注目の最新軽自動車 徹底比較(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:島村栄二
コンスタントに売れるクルマ
冒頭で述べたとおり、モデル末期の2009年ですら販売が落ち込まず、アルトという車種は、新車効果や流行にあまり左右されることなく、コンスタントに売れる車種である。
女性ユーザーに特化した印象の強かった先代モデルから、現行モデルはより普遍性のあるクルマになり、男性ユーザーが恥ずかしい思いをすることなく乗れるクルマになった。
この背景には、MT車に乗りたいという地方の年配男性ユーザーは決して少なくなく、しかしワゴンRは商業車っぽくて好まないという声があったため、そういったユーザーに選んでもらえるよう配慮したことが影響しているようだ。
そして実際、商品性の面でもアルトは、先代に比べてずいぶん良いクルマになっていた。誰でも乗れて、価格もこれまでどおり安い。
むしろコストパフォーマンスという観点では大きく向上したといえると思う。アルトは、これまで以上にロングセラーになる可能性があるだろう。
初代タントの現代版か
現行のタントの広さは魅力だが、センターピラーレスはいらないとか、色付けされたキャラクターに違和感を覚える人も少なくなかったようだ。
そうしたユーザーに向けて、初代タントを現代版として焼き直し、プラスアルファの価値を与えたのがタントエグゼ(カスタム)だと思う。
4枚のスイングドアとし、せっかくだからエクステリアデザインの印象を変え、さらに、内装や装備も上級イメージを与えたというクルマ。
圧倒的に広い室内空間はそのままに、シートアレンジよりも居住性に当て、あくまで人を乗せることに重きを置いて設計されたことがうかがえる。
タントで評価された良さをそのままに、さらに別の良さも持っている。
また、ボディ剛性や重量、走行性能面でもタントより有利だろうし、価格もいくらか安くなるというメリットも捨てがたい。
どちらか好みかはユーザーが選べばいいので、こうして選択肢が増えたことはありがたいことだと思う。こういうコンセプトも大いにアリだろう。
早くもテコ入れされ商品力が向上
スズキやダイハツでは車種自体の数を増やしているが、ホンダはライフという1車種の中で3タイプの個性を用意し、それぞれを大きく差別化している。
ディーバはダイハツでいうカスタムに相当する人気モデルで、2009年秋の改良でも、もっとも力を入れて変更を受けた。
先代ライフが軽自動車としては極めて完成度が高かったこともあり、現行ライフのモデルチェンジ当初は未熟な面が多々見受けられたものだが、早くもテコ入れされ、商品力を高めてきたところは迅速な対応だと思う。
4速ATというのは、実際の実力以前にイメージ的に損をしている部分が小さくないと思うのだが、そのあたり何らか手当てがあっていいかもしれない。
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