新車の「値引きなし」は本当? 元ディーラー営業担当が教える“10万円得する”オプション交渉術
- 筆者: ブラックビーン
人気車種は値引きしてもらえない——。そう諦めていませんか? 結論から言うと、営業スタッフとの駆け引き次第で実質的な値引きを引き出すことは可能です。
かつては車体価格の10%前後という値引き相場も存在しましたが、現在は市場が変化し、何の準備もなしに好条件を得ることは困難です。しかし、やみくもな要求ではなく、ディーラー側の事情を理解した上で正しい戦略で臨めば、交渉の道は開けます。
そこでこの記事では、元ディーラー営業担当の筆者が、車両本体に固執しない「オプション交渉」を軸に、人気車種を少しでも安く購入するための具体的な交渉術を詳しく解説します。
値引きは不可能? 「値引きなし」が当たり前になった理由とは
「今はどの車種も値引きはゼロなんです」。ディーラーでこう言われ、肩を落とした経験はありませんか? まず理解すべきは、なぜ値引きがこれほど難しくなったのか、という背景です。
需要が供給を上回る「売り手市場」
最大の要因は、半導体を始めとする部品の供給不足による長期的な納期遅延です。これにより需要が供給を圧倒的に上回る「売り手市場」へと変化しました。バックオーダーを数千台抱える人気車種では、ディーラー側も「値引きしなくてもお客様は並んでいる」という強気の姿勢にならざるを得ないのです。
それでも値引き交渉の余地あり
しかし、交渉の余地が完全にゼロになったわけではありません。実は、ディーラーの収益は車両本体の利益だけでなく、ローンや保険の手数料、そして利益率の高いオプション販売や整備・車検といったアフターサービスによって支えられています。
だからこそ、交渉の糸口は「車両本体以外」に隠されています。例えば、新型車の発売に合わせて「顧客の乗り換え」を促進するため、メーカーから「対策費」と呼ばれる公表されない値引き予算がディーラーに下りていることがあります。
これらは通常3万円から5万円ほど。さらに任意保険の乗り換えやローン契約による店舗へのマージンを含めると、ディーラーは10万円程度の値引き原資を内部的に持っているケースが多いのです。もちろん、この値引き枠は「即決して頂けるなら…」という最後の切り札として使われるため、粘り強い交渉が不可欠です。
「車両本体」の値引きが難しいなら「オプション」で交渉をする
車両本体の値引きがゼロでも、オプションの値引きや無償サービスは交渉の余地が十分にあります。
なぜなら、ディーラーにとっては車両本体よりも、ディーラーオプションの方が利益率が高い(部品売上+取り付け工賃で約20~30%程度、商品によってはそれ以上)ため、値引きの裁量が大きいからです。
少し専門的な話をすると、製造ラインで装着される「サンルーフ」のようなメーカーオプションは、ディーラー側で価格を調整する権限がありません。一方、店舗で取り付ける「カーナビ」「フロアマット」「ボディコーティング」といったディーラーオプションは、いわばディーラーが仕入れて販売する「商品」。
ここに価格交渉の余地が生まれるのです。これらはディーラーにとっての「ドル箱商品」だからこそ、契約獲得のためなら「ここからサービスしますよ」という譲歩を引き出しやすいのです。
実際にSNS等を調査してみるとディーラーオプションを値引きしてもらっている例が多数あります。人気車種「トヨタ ヤリスクロス」の車両値引き5万円に加え、15万円相当のカーナビを半額にしてもらい、合計で実質12万5000円の値引きを勝ち取ったという事例もあります。
元ディーラー営業担当直伝! 10万円以上得する「オプション交渉」3ステップ
それでは、ディーラーオプションでの値引きを実現するための具体的な交渉術を、元ディーラー営業担当の経験を用いて3つのステップで解説します。
STEP1:狙うべき「高利益率オプション」をリストアップする
商談のテーブルでオプションカタログをめくり始めると、ディーラー営業担当のペースに巻き込まれがちです。「これもあった方が便利ですよ」「皆さんも選びます」といったセールストークに乗せられ、不要なものまで選んでしまうことも。そうならないためにも、自宅での「作戦会議」が何より重要です。
事前にオプションカタログで装備したいものをリストアップしておきましょう。特に以下の商品は利益率が高く、ディーラーも譲歩しやすい傾向にあります。
これらを組み合わせれば、10万円を超える十分な交渉材料になります。
STEP2:営業担当の心を動かす「キラーフレーズ」を準備する
交渉の決め手となるのは、相手にメリットを提示する「取引」を持ちかけることです。そのための魔法のフレーズがこちらです。
「このオプションをサービスしていただけるなら、今日ここで契約します」
営業担当にとって最も避けたいのは「検討します」と言ってお客様が持ち帰ること。他社に流れるリスクや、再商談の手間が発生するからです。「今日決める」というカードを切ることで、「このチャンスを逃したくない」という心理が働き、上司への値引き承認(稟議)も格段に通りやすくなるのです。
ポイントは、相手から「即決してくれるなら…」と言われる前に、こちらから主導権を握ってこの提案を切り出すことです。
