意外なライバル! 新型レヴォーグ vs 新型ゴルフ、価格はほぼ同じでも60万円相当の装備差あり!? 高コスパなレヴォーグに軍配
- 筆者: 渡辺 陽一郎
2021年初夏にも、フォルクスワーゲンの新型「ゴルフ」(ゴルフ8)が正式発売される。ゴルフと販売現場で競合することも多いスバルを代表する最新鋭のレヴォーグを7つの項目で比べてみたところ、安全装備やコストパフォーマンスなど新型レヴォーグの優秀さが光る結果となった。7つの項目に分けて順に紹介していこう。
取り回しの良さはゴルフの美点だが、内装、居住性や積載能力はレヴォーグが優れる
8代目となるフォルクスワーゲン(VW) 新型ゴルフの先行予約が、2021年2月9日より始まっている。ゴルフはミドルサイズのハッチバックとして長年に渡り根強い人気を保つ輸入車だ。日本車のライバルとしてはマツダ3、スバル インプレッサスポーツ、トヨタ カローラスポーツなどが挙げられるが、いずれも人気はいまひとつである。
そこで今回はスバルの新型レヴォーグと比べたい。販売現場に聞くと、意外にもこの2台は競合することが多いという。レヴォーグはミドルサイズでは希少なステーションワゴンタイプで人気が高く、エンジンはゴルフと同様にパワフルなターボを搭載する。
価格帯も近く、新型ゴルフの販売予定価格291万6000円~373万9000円に対し、新型レヴォーグは310万2000円~409万2000円(共に消費税込)だ。
勝負その1! ボディスタイル/サイズ/取りまわし性比較
今回比較する2台のボディスタイルは、フォルクスワーゲン ゴルフが5ドアハッチバックで、スバル レヴォーグはワゴンである。
ゴルフにもワゴンタイプの「ゴルフ ヴァリアント」の設定があるが、新型(8代目)ではまだ正式発表されていないため、今回は異種格闘技のような比較となった。ただしフォルクスワーゲンやスバルの販売店でそれぞれ話を聞くと、実際にゴルフのハッチバックと比較検討する購入者は多いという。
2台のデザインを見比べてみよう。ゴルフは新型になってフロントマスクなどの丸みを強めた。レヴォーグは鋭角的な外観が特徴だ。
新型ゴルフのボディサイズは、全長4295mm×全幅1790mm×全高1475mmである。レヴォーグは後部に大きな荷室を持つワゴンとあって全長は4755mmと長いが、全幅は1795mmだから同程度だ。全高は1500mmでレヴォーグが少し高い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はゴルフが2620mmで、最小回転半径は5.1mに収まる。レヴォーグはホイールベース2670mm、最小回転半径5.5mだから、ホイールベースが長く小回り性能も下がる。
運転席からの視界は、水平基調のデザインをもつ新型ゴルフが良い。これは歴代モデルに共通する美点だ。スバル 新型レヴォーグは、サイドウィンドウの下端を後ろに向けて持ち上げたから、斜め後方と真後ろが見にくい。またレヴォーグはボンネット上にエアインテーク(空気取り入れ口)も装着した。冷却効果を高めるが、これも前方視界を少し遮る。
■勝者:フォルクスワーゲン 新型ゴルフ
勝負その2! 内装&居住性比較
新型レヴォーグ、新型ゴルフの両車ともに、インパネには液晶モニターを多用し、質感は互角だ。中でもレヴォーグのアイサイトX搭載車に装備される11.6インチセンターインフォメーションディスプレイは、サイズが大きくて視認性も良い。しかも画面が縦長だから、カーナビの地図を進行方向を上にして表示する場合、広い範囲を確認できる。インパネの機能はレヴォーグが優れている。
前席の座り心地は、両車ともに腰の近辺をしっかりと支えて快適だ。シートサイズや空間も十分に確保した。
後席は足元空間の広さで差が付く。身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る乗員の膝先空間を比べてみよう。フォルクスワーゲン 新型ゴルフは握りコブシ2つ分だ。後席に座る乗員の足が前席の下に収まって窮屈には感じないが、全高を1475mmに抑え、着座位置も低めなことから、床と座面の間隔は少し不足する。大腿部の浮き上がりを抑えるため、ゴルフの後席は座面の前側を大きめに持ち上げており、少し拘束感が伴う。
その点でスバル 新型レヴォーグの後席空間はは新型ゴルフ以上に快適だ。ゴルフと同じ測り方で、後席に座る乗員の膝先には、握りコブシ2つ半を確保した。全高が1500mmとゴルフよりも若干高いので室内高にも余裕があり、着座位置の高さも最適化されている。座面の角度もちょうど良い。
■勝者:スバル新型 レヴォーグ
勝負その3! 積載性比較
荷室の積載性はレヴォーグの圧勝だ。全長が460mm長いワゴンだから当然だろう。
ただしゴルフも実用的には十分な荷室を確保した。多量の荷物を積まない場合、ゴルフでも満足できる。実際、ハッチバックのゴルフとワゴンのレヴォーグが競合するということは、2台を比較するユーザーはそこまでシビアに積載性を重視していないということになる。
一方でレヴォーグと同様の積載性が必要なユーザーは、次期ゴルフヴァリアント(ステーションワゴンモデル)の登場を待つことも考えたい。
■勝者:スバル 新型レヴォーグ
パワフルな1.8ターボが魅力のレヴォーグだが、燃費性能は新型ゴルフの圧勝!
