ランドローバー 新型ディスカバリースポーツ 試乗|驚きのモデルチェンジで全てが一新

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英国・ランドローバーのベーシックライン「ディスカバリースポーツ」がモデルチェンジした。外観上は前モデルのデザインを受け継ぐが、エンジンやプラットフォームなどは一新され、全てが生まれ変わった。そんな新型ディスカバリースポーツにいち早く試乗したのは、モータージャーナリストの大谷 達也氏。新世代ランドローバーの乗り味について徹底解説する。

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目次[開く][閉じる]
  1. 中身は一新、外観は大きく変えず…これがSUVの最新トレンドか
  2. ガソリンとディーゼルのエンジンラインナップを用意
  3. まるで出来のいいセダンのように
  4. ゆとりの室内とクラス唯一の3列シート仕様で、ファミリーにもオススメしたい1台

中身は一新、外観は大きく変えず…これがSUVの最新トレンドか

ランドローバー ディスカバリースポーツが、驚きのフルモデルチェンジを受けた。なんと、中身は一新されたのに外観は旧型をほとんどそのまま受け継いだのだ。まるでメルセデス・ベンツGクラスやジープ ラングラーのようなモデルチェンジで、「ひょっとして、これがSUV界の最新トレンド?」なんて勘ぐりたくなるくらい3台が目指した方向性はよく似ている。

SUV専業ブランドのランドローバーにとって、ディスカバリースポーツはスタートプライスが450万円~(税込、以下同)とラインナップ中もっともお手頃なモデル。こちらも昨年フルモデルチェンジを受けたレンジローバー イヴォークとは兄弟モデルの関係にあるが、イヴォークは都会派でディスカバリースポーツは本格アウトドア派と位置づけできる。

ランドローバー/ディスカバリースポーツ
ランドローバー ディスカバリースポーツカタログを見る
新車価格:
778万円1,016万円
中古価格:
184.4万円745.4万円

ガソリンとディーゼルのエンジンラインナップを用意

ディスカバリースポーツに用意されるのはディーゼルエンジンと、出力違いとなる2タイプのガソリンエンジンで、どちらも直列4気筒 2.0リッターターボ。このうち試乗車はディーゼルの最上級グレードで「Rダイナミック SE D180」と呼ばれる。車両価格は660万円だ。

試乗してみると、これが旧型とはまるで別物。伝統的なクロスカントリーモデルを思い起こさせるゆったりとした乗り味とハンドリングが特徴だった旧型と異なり、新型は最新SUVに相応しい洗練さとシャープなフィーリングを手に入れていたのである。

ディーゼルはより扱いやすく、静粛性も向上

たとえばエンジンは、ひと昔前のディーゼルのようにアクセルを踏んでからひと呼吸おいて「グォーッ!」と吹け上がる旧型に対し、新型はアクセルの踏み方に素早く追随して即座にエンジン回転数とパワーが上下するタイプ。おかげで、もどかしい思いをほとんどせず、自在にスピードをコントロールできる。

しかもディーゼルらしいエンジンノイズはぐっと影を潜めたほか、振動も格段に小さくなった。最新ディーゼルエンジンのなかで静粛性がもっとも優れているSUVの1台がメルセデス・ベンツの新型GLCだが、新しいディスカバリースポーツはそれに負けるとも劣らない完成度だ。

新型ディスカバリースポーツには、旧型に続いてジャガー・ランドローバーが独自開発したインジニウムと呼ばれる新世代ディーゼルエンジンが採用された。新型と旧型の最高出力や最大トルクはまったく同じだが、こちらも相当改良の手が加わったはず。また、新型イヴォークと同じ最新アーキテクチャー“PTA”は全体的なボディ剛性が向上したうえにエンジン・マウントも大幅に改良されており、これがノイズやバイブレーションの低減に大きく役立ったようだ。

