ホンダ S660 公道試乗レポート/嶋田智之(2/5)
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:茂呂幸正
知っている世代には懐かしく、そうでない世代には新鮮に映る
すでにあちこちで説明されているから、S660の成り立ちについては“ミミタコ”だろう。
軽自動車枠に収まるミッドシップ オープン2シーターの久しぶりの登場は、このクルマの先祖を知る世代にとっては懐かしく、そうでない人にとっては新鮮で、いずれにしても興味深く感じられたに違いない。
僕の身の周りでも、意外なところで意外な人がこのクルマについて関心を示していた。日頃はメルセデスを転がしてるマダムに「乗り心地が悪くないならお買い物用に欲しいんだけど・・・」と訊ねられたときには驚いたけど。でも、そういうことなのだろう。皆、楽しそうなクルマが好きなのだ。
だから、スチール製のモノコックとアルミ製のサブフレームを組み合わせた車体に直列3気筒DOHCターボエンジンを積んで、6速MTかCVTを選べて、サスペンションは4輪ストラットの独立懸架で、ブレーキは4輪ディスクで、タイヤは前後異径のアドバン・ネオバの専用開発品で・・・といったクルマの概要も多くの人が先刻御承知だろうから、ここでは多くは語らない。
S660が“軽自動車の枠組み”から外れなかった理由
けれど、幾つか再確認の意味も込めて触れておくとすれば、まずS660は「スポーツカーを作りたい」という想いを持つ人達が集まって開発を進め、それだけ書き連ねても本が1冊できるくらいの山ほどの苦楽を経てようやく世に送り出したクルマである、ということ。
若手の「いつもの通勤路を走るだけで笑顔にさせてくれるスポーツカーを」というアイデアにGO!が出て、社内公募で開発に携わることを望んだ人達が若手を中心に集まり、ピュアな想いと勢いに優る若手達を、彼らに不足している部分を経験豊かなエキスパートであるベテラン達が鍛えながらサポートし、残念なことに公募に漏れた様々な部署のスタッフ達も垣根を越えて協力し・・・と、このクルマの小さな車体には感動的とすら言える物語が何十も何百も詰まってる。
試乗に際して様々なパートの責任者達と話をしたのだけれど、彼らは皆、尋ねれば決まって「スポーツカーを作りたくてホンダに入った」と答えるし、なおかつ「一緒に仕事をしたメンバーも全員そうなんですよ」と言葉を続ける。
数年前の“もはやミニバン・メーカーだ”みたいな揶揄さえあった中に生まれた1本の希望を、彼らは大切に大切に育ててきた。想いが物凄くピュアなのだ。
軽自動車という枠組みを外さなかったのも“だから”なのだという。ひとつハッキリと判りやすい枠組みがないと、あれもこれもと様々な要素を盛り込みがちになってしまうのが人間(と企業)の持つ性質のひとつ。そうなると発想の根っこにあるピュアな姿からどんどん掛け離れていく。それを避けたかったのである。
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。