トヨタ 新型RAV4 vs 日産 エクストレイル どっちが買い!? 徹底比較

トヨタ、日産を代表するSUVを徹底比較!

RAV4はトヨタを代表するSUVだ。1994年に発売された初代モデルは、コンパクトな5ナンバーサイズとスタイリッシュなデザインが若者を中心に支持され、好調に売れたが、2代目以降は海外指向を強めた。ボディを拡大させて売れ行きを下げた結果、4代目RAV4は日本で売られていない。

ところがRAV4は、5代目で国内販売を再開した。背景には日本でのSUVの高人気がある。依然として海外中心ながら、RAV4はトヨタの主力車種になり、2018年には世界で84万台を販売した。国内の販売目標は1年間に3万6000台だから、国内比率は4%にとどまるが、SUVのベストセラーだ。

2019年4月に発売した新型RAV4はミドルサイズで、エンジンは2リッターのノーマルタイプと、2.5リッターのハイブリッドを用意する。ここでは同じミドルサイズで、以前から人気の高い日産 エクストレイルと比べたい。

※新型RAV4のノーマルエンジンの燃費数値はWLTCモードのみ、日産 エクストレイルはJC08モードのみで比較できないため、今回は燃費比較の項目は無しとする。

>>新型RAV4とエクストレイルの内外装を画像で比較[35枚]

トヨタ 新型RAV4 vs 日産 エクストレイル|ボディスタイル/サイズ/視界/取りまわし性比較

新型RAV4のボディサイズは、全長が4600mm(アドベンチャーのみ4610mm)、全幅は1855mm(同1865mm)だ。対して、日産 エクストレイルは全長が4690mm、全幅は1820mmだから、新型RAV4は少し短くてワイドになる。狭い道の通行などは、若干ではあるがエクストレイルが有利だ。

ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は、新型RAV4が2690mm、エクストレイルは2705mmで大差はない。また最小回転半径は新型RAV4が5.5m(19インチタイヤのアドベンチャーとG・Zパッケージは5.7m)、エクストレイルも5.5mになる。

後方視界は両車とも良好とはいえないが、新型RAV4はボディ後部のピラー形状を工夫して、後方が少し見やすい。つまり新型RAV4は視界が良く、エクストレイルは全幅と最小回転半径を抑えた。よって、取りまわし性は引き分けだ。

勝者:引き分け

トヨタ 新型RAV4 vs 日産 エクストレイル|内装のデザイン/質感/操作性/視認性比較

新型RAV4はインパネ周辺などを立体的で上質に仕上げた。エクストレイルは発売から5年以上を経過して、デザインの新鮮味が薄れている。

それでもエクストレイルにはオーソドックスな良さがあり、メーターは見やすい。エアコンのスイッチも高い位置に装着されて使いやすい。

ただしハンドルの形状は悪い。今の日産車は、直進時に下側を平らにデザインした「D字型」を採用するが、ハンドル操作の仕方によっては使いにくい。

実際、新型デイズは「D字型のステアリングは、女性のお客様にとって使いにくい場合がある」という理由で一般的な形状にしている。

こういった点を考えると、RAV4の内装は上質で馴染みやすい。

勝者:新型RAV4

トヨタ 新型RAV4 vs 日産 エクストレイル|前後席の居住性比較

前席は、両車ともにシートのサイズも十分に確保されて快適だ。その上で比べると、新型RAV4の前席は、エクストレイルよりも肩まわりのサポート性と腰の支え方が少し優れる。

後席は新型RAV4、エクストレイルともに座り心地が良くない。もう少し体を柔軟に受け止めて欲しい。新型RAV4は腰が少し落ち込み、膝の持ち上がる座り方になりやすい。特にハイブリッドは、下側に駆動用電池を収めるから座面の造りが悪化した。

後席の足元空間は、両車とも十分に確保するが、エクストレイルは特に広い。身長170cmの大人4名が乗車して、膝先空間はRAV4が握りコブシ2つ半、エクストレイルは3つ分を確保した。

またエクストレイルは、荷室に補助席を備えた7人乗りも用意する。片道15分程度の距離であれば、大人の多人数乗車も可能だ。

勝者:エクストレイル

トヨタ 新型RAV4 vs 日産 エクストレイル|荷室比較

荷室の床面積は、両車とも十分に確保した。背の高い荷物を収納する時は、リアゲートの角度を少し立てたワゴン風のエクストレイルが使いやすい。

またエクストレイルでは、20Xの3列シート仕様と、売れ筋になる20Xi(2列シートのみ)には、後席のスライド機能も採用した。

さらにエクストレイルでは、荷室に加えてシート表皮や床面にも防水加工を施している。屋外で遊んだ後に、気兼ねなく乗り込んだり、荷物を積めるように配慮した。新型RAV4も荷室のボード裏面が樹脂製で汚れを落としやすいが、エクストレイルの方が使い勝手を徹底して高めている。