まるで出来のいいセダンのように

足回りも現代流に一新された。タイヤからのゴツゴツ、ザラザラとした振動をシャットアウトして滑らかな乗り心地をもたらしてくれるサスペンションは、同時にボディをしっかりとフラットに保つのも得意で、まるで出来のいいセダンのような快適性を生み出してくれる。

この足回りのおかげでハンドリングも別物に生まれ変わった。これまではハンドルを切るとまずクルマがコーナーの外側に傾いて(専門的には“ロール”という)、それからおもむろにクルマの進む向きが変わっていったけれど、新型はほとんどロールすることなく、すっと向きを変える。ハンドルの働きに遊びがなくなっただけでなく、レスポンスも大きく向上したので、高速道路を走らせてもストレスがたまりにくい。この辺も最新SUVの水準に追いついたというか、領域によっては追い越したといってもいい仕上がりだ。

走行中にタイヤが生み出すロードノイズは路面の種類に大きく影響を受けるけれど、ほとんどの路面ではごく静か。これもロングドライブの疲労をぐっと低減してくれるだろう。

ADAS(先進運転支援システム)もアップデート

もうひとつ、長距離ドライブの心強い味方になってくれそうなのが、新型で標準装備されることになったレーンキープアシスト。車線から逸脱しそうになると自動的にハンドル操作をアシストしてくれる先進安全デバイスは、日本車ではだいぶ当たり前になってきたけれど、輸入車での本格的な普及はまだ始まったばかり。新型のレーンキープアシストは動作も滑らか。この点でもディスカバリースポーツは時代の最先端に躍り出たといえそうだ。

ゆとりの室内とクラス唯一の3列シート仕様で、ファミリーにもオススメしたい1台

室内スペースの広さはディスカバリースポーツの伝統的な強みのひとつ。身長172cmの私が運転席に腰掛けたその後ろでもひざ周りには30cmほど、頭上には10cmほどの空間が残った。しかも、ディスカバリースポーツには狭いながらも3列目シートがオプション設定されているからミニバン的な使い方も可能。このクラスの輸入車SUVで3列目シートが用意されているのはおそらくディスカバリースポーツくらいだろう。

実はディスカバリースポーツ、世界的に見るとランドローバーでもっとも数多く売れているドル箱的な存在。この勢いを失わせないためにも、中身だけ最先端に進化させて外観には大きく手を加えなかったようだ。日本国内のセールスは兄弟モデルのイヴォークに大きく水を開けられているけれど、新型の投入を機にもっと注目を浴びてもいい1台だ。

[筆者:大谷 達也/撮影:茂呂 幸正]

ランドローバー ディスカバリースポーツ R-DYNAMIC SE D180 主要スペック

車種名

ディスカバリースポーツ

グレード名

R-DYNAMIC SE D180

価格(消費税込み)

660万円

全長×全幅×全高

4610mm×1905mm×1725mm

ホイールベース

2740mm

駆動方式

4WD

車両重量

2040kg

乗車定員

5名(7名乗りはオプション)

エンジン種類

直列 4気筒 DOHC ターボチャージドディーゼル

総排気量

1999cc

エンジン最高出力

132kW(180PS)/4000rpm

エンジン最大トルク

430Nm(43.8kg・m)/1750rpm

トランスミッション

9速AT

使用燃料

軽油

燃料消費率(WLTCモード燃費)

12.0km/L

燃料消費率(WLTC:市街地/郊外/高速道路モード)

8.9km/L/12.2km/L/13.9km/L

タイヤサイズ

235/55R19

※試乗・撮影車はオプション装着車

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大谷 達也
筆者大谷 達也

1961年、神奈川県生まれ。エンジニア職を経験後、1990年二玄社に就職し、CG編集部に配属となる。以来、20年間にわたり同誌の新車情報、モータースポーツに関する記事を企画・編集・執筆。2010年3月フリーランスとなる。現在もCGの編集・執筆業務に携わる傍ら、ENGINE、GENROQ、東京中日スポーツ新聞、レーシングオンなどにも寄稿。日本モータースポーツ記者会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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