新型ノート オーラ vs フィット LUXE(リュクス)比較! より“高そうに見える”国産プレミアムコンパクトは“オーラ”のほうだ

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:茂呂幸正・小林 岳夫・NISSAN・Honda・アウディジャパン

“プレミアムコンパクト”とは、上質で安全装備の充実した、上級車からの乗り換え層も満足できるコンパクトカーのこと

日常生活の中で、便利に、快適に使えるクルマとして、コンパクトカーの上級モデルが注目される。ボディが小さければ、狭い裏道や駐車場でも運転しやすく、上級モデルであれば快適に移動できる。

コンパクトな上級車種は日本のクルマの使われ方に適しており、ミドルサイズやLサイズカーから乗り替える需要も多い。高齢のドライバーも増えて、コンパクトで運転しやすく、なおかつ上質で安全装備の充実した車種が求められている。

輸入車の中でも高級車ブランドの小型モデル、メルセデス・ベンツ Aクラス、BMW 1シリーズ、アウディ A3などを上級のコンパクトカー、すなわち“プレミアムコンパクト”と呼ぶこともある。

コスト重視のコンパクトカーをベースに“プレミアム”モデルを開発するには、ベース車の素性が大事

ただしコンパクトで上質なクルマを開発するのは意外に難しい。コンパクトな車種では、価格の安さも大切で、さまざまな部分をコストダウンするからだ。燃費も重視され、軽量化に力を入れて、タイヤも転がり抵抗の小さなタイプを装着することが多い。

このようなクルマ造りをすると、内装の質、シートの座り心地、乗り心地、ノイズなどに不満が生じやすい。上級モデルを目指して内装を豪華に仕上げても、結局は乗り心地やノイズで素性が明らかにされてしまう。

根本的に上質なコンパクトカーを開発することも可能だが、小さくて価格が高いと、大量に売るのは難しい。そうなると既存の割安なコンパクトカーをベースに、内外装の質を高めた上級グレードを設定する。この時にも、先に述べたベースとなる車種の素性をいかに高められるかが問われるわけだ。

「日産 ノート オーラ」は上級コンパクトカーを名乗るにふさわしい出来栄え ライバルは「フィット リュクス」だ

ノート オーラはベース車の42万円高、装備差と上級化の仕様変更を考えれば妥当な価格設定

2021年6月15日に発表されたノート オーラは、上級コンパクトカーといえるだろう。ノートをベースに、内外装をさらに上質に仕上げ、フェンダーなどの形状を変えたことで3ナンバー車にしている。

モーターの出力を向上させて、サスペンションにも変更を加えることにより、走行性能も高めた。ノートは現行型になってプラットフォームを刷新するなど、各部の質を高めた。そのためにノート オーラは、さらに上質なコンパクトカーに仕上がっている。

ノート オーラの価格は、Gが261万300円だ。ノートXに比べて42万3500円高いが、この内の約26万円は、装備の上級化に相当する。内外装や走行性能を上級化した対価は約16万円だ。この価格なら買い得といえるだろう。

フィット リュクスはベース車の31万円高、装備差を考えればこちらも妥当な価格設定だ

そしてノート オーラのライバル車は、ホンダ フィット「e:HEV LUXE(リュクス)」が挙げられる。e:HEV(イーエイチイーブイ)はホンダのハイブリッドモデルの名称だ。

またリュクスはフィットの上級グレードで、シートは本革張りになり、内装の素材にも上質なプライムスムースやメッキの装飾を使う。

ホンダ フィット e:HEV リュクスの価格は242万6600円だ。買い得な売れ筋グレード「フィット e:HEV HOME(ホーム)」は211万7500円だから、約31万円高いが、前席のシートヒーターやステアリングヒーター、16インチアルミホイール、LEDフォグランプなども標準装着される。これら装備の価格換算額を差し引いた内装の上級化や本革シートの装着に伴う価格上昇は、おおむね16万円前後だ。これも妥当な価格設定だろう。

ノート オーラとフィット リュクスのコストパフォーマンスや性能を比較 コスパが良いのはフィット リュクス

この2車種で価格を比べると、ノート オーラが18万3800円高い。ノート オーラは後方の並走車両を検知する安全装備などを採用するが、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなどを含めたプロパイロットは、オプション設定になる。本革シートもGレザーエディションの設定だ(ただし8万9100円と割安)。装備と価格のバランスでは、フィットが少し買い得になる。

