになってしまいます。

私たちが言いたかったのは、クルマを斜め前7:3から見たときに、タイヤがシルエットの四隅にあることです。そこで軽いオーバーハングにしてくれと言いました。

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AO:営業など他の部署の方はどんな印象を持たれていましたか。

N:最初はスカイアクティブが何なのか理解しにくかったようです。人間で言うと、健康になる、血液がきれいになるというイメージに近いですから。実際にクルマを運転してもらって、ようやく分かってもらえました。

魂動についても、シナリという形になるまでは理解してもらえませんでした。CX-7と比べると、短く、幅が狭く、背が高く、タイヤが小さかったので、頭の中だけで考えるとプロポーションが悪くなったと思われがちでした。

「新しいテーマはクルマをずんぐりさせるのか」という空気があったことは事実です。だからこそ、なぜこのデザインがいいのかをモノを見せて納得してもらいました。

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AO:ノーズをはっきり独立させ、Aピラーを立てたことも目につきますが。

N:ノーズをノーズらしく造形することは、最初から決めていました。ワンモーションフォルムにしたほうが新しさは出し易いですが、それよりもSUVでありたいという気持ちのほうが強かったのです。SUVを買うお客さんは、SUVに見えることに価値があると考えていましたから。

Aピラーを後ろに引いたのは、キャビンを小さく見せたかったからです。全高を上げたのは、SUVらしさを強調するとともに、室内空間を確保する目的もありました。ヒップポイントを上げるとこんなに広さに効くのかと改めて実感しました。

バックドアの角度もキモです。寝ていると荷室が狭く見えるという声があったので、モデルを作って証明しました。SUVはお尻が角張って太っているクルマが多いんですが、CX-5ではプリッと丸くしました。そこから太ももがドンと出ているというイメージです。

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

監修トクダ トオル (MOTA編集長)

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