勝負その4! 動力性能比較
間もなく正式発表されるフォルクスワーゲン 新型ゴルフのエンジンは、直列3気筒1リッターターボと、直列4気筒1.5リッターターボの2機種を用意する。1リッターターボの性能は、最高出力が110馬力(5500回転)、最大トルクは20.4kg-m(2000~3000回転)だから、ノーマル(ノンターボ)エンジンに当てはめると1.8~2リッタークラスに相当する。
1.5リッターターボは最高出力150馬力(5000~6000回転)、最大トルク25.5kg-m(1500~3500回転)だから、性能は2.5リッター並みだ。
一方のスバル 新型レヴォーグは、水平対向4気筒の1.8リッターターボのみを搭載する。動力性能は全車共通で、最高出力177馬力(5200~5600回転)、最大トルク30.6kg-m(1600~3600回転)になる。ノーマルエンジンならば3リッタークラスに匹敵する高性能だ。
ゴルフの1リッターターボでも街中の移動なら実用的な不満はなく、1.5リッターターボなら活発な加速を楽しめる。それでもレヴォーグの1.8リッターターボはさらにパワフルだ。駆動方式は、ゴルフは2WD(前輪駆動)だが、レヴォーグは4WDだから走行安定性を確保する上でも有利になる。
■勝者:スバル 新型レヴォーグ
勝負その5! カタログ燃費比較
カタログ燃費(WLTCモード燃費)で2台を比較してみる。新型ゴルフの1リッターターボが18.6km/L、1.5リッターターボは17.3km/Lだ。
対するスバル 新型レヴォーグは、比較的ベーシックなGTとGT-Eが13.7km/L、それ以外のグレードの燃費は13.6km/Lになる。
排気量が小さく車両重量が軽く、しかもマイルドハイブリッドシステムも採用していることもあって、カタログ燃費はゴルフが優れている。
■勝者:フォルクスワーゲン 新型ゴルフ
新型ゴルフとレヴォーグ、実質的な価格差は60万円相当に! 先進安全機能と4WDの安定性を考えればレヴォーグの割安感が光る
勝負その6! 先進運転支援機能&安全装備比較
衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)は、両車ともに充実する。中でも新型レヴォーグの場合、グレード名の末尾に「EX」の付く仕様には「アイサイトX」を装着した。
アイサイトXは進化した高度運転支援機能で、一定の条件を満たす場合、高速道路の渋滞(時速50キロ以下)ではステアリングホイールから手を放しても操舵支援を受けられる。もちろん完全自動運転ではないから、アイサイトXの作動中も前方を注視する必要はあるが、ステアリング、アクセル、ブレーキ操作のすべてが支援される。渋滞時などでのドライバーの疲労が大幅に軽減されることで、安全性をさらに高められる。
新型ゴルフの安全装備と運転支援機能も満足できるが、レヴォーグはさらにレベルが高く機能も充実しているのだ。
■勝者:スバル 新型レヴォーグ
勝負その7! 価格の比較&総合評価
8代目のフォルクスワーゲン 新型ゴルフで1.5リッターターボを搭載する「eTSIスタイル」(368万9000円)の価格は、1リッターターボの「eTSIアクティブ」(310万9000円)に比べて58万円高い。ただしeTSIスタイルには、16万4000円相当の装備も加わるから、3気筒 1リッターターボと4気筒 1.5リッターターボの実質的な価格差は41万6000円と見積もることが出来る。この価格差は動力性能の違いよりも大きい。
新型ゴルフを割安感で選ぶなら1リッターターボのeTSIアクティブが良いだろう。
一方、優れた動力性能と滑らかな加速を重視するなら、4気筒で1.5リッターターボのeTSIスタイルを推奨したい。
そして新型ゴルフ eTSIスタイル(368万9000円)の装備水準は、スバル 新型レヴォーグ「GT-H」(332万2000円)に近い。そうなるとゴルフの価格は、同等の機能を備えたレヴォーグに比べて36万円高いことになるが、レヴォーグには走行安定性に優れる4WDも加わる。これも価格に換算してみると、新型ゴルフの価格は実質的に60万円高いことになる。いくら輸入車とはいえ、割高感が否めない。
結論をいえば、スバル 新型レヴォーグの買い得感に軍配を上げたい。
なお歴代フォルクスワーゲン ゴルフの魅力は、正確な操舵感や高速道路での走行安定性にある。8代目新型ゴルフが正式発表されたら販売ディーラーで実際に両車を乗り比べ、最終判断をして欲しい。
■勝者:スバル 新型レヴォーグ!
[筆者:カーライフジャーナリスト 渡辺 陽一郎]
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