レクサス 新型IS 新型車解説 -ベストグレードはハイブリッドモデルの「IS300h・Fスポーツ」!-(3/4)

レクサス 新型IS 新型車解説 -ベストグレードはハイブリッドモデルの「IS300h・Fスポーツ」!-
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スポーティさを求めるなら、V6ガソリンエンジンモデル

レクサス 新型IS(IS250)
レクサス 新型IS(IS350)レクサス 新型IS(IS350)

新型ISのエンジンは、V型6気筒の2.5リッターと3.5リッター、そして新たに加わった直列4気筒の2.5リッターハイブリッドがラインナップされている。これは、基本的にはクラウンアスリートと同じ構成だが、2.5リッターV6はクラウンアスリートがレギュラーガソリン仕様となるのに対し、新型ISではハイオクガソリン仕様だ。

V6エンジンは、2種類ともGSと性能は同じ。2.5リッターV6はGS250よりも最終減速比が少しハイギヤード化されたが、クラウンのレギュラーガソリン仕様と比べて実用回転域での駆動力が高い。4,000回転を超えると速度の伸びが活発化する性格も併せ持ち、スポーツ指向を強めた新型ISとの組み合わせでも相性は良い。

そして、3.5リッターV6は相当にパワフルで高性能エンジンと表現できる。1,500~2,000回転の領域でも十分な粘り強さがあり、4,000回転を超えるとダイナミックに速度を高めていく。

対して、2.5リッターのハイブリッドはスポーティな性格ではない。ハイブリッドとあって高回転域の吹け上がりは今一つ。高級ブランドのレクサスとしては登坂路における4気筒のノイズも気になるが、市街地を穏やかに走る時は快適だ。巡航中に軽くアクセルを踏み増すと、反応の素早いモーターの働きにより滑らかに速度を高める。

これらエンジンの性格を考えれば、素性が良く幅広いニーズに適するのは2.5リッターV6。ISらしいスポーツ性を求めるならば3.5リッター。市街地を中心にした使い方ならハイブリッドという選択だろう。

新型ISにおける最良の選択は「ハイブリッド」

しかし、燃費性能、価格、エコカー減税などを踏まえると話がガラリと変わる。V6にはアイドリングストップが装着されず、JC08モード燃費は2.5リッターV6が「11.6km/L」、3.5リッターV6は「10km/L」。エコカー減税にも適合していない。現行型のV6エンジンは、始動を行うセルモーターも最小限度のタイプが使用され、アイドリングストップに対応できない。アイドリングストップを装着するには、エンジンルーム内を含めて大幅な設計変更が要求されるため、2年ほど経て投入される次期V6エンジンで対応するようだ。

レクサス 新型ISレクサス 新型IS

一方、ISハイブリッドは直列4気筒になるものの、JC08モード燃費は「23.2km/L」。エコカー減税にも対応しており、購入時に納める自動車取得税と同重量税が免税(100%軽減)となる。

価格は、2.5リッターV6のIS250が「420万円」、3.5リッターV6のIS350が「520万円」、ハイブリッドのIS300hは「480万円」(いづれも標準グレード)。先代型に比べ、IS250で22万円の値上げになった。

以上の点を踏まえ、2.5リッターV6のIS250とハイブリッドのIS300hとで損得勘定を比べたらどうなるか。IS300hはIS250に比べて車両価格は60万円高いが、IS300hにはLEDヘッドランプなどが標準装備される。そこを加味すれば、実質価格差は50万円。そして、減税額の違いを差し引くと、50万円の実質価格差は25万円まで縮まる。

前述の通り、IS250ではハイオク仕様、IS300hではレギュラー仕様となっている。ハイオクガソリンを1リッター165円、レギュラーガソリンを1リッター155円と想定し、実用燃費をJC08モードの85%と仮定して計算すれば、2.5万kmを走ると25万円の差額が埋まってしまう。そこから先は距離が伸びるほどIS300hが得となる。

 一方、3.5リッターV6はツインインジェクターを備えたスペシャリティエンジン。損得勘定は関係ないとも言えるが、それでもISの場合はかなり割高だ。2.5リッターに対し価格は100万円高く、ブレーキユニットの上級化などを加味しても、エンジン価格差は90万円。

GSでは同様の計算で約70万円、先代ISでは80万円、クラウンは45万円、マークXは40万円だから、いくら動力性能が高いといっても3.5リッターは推奨しにくい。となれば結局のところ、最良の選択は「ハイブリッド」となる。

このあたりは、欧州車の動向を考えるとネックになる。3.5リッターエンジンと同等の性能を2リッタークラスのターボで発揮して、JC08モード燃費がBMW328iと同等の15~16km/Lに達すれば、新型IS350は相当に魅力的なクルマになっただろう。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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