イタリアの産業用車両メーカー「イベコ(IVECO)」、天然ガスで走る新交通BRTシステムと大型トラックで日本進出か(1/3)

  • 筆者: 遠藤 イヅル
  • カメラマン:IVECO・オートックワン編集部

「イベコ」が日本進出という(実はかなり重要な)記者会見

2017年9月6日、東京都港区のイタリア大使館で『ディーゼル車廃止に向けてのヨーロッパの動向、イタリアIVECO社 新交通BRTシステム及び天然ガストラック日本進出について』と題する記者発表が行われた。

一見すると長いタイトルで難しいが、日本のトラック・バス業界の事情を知る人やファン、そして昨今のニュースを賑わせる「欧州各国でのガソリン・ディーゼル車販売中止の動き」と照らし合わせると、実に興味深い内容の発表であることがわかる。

また駐日イタリア大使、日本駐在EU大使、国土交通省自動車局次長、天然ガス自動車の発展を推進するNGVインターナショナルアカデミー会長、イベコ社CEO、両備グループ代表取締役副社長などそうそうたる顔ぶれの人物が集まったことからも、この記者発表が重要な一面を持っていることも示していた。会場となったイタリア大使館は旧・伊予松山藩の中屋敷の跡地に建つ。堀部安兵衛、石川主税など赤穂浪士の最期の地という歴史を持ち、美しい日本庭園を持つことでも知られる。

今回の記者発表で注目すべきポイントはいくつかある。

まずはイタリアのイベコ(IVECO:Industrial Vehicles Corporation)社のトラック・バスが日本の路上を走り出す計画がある、というトピックが大きいので、まずはそこから紐解いていくことにしよう。

>>”IVECO”って何だ!? フォトギャラリーではたらくクルマをチェック[画像60枚]

海外メーカーの進出が難しい日本のトラック・バス市場

日本でもいよいよ乗用車における輸入車のシェアが10%に届きそうな中、バン・トラック、バスなどの商用車の輸入車を見かける機会はまだまだ少ない。これにはいくつか理由がある。

日本の自動車には幅や長さなどの数値的制限といった車両規格や免許制度など独自の決まりが多く、輸入車の場合日本に持ち込むために日本の道路や世界でも珍しい右側通行の環境に適合させなければならない。また企業もドライバーも運転、運用、メンテナンスなどで海外製トラック・バス車に慣れていないということもあるだろう。また輸入されるために購入時のコストも上乗せされてしまうのも実情だ。国内メーカー製のトラック・バスは日本の国情に合わせて開発されている傾向が強く、そのため市場で国内メーカーが当然シェアを大きく確保することになる。とはいえ、一方で乗り心地の良さや仕上げの高さ、高性能など、海外製トラック・バスの優位性もあり、導入する企業は着実に増えている。

そのような日本市場に、イベコ社のトラック・バスは実質的にほとんど足を踏み入れていなかった。日本でのイベコトラックで思い出されるのは、一時期各地に導入されたイベコ・マギルス製の消防車・・・くらいなのではないだろうか。

このように残念ながら日本では馴染みが無いブランドだが、イベコ社はトラック・バスなどの商用車、産業用車両、鉄道車両などの運輸機械のほか、船舶・産業用天然ガス/ディーゼルエンジンを製造する産業用車両製造会社だ。本社はイタリア・トリノに置く。

販売とサービスは世界160ヶ国以上・約5,000拠点、商用車の年間生産台数は約150,000台を誇る大規模な企業でもある。これだけの大きな会社のトラック・バスが日本にほとんど入って来なかったことからも、日本市場の独自性が伺える。

余談だが、イベコ社は1970年代にフィアットのトラック部門FVI、イタリアのOM、フランスのユニック、ドイツのマギルスなどのトラック・バスメーカーが合併して誕生した企業で、現在は「CNHインダストリアル」傘下にある。なおCNHインダストリアルは、農業機械で名を馳せるニューホランド社を古い前身とする。

1 2 3 次へ

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる