コンパクトSUV日独対決! ダイハツ ロッキー vs VW Tクロス買いはどっち!?
- 筆者: 永田 恵一
- カメラマン:MOTA編集部
昨年末に登場したダイハツ ロッキー(及び兄弟車のトヨタ ライズ)は2020年1月から2ヶ月連続で販売台数1位を獲得する超人気のコンパクトSUVだ。今回比較するのはVWからデビューしたポロをベースとしたコンパクトSUVのTクロス(以下T-クロス)だ。サイズはほぼ一緒ながら、価格差は約70万とかなり大きいが、果たして買いはどっちなのか? 走りや使い勝手、先進安全装備など気になる点を徹底比較する!
人気グレード比較! ロッキーは豊富なグレードが魅力
雪国ユーザーに朗報! ロッキーは4WDも選択可能
ダイハツ ロッキーは170万5000円〜220万円とかなり魅力的な価格帯のモデル。人気グレードはG(200万2000円)、プレミアム・プレミアム(220万円)の順で、この2つが大部分を占める。またFFと4WDの比率はFFが多数派だという。
カタログのグレード表と装備内容を見ると分かるが、メーカーオプションの選択幅も含めて自分好みの仕様を作りやすいのはロッキーの方だ。
兄弟車となるトヨタ版の「ライズ」も価格帯はほぼ一緒だから、2台の違いはほとんどないと言っていい。近隣販売店の有無や好みで選べば良いだろう。その際にはぜひ両車で見積りの比較もして欲しい。
ダイハツ ロッキーと兄弟車のトヨタ ライズの詳しい内容はこちらをチェック▼
Tクロスは2グレード&FFのみ! ポップなカラーが人気
対するVW Tクロスは299万円〜335万9000円とロッキーの最上級グレードと比べると70万円程度高い。グレード展開はデビュー間もないこともあり、TSI 1stとTSI 1stプラスの2つとなる。今後はさらに価格を抑えた買い得グレードが追加される可能性もある。
さらにTSI 1stプラスでは8色から選べるボディカラーはTSI 1st と変わらないものの、ボディカラーによってドアミラー、アルミホイール、インテリアカラーにオレンジ、グリーン、ブラックの3色のアクセントカラーを選べるデザインパッケージが加わる。
装備内容はTSI 1stプラスが当然充実しているが、コンパクトSUVと考えればTSI 1stでも十二分に充実している点や絶対的な価格を考えると、TSI 1stを基本に考えた方がいいだろう。なお売れ筋はTクロス全体の57%を占めるTSI 1stプラスだという。
VW Tクロスのグレードや価格など詳しい内容はコチラ▼
燃費は互角ながらTクロスはハイオクなのが懸念材料
カタログに載るWLTCモード燃費がFF車で総合モード18.6km/L、市街地モード14.4km/L、郊外モード20.2km/L、高速モード20.1km/L(4WDはFF車の1.1から1.4km/L落ち)となる燃費は、実用でも各モードともカタログ発表に近いようで申し分ない。
ロッキーの実燃費が気になる方はこちらをチェック▼
燃費はWLTCモードで総合モード16.9km/L、市街地モード13.2km/L、郊外モード17.1km/L、高速モード19.1km/Lとロッキーに対し見劣りはするが、FF車同士で約300kg重い車重を考えれば大健闘しているともいえる。ただTクロスはハイオク指定となるのは、ネガティブな要素となりそうだ。
扱いやすいのはロッキー! 振動&騒音が少ないのはTクロス
ロッキーは最高出力98馬力&14.3kgmの3気筒1Lターボエンジンに対し、車重がFF車で1トンを切る970〜980kg、4WDでも1040〜1050kgとかなり軽量だ。アクセルを深く踏んだ際のスピードの乗りの良さに加え、低速トルクの太いエンジンとCVTの抜群のマッチングもあり、街乗りなどの乗用域の運転のしやすさも良好だ。
ただ、エンジン回転数が3000rpmを超えると振動や騒音が若干気になるところはある。
ハンドリングと乗り心地では、ハンドリングはハンドルの切り始めに不自然な重さを感じるステアリングフィール、乗り心地は凹凸を通過した際のバタバタ感、ガタガタ感といった安っぽさがあるのは少し残念。
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一方のT-クロスの動力性能はエンジンのスペックは最高出力116馬力&最大トルク20.4kgmとロッキー&ライズを圧勝する。しかし、Tクロスは車重がFF車のみにも関わらず1270kgとロッキー&ライズのFF車に対し300kgも重いこともあり、ライズに完敗だ。
ただエンジンの振動、騒音は同じ3気筒でもロッキー&ライズに対しよく抑えられており、不快感はない。
Tクロスのトランスミッションは7速DSGを使っており、走り出してしまえばシフトのアップダウンが素早いのは素晴らしい。
しかし市街地での使用だと、スムースさに欠けるクラッチのつながりが気になるシーンに出くわす。その際に、停止前からエンジンを止めるアイドリングストップシステムの動作も気になってしまう。
具体的には、停止前にアイドリングストップし、その直後にクルマが流れ出すといったよく遭遇するシーンで、ギクシャクした感じが出るのだ。これが人によってはややクセが強いと感じるかもしれない。特に市街地での各々の使用を想定して、ディーラーでの試乗で入念に確認してほしい。
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ハンドリングと乗り心地はVWらしく、操作に対し正確にクルマが反応するハンドリングと硬めながら不快感のない快適な乗り心地を両立しており、この点はロッキーを圧勝する。
ロッキーはワイルド顔・Tクロスはドイツ車らしいマジメなデザイン
全体的に「ミニRAV4」という言葉がピッタリで、いかにも万人向けという印象で売れているのもよく分かる。フロントグリルが六角形で大きなものとなるロッキーはよりSUVらしい力強さ、ワイルドさを感じる。
一方のTクロスは、VWらしい生真面目なものだが、TSI 1stプラスではアクセントカラーで楽しげな雰囲気が好印象だ。
先進安全装備&運転のしやすさはTクロスに軍配
歩行者検知機能がいま一つ。ACCは上級グレードのみ
先進安全装備の性能は前述したように歩行者にも対応する自動ブレーキなどから構成されるスマートアシストがほとんどのグレードに標準装備される。
ロッキーの自動ブレーキの性能は国が行うJNCAPの予防安全性能アセスメントの試験結果を見ると、対車両には50km/hで停止できず、歩行者への対応も昼間に停止できるスピードの低さに加え、夜間は対応しないことなど、現代の日本車の水準から大きく遅れている。この点はロッキー最大の弱点だ。。
今考えられる先進機能が全部装備!
