プリウス/ゴルフ/アクセラスポーツを徹底比較 ~注目の最新ミドルサイズハッチバック~(4/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正・和田清志
走行安定性と乗り心地のバランスが良くなり違和感を解消
プリウスの動力性能は先代モデルと同等だが、ノーマルタイプのガソリンエンジンでいえば2.4リッタークラスで、加速性能などに不満はない。ブレーキの操作感覚などは現行モデルで洗練され、微妙な加減速を繰り返す市街地でもほとんど違和感なく運転できる。
モーター駆動のみで発進して、加速の途中でエンジンが始動した時も耳障りには感じない。
走行安定性は、プラットフォームや足まわりを刷新したことで、先代モデルに比べると向上した。先代モデルは後輪が踏ん張る代わりに峠道などで曲がりにくく感じたが、現行モデルは車両の向きが自然に変わる。
その半面、危険回避のために旋回中にハンドルを切り込みながらアクセルを戻すような操作をすると、後輪を少し横滑りさせる傾向が見られるが、走行安定性が底上げされて挙動の変化は穏やかだ。ドライバーを不安な気分にさせにくく、先代モデルと違って多少はスポーティーな走りも楽しめる。
15インチタイヤを装着したノーマルタイプと17インチのツーリングセレクションが用意され、指定空気圧は15インチは前輪が250kPa、後輪は240kPaだ。燃費を重視して、転がり抵抗を抑えるために高めの設定とした。17インチは220/210kPaと低い。この違いもあってグリップ性能はツーリングセレクションが優れ、特に濡れた路面では違いが明確に分かる。
乗り心地も走行安定性と同様、先代モデルに比べて向上した。17インチタイヤのツーリングセレクションは少し硬いが、適度な引き締まり感が伴って粗さはない。15インチのノーマルタイプより上質と感じることもあるだろう。好みが分かれるので、乗り比べて判断したい。
プリウスの運転感覚は特に上質とはいえないが、走行安定性と乗り心地については先代モデルの不満を解消した。もちろん燃費も満足できるので、車庫入れなどを行って後方視界を確認したり、後席の居住性をチェックして選びたい。
全般的に走りが上質で長距離移動も快適に楽しめる
ゴルフには複数のエンジンがあるが、一般的な選択は、トレンドラインとコンフォートラインが搭載する1.2リッターターボと、ハイラインの1.4リッターターボだろう。1.2リッターターボでもノーマルエンジンに換算すれば1.8リッタークラスの動力性能を発揮するから、実用的には十分だ。ハイラインは2.5リッタークラスの性能になり、高回転域の吹き上がりも優れている。
リアサスペンションは、ハイラインではトレーリングアームから4リンクに上級化される。トレーリングアームでも走行安定性に不満はないが、ハイラインの4リンクは後輪の突っ張り感が抑えられて自然に曲がる印象だ。
乗り心地はいずれのグレードも重厚感があって上質だが、ハイラインは17インチを履くこともあって少し硬めに感じる場面がある。16インチのコンフォートラインも乗り心地は魅力的。ゴルフはワイドな全幅など気になる点があるが、長距離の移動を含めて快適に使える。
グレードは予算と使用目的に応じて選べば良いが、推奨するのはハイラインだ。コンフォートラインとの差額は36万6000円だが、この内の28万円くらいは装備の差で埋まる。残りの8万6000円で排気量と動力性能、足まわりと走行安定性が上級化するから、ハイラインが買い得と判断できる。
気になるのは、先般のディーゼル車の排出ガステスト問題について、詳細な事実関係と不正を行った理由、今後の対策が明確に説明されていないことだ。
特にフォルクスワーゲンの場合、小排気量ターボを本格導入した2008年頃から、品行方正なブランドイメージを築いてきた。先般の一件がそこに冷や水を浴びせており、曖昧な状態で放置しておくと、国内市場の不信感はさらに強まる。早期に入念な説明をすることが大切だ。
マツダらしさが濃厚なクリーンディーゼルターボが魅力
アクセラスポーツのクリーンディーゼルターボは、1500回転以下では駆動力が低下するが、1800回転を超えると十分に力強い(最大トルクの発生は2000回転)。ディーゼルだから高回転までは回らないが、2000~2500回転付近を保ちながら速度を上げていくと、加速にボリューム感があってガソリンエンジンとは違う回転感覚を楽しめる。ノイズもディーゼルとしては小さい。
しかもJC08モード燃費は6速ATが19.6km/L、6速MTなら21.4km/Lだから経済性も優れている。ディーゼルの高い駆動力に魅力を感じるなら、ハイブリッドよりも買い得だ。
操舵感は今のマツダ車らしく、小さな舵角から正確に反応する。峠道などではボディの前側が重く感じることもあるが(ディーゼルは前輪側の荷重が2リッターモデルを100kg程度は上まわる)、走行安定性に不都合はない。カーブでは前輪側を少し下げ気味にして、内側へ確実に回り込む。
となれば後輪の接地性が懸念されるが、不安感を抑えて高速道路のカーブなども安心して走行できる。このバランスの良さがアクセラの特徴で、同様のことがスカイアクティブ技術をフルに使ったマツダ車の多くに当てはまる。軽快感を求めるなら、ガソリンの2リッターエンジンを積んだ20Sツーリングも検討したい。
乗り心地は少し硬めだが、粗さは抑えられてスポーティーモデルとしては妥当な範囲に収まる。
クリーンディーゼルターボの搭載を含めて魅力的だが、価格が306万7200円では高い。安全装備を標準装着したのは良いことだが、スライドガラスサンルーフ、Boseサウンドシステムまで備わるのは行き過ぎだ。こういった快適装備をオプションに抑え、価格を280万円くらいに設定した仕様も用意して欲しい。
プリウスのAツーリングセレクションは292万6800円。けっこうな高価格車だが好調に売れている。2リッタークラスのミニバンも、エアロパーツを装着したグレードにオプション装備を加えると同程度の価格だ。このあたりが多くのユーザーがクルマを買う時の実質的な上限価格なのだろう。
クルマは高価でも不動産とは違って値落ちが大きい。登録して3年も経過すれば、査定額は新車価格の40~60%に下がってしまう。むやみに価格の高い車種は推奨できない。
クルマを趣味とする読者諸兄には、プリウスとそのライバル車を検討して、ご自分に合ったクルマを安全に、大切に使っていただきたい。
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