勝者:エクストレイル

トヨタ 新型RAV4 vs 日産 エクストレイル|動力性能&エンジンフィーリング比較

新型RAV4、エクストレイルともにノーマルエンジンとハイブリッドを用意する。グレード構成はノーマルエンジンが豊富だ。

ノーマルエンジンは両車ともに、直列4気筒2リッターで、エクストレイルは筒内直接噴射式、新型RAV4は筒内直接噴射と一般的なポート噴射を併用する。

4WD仕様は車両重量が1500kgを超えるので、2リッターエンジンでは両車ともにパワフルではないが、吹き上がりは新型RAV4が活発だ。特に4500回転付近からの伸びが良い。また新型RAV4のノーマルエンジンはノイズが抑えられ、回転感覚が滑らかだ。

新型RAV4に比べるとエクストレイルのエンジンは、運転はしやすいがスポーティな印象は希薄になる。

ハイブリッドは新型RAV4が2.5リッターエンジンをベースにしたこともあってパワフルだが、ノイズが大きい。2リッターのノーマルエンジンに比べると滑らかさが乏しく、少し粗さを感じる。

エクストレイルのハイブリッドはエンジンが2リッターで、低回転域の駆動力不足をモーター駆動が補うタイプだ。新型RAV4のハイブリッドに比べて動力性能は低い。

勝者:新型RAV4

トヨタ 新型RAV4 vs 日産 エクストレイル|走行安定性比較

エクストレイルの全高は1700mmを超えるが、SUVとして走行安定性は満足できる。後輪の接地性が高いために挙動を乱しにくく、峠道などを走っても違和感は生じない。

新型RAV4はエクストレイル以上に安定性が高い。峠道を走っても旋回軌跡を拡大させにくく、スポーティな印象が強い。

特にアドベンチャーとG・Zパッケージには、ダイナミックトルクベクタリングAWDが搭載され、後輪左右の駆動力配分を積極的に変化させる。例えば左回りのカーブを曲がる時には、右側後輪の駆動力配分を高め、車両の向きを積極的に変えていく。この制御は、舗装路から悪路までさまざまなシーンで役立つ。

また新型RAV4は、アドベンチャーで見ると全幅が1865mmとワイドで、全高は1690mmに収まる。このボディ形状も安定性を高める上では有利だ。

勝者:新型RAV4

トヨタ 新型RAV4 vs 日産 エクストレイル|乗り心地比較

乗り心地は両車ともに低速域では少し硬めで、速度が上昇すると快適になる。タイヤサイズによっても異なるが、新型RAV4の乗り心地は引き締まり感が伴って重厚な印象がある。

勝者:新型RAV4

トヨタ 新型RAV4 vs 日産 エクストレイル|安全装備比較

緊急自動ブレーキを作動できる安全装備と、運転支援機能は、両車ともに標準装着した。

運転支援機能については、設定速度の範囲内で先行車両との車間距離を自動制御しながら追従走行を行い、作動中はドライバーのペダル操作を軽減させる。車線の中央を走れるように、パワーステアリングを制御する機能も備わる。

注目されるのは、新型RAV4の緊急自動ブレーキが歩行者に加えて、自転車の検知も可能にしたことだ。自転車は歩行者に比べると速い速度で移動しているから、検知するのが難しい。

エクストレイルに歩行者の検知機能はなく、車両に対する作動速度の上限も時速80kmにとどまる。国内の法定速度の上限までは対応して欲しい。

勝者:新型RAV4

トヨタ 新型RAV4 vs 日産 エクストレイル|グレード構成と割安度比較

両車ともに選ぶメリットが強いのはノーマルエンジンだ。特にエクストレイルのハイブリッドは、実際の走行を含めて、ノーマルエンジンと比べた時の燃費向上率が低い。その割に価格は安くないから、ノーマルエンジンを選びたい。

価格は機能の似ているグレード同士で比べると、新型RAV4 4WD・Xが283万5000円、エクストレイル 4WD・20Xは285万8760円になる。新型RAV4はサイド&カーテンエアバッグも標準装着したから(エクストレイルはオプション)、価格は明らかに割安だ。新型RAV4は後発のモデルだから、人気のエクストレイルに対抗して、価格を安くしたともいえるだろう。

勝者:新型RAV4

トヨタ 新型RAV4 vs 日産 エクストレイル|総合評価/どっちが買い!?

両車ともに前輪駆動をベースにしたシティ派SUVだが、バリエーションの中心は4WDで、オフロードSUVに似た価値観を備える。特にエクストレイルは、車内の汚れを落としやすく、遊びのグッズも気兼ねなく積める。SUVらしさを新型RAV4以上に強めている。

一方、エンジンの性能と回転感覚、走行安定性、自転車も検知できる緊急自動ブレーキなどは、新型RAV4が勝っている。従って推奨度が高いのは新型RAV4だが、荷室の機能などを重視する場合は、エクストレイルを選ぶ余地も十分にある。

勝者:新型RAV4

[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:茂呂 幸正・原田 淳]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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