両車の上質感を比べると、動力性能と静かさはノート オーラが勝る。両車ともにハイブリッドシステムは、エンジンが発電機を作動させ、駆動はモーターが行うタイプだ。フィットのe:HEVには、高速巡航時にエンジンが直接駆動を行い、燃費を節約する機能がある。それでも通常はモーター駆動になる。

エンジン出力はノート オーラが高く、アクセルペダルを深く踏む機会も少ない。そのためにパワフルで静かに感じる。ただし登坂路などでアクセルペダルを深く踏むと、ノート オーラでは3気筒エンジン特有のノイズが聞こえる。

また先に述べた高速巡航時の制御の違いにより、長距離を移動する時には、フィットの方が燃料消費量を節約しやすい。

乗り心地はノート オーラとフィット リュクスともやや改善の余地あり

乗り心地は、コンパクトカーの上級グレードとしては、両車とも硬く感じる。ノートオーラは引き締まり感が伴ってスポーティに感じられ、段差を乗り越えた時の突き上げ感は抑えたが、路上の細かなデコボコを伝えやすい。

フィットは転がり抵抗を抑えた低燃費指向のタイヤが硬い。フィットで乗り心地が最も快適なのは、SUV風のe:HEVクロスターだ。扁平率が60%の16インチタイヤを装着したことで、空気の充填量も多く、柔軟な乗り心地になった。両車ともに乗り心地には改善の余地を残す。

上級コンパクトカーの魅力から離れた話になるが、走行安定性はノート オーラが優れている。ステアリング操作に対して車両の向きが忠実に変わり、峠道などを走っても旋回軌跡が拡大しにくい。

それでもノート オーラはプレミアム指向のコンパクトカーだから、曲がる性能はもう少し穏やかに抑えて、乗り心地を向上させると良い。走行安定性と乗り心地の総合力ではフィットを上まわるから、セッティング次第で走りの上質感を向上させられる。

ノート オーラとフィット リュクスの内装を比較 “高そうに見える”度はノート オーラが一歩リード

内装の質は両車ともに満足できるが、フィットはシンプルな雰囲気と優れた視界が持ち味だ。ステアリングホイールも2本スポークになり、スッキリとリラックスできる室内空間に仕上げた。その意味では中級グレードのホームを中心に造り込んでいる。

ノート オーラは、ノートの上級グレードというよりも、ノートとは別の車種として上質感を追求した。インパネなどの内装には、ツイード調の織物が使われ、木目調パネルも採用されている。内装の優劣は人によって異なるが、「高そうに見える」のはノート オーラだろう。

シートの座り心地は、前席については同程度だ。後席はフィットが広い。身長170cmの大人4名が乗車した時、フィットの後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半だが、ノートオーラは2つ分に留まる。

フィットは燃料タンクを前席の下に搭載したので、後席を格納した時の荷室容量も大きい。プレミアム感覚とは別の話だが、実用性や割安感はフィットが上まわり、そこにこのクルマの本質がある。リュクスも本革シートを装着して価格は安い。

結論! 質感を重視するならノート オーラ、実用性やコスパを求めるならフィット“HOME(ホーム)”を推奨

結論をいえば、実用性よりも質感を高めたコンパクトカーが欲しいユーザーには、ノート オーラを推奨できる。それはノートを含めて、車両のコンセプトが実用性よりも上質感に置かれているからだ。

そこでノート オーラは、装備を充実させた割に価格を抑えた。ノートに比べて動力性能を向上させ、3ナンバーサイズのボディも採用しながら、前述の通り内外装や走りを上級化した対価は約16万円に収まる。販売目標も1年間に5万1000台(1か月平均で4250台)と多い。ノートは1か月の目標が8000台だから、ノートシリーズの35%をオーラが占める方針を打ち出した。

質感を求めるならノート オーラ、実用性や割安感を重視するならフィットのホームという選択が成り立つ。

[筆者:渡辺陽一郎/撮影:茂呂幸正・小林 岳夫・NISSAN・Honda・アウディジャパン]

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筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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