Tクロスの先進安全装備は停止まで対応する先行者追従型のアダプティブクルーズコントロールや後方を監視するブラインドスポットディテクションなどが全グレードに標準装備となる点はロッキーに対し優位だ。
自動ブレーキの性能もJNCAPのヨーロッパ版となるユーロNCAPの試験結果を見ると夜間の歩行者には対応していないようだが、対停止車両には50km/h、中間の歩行者に対しても大人の単なる飛び出しにも50km/hでの停止が確認されており、ロッキーを大きく上回る。
ハンドルの前後上下調整ができるのはTクロスだけ
5ナンバーサイズによる取り回しの良さはロッキー&ライズの大きな魅力だが、その反面ステアリングの調整機構が高さ調整のチルトのみで、前後調整のテレスコ機能が付かないのは惜しい。
運転のしやすさに関しては全幅が3ナンバーサイズとなるためロッキーに対し取り回しは劣勢となるが、Tクロスはロッキー&ライズにはないステアリングのテレスコ調整機能があるのはアドバンテージといえる。
使い勝手比較! ロッキーは日本的な収納の多さが◎
ダッシュボードの質感など価格相応ではあるが、大きなドアグリップやシルバーのアクセントカラーによる明るい雰囲気は好印象だ。
また引き出し式のカップホルダーをはじめ、上級グレードでは靴などを収納できる助手席シートアンダートレイを備える点など、収納スペースが多いことも高く評価できる。なおカーナビはメーカーオプションのスマホと接続する9インチディスプレイオーディオか、ディーラーオプション品を含む市販品を付けるかの選択となる。
Tクロスは、TSI 1stプラスでオレンジのパネルを選ぶと雰囲気が若干明るくなるものの、それ以外のものだと特に面白みはない。
質感は299万円からという価格を考えるとプラスチックが多い点など、価格相応とは言いにくい。シートはサスペンションと同様に硬めの座り心地で、この点にはドイツ車らしい個性を強く感じる。
後席・ラゲッジともにボディの大きいTクロスに軍配
リヤシートは全長4m以下の5ナンバーということを考えれば、上々の広さだ。デッキボードにより高さを調整できるラゲッジスペースも、デッキボードを下段にすると369Lという広いスペースを持つ。
さらにメーカーオプションのスペアタイヤを付けなければ、デッキボード下にも収納スペースを確保している。(FF車:デッキボード上段/145L、下段/80L、4WD車:デッキボード上段/104L、下段/38L)。
対するTクロスは、前後スライド機能を持つリヤシートとラゲッジスペースはロッキーに対し、ボディサイズが大きい分相応にさらに広い。
ラゲッジスペースはリヤシートの前後スライド機能により若干ながら広さを変えられるなど使い勝手は◎。ロッキー&ライズと同様にデッキボードで高さ調整ができ、ラゲッジスペース下には床下収納も用意。ちなみに残念なポイントは、床下収納が鉄板むき出しで、あまり物を入れる気になれないことだ。
価格・使い勝手など総合的にロッキーの勝ち
この2台、それぞれのキャラクターをまとめると「日常での用途に使うには十分な性能を持ち、価格やコンセプトを含め売れるのがよく分かるロッキー」、「高い分、全体的に上質なTクロス」といったところだ。
だが「Tクロスに300万円ほどの魅力があるか?」と言われたら筆者には疑問だ。車両価格に300万円出せるなら日本車のミドルSUVを含めもっといい選択肢もあるように思う。
さらにTクロスはFFしかない点も豪雪地域もある日本では弱みだ。といったことを総合するとこの2台の勝負はロッキー&ライズに自動ブレーキの性能の低さという決定的な弱点はあるものの、全体的な商品力の高さを決め手にロッキー&ライズの勝ちとする。
逆に考えると、今後自動ブレーキの性能さえ向上すれば、ダイハツ ロッキー(とトヨタ ライズ)はさらに多くの人に勧められるコンパクトSUVになるということだ。
ロッキーとTクロスの詳しい記事はコチラ▼
【筆者:永田 恵一】
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