STEP3:譲歩案を提示する
商品によっては無料にすることが難しい場合もあります。
その場合はオプションのグレードを下げることで、サービスを受けられる可能性が高まります。「5万円のフロアマットを2万円のものに、7万円のコーティングを3万円の内容に変更するので、サービスしてほしい」といった譲歩案を提示すれば、「そこまで考えてくださるなら…」と営業担当も応じやすくなります。
【上級編】さらに交渉を有利にする「5つの裏ワザ」
上記以外にも購入時期を調整したり、少しの手間をかけたりすることで、交渉を有利に進めることができます。
裏ワザ1:決算期やボーナス時期、月末を狙う
ディーラーが最も契約を欲しがる2~3月の決算期や、8~9月の中間決算期は、交渉が格段に有利になります。
ただし、近年は納期遅延によりこのセオリーが通用しにくくなっています。納期が半年以上先の場合、3月に契約してもディーラーの年度内の売上にはならないためです。
しかし、販売台数目標は月ごとにも設定されているため、「月末」というタイミングは依然として有効。あと1台が欲しい営業担当の状況と重なれば、大きな譲歩を引き出せる可能性があります。
裏ワザ2:複数のディーラー(別会社)で見積もりを競合させる
同じトヨタの看板を掲げていても、経営する会社が異なるディーラーは多数存在します。A店で「値引きゼロ」と言われても、B店の見積もりを見せることで「こちらならコーティングをサービスします」といった提案を引き出せることは、今でも有効な古典的手法です。
注意したいのは、あからさまに他社の見積もりを突きつけて「これより安くしろ」と迫ること。これは営業担当の心証を損ねかねません。「A店ではコーティングを付けてくれるそうなんですが、私は家から近いこちらでお世話になりたいんです。何とかなりませんか?」のように、あくまで「あなたから買いたい」という姿勢を見せることが、相手の譲歩を引き出すコツです。
裏ワザ3:「キャンセル車」や「試乗車落ち」という隠れた選択肢を尋ねる
これらは「一点物」であり、まさに巡り合わせです。ディーラーにとっては早く手放したい在庫であり、もし条件が合えば、数十万円単位で安く、しかも数週間で納車される、という最高の「掘り出し物」になる可能性があります。
ただし、新車営業担当の成績にならない場合もあるため、積極的に提案してくることは稀です。「条件が合わず他社に流れそう」という状況で、切り札として提示されるケースが多いようです。
デメリットとして、色やグレードが選べない点や、現状渡しのため傷や汚れのチェックが必須な点も忘れないようにしましょう。ダメ元で「もしキャンセルされたお車などが出たら、ご紹介いただくことは可能ですか?」と聞いてみる価値は十分にあります。
裏ワザ4:「下取り価格」の上乗せを交渉する
車両本体やオプションの値引きが限界でも、「下取り車の査定額」にはまだ交渉の余地が残されています。下取り価格の調整はしやすいため、ディーラーにとっては比較的譲歩しやすいポイントです。
裏ワザ5:「ローン利用」と「端数カット」で最後の一押しを狙う
ディーラーは自社でローンを組んでもらうと信販会社からインセンティブ(手数料収入)を得られます。もし残価設定ローンやカーローン利用を検討しているなら、それを交渉材料に「ローンを組むので、もう少し値引きをしてください」といった最後の一押しが効くことがあります。
また、商談の最終盤で提示された総額が「352万8000円」など半端な数字だった場合、「この8000円、切っていただければ今日ここで気持ちよく契約します」と切り出すのも有効なテクニックです。
これは契約成立に向けた最後の儀式のようなもので、営業担当者も上司の許可を得やすい最後のサービスになります。
Q&A:元ディーラー営業担当が答える「交渉への不安」
Q1. そんな交渉をして、営業担当に嫌われませんか?
A. 無理な値引き要求は嫌われますが、「即決」を条件にしたWin-Winの取引提案は、むしろ「本気で検討してくれている証拠」と捉える営業担当も少なくありません。
購入後も点検や車検で長い付き合いが始まります。お互いが気持ちよく取引できる着地点を探る、というスタンスで臨めば何も問題ありません。
Q2. もし断られたら、どうすればいいですか?
A. 一つの店舗で断られても、経営の違うディーラーや時期を変えれば通ることもあります。一度交渉を打ち切り、「少し考えます」と引くことで、「あの客を逃したのは惜しかったな」と営業担当に思わせる効果もあります。後日、電話などでディーラー営業担当から「その後いかがですか?」と連絡が来た時が、値引き交渉の第2ラウンドのチャンスかもしれません。
まとめ
「どうせ値引きはない」と諦めるのは簡単です。しかし、正しい知識を持って準備をすれば、交渉のテーブルは買い手である「あなた」が主導権を握るステージに変わります。
最後に当記事のまとめです。
これから新車を購入しようという方は、ほんの少しの知識と勇気をもって交渉に望んでみてください。
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