ホンダ S660 vs マツダ ロードスター どっちが買い!?徹底比較/渡辺陽一郎(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
ホンダ S660 vs マツダ ロードスター/動力性能対決
次は動力性能を比べる。S660のエンジンは直列3気筒の660ccでターボを装着した。最高出力は64馬力(6000回転)、最大トルクは10.6kg-m(2600回転)。使用燃料はレギュラーガソリンだ。
最大トルクは軽自動車のターボの中でも高い部類に入る。しかも2600回転で発生するから、軽自動車のギヤ比では、走行中は常にターボが作動している。運転感覚は1リッタークラスのノーマルエンジンと同等だ。
車両重量は6速MTが830kg、CVT(無段変速AT)が850kg。決して軽くないが、動力性能の不足も感じない。高回転域の吹き上がりは軽快で、許容回転数はCVTが7000回転、6速MTは7700回転まで高めた。
一方、ロードスターのエンジンは、現行型になって排気量を先代型の2リッターから1.5リッターに縮小させた。使用燃料はプレミアムガソリンで、最高出力は131馬力(7000回転)、最大トルクは15.3kg-m(4800回転)になる。
巡航中にエンジンが2000回転を下まわると駆動力が落ち込むが、それ以上の回転域なら不満はない。4000回転を超えた領域の吹き上がりも活発で、良く回るエンジンに仕上げた。
車両重量は「Sスペシャルパッケージ」の6速MTが1010kg、6速ATが1050kgになる。先代型に比べると100kg以上も軽くなったから、動力性能は先代型の2リッターに見劣りするものの、スポーツカーとしての加速力は備わる。
S660との対比でいえば、加速感が勝るのはロードスター。ただし差が付くのは主に最高出力が発揮される高回転域で、実用域ではあまり違いがない。
またコンパクトなスポーツカーでは、パワーをフルに出し切る楽しさもある。そこまで考えれば、両車ともボディサイズと車両重量に見合う性能だろう。
ホンダ S660 vs マツダ ロードスター/走行安定性対決
操舵感と走行安定性は、ミッドシップと後輪駆動というレイアウトの違いもあって優劣を付けにくい。S660が軽自動車で、全幅が1475mmしかないことも考えれば、かなり上質に造り込んだ。
S660は後輪の接地性を高めた設定ではあるが(タイヤサイズも前輪が15インチで後輪は16インチ)、前輪も路面をしっかりとつかんで確実に曲がる。操舵に対する反応は正確で、速度を高めて曲がっても旋回軌跡を拡大させにくい。旋回の後半でアクセルを踏み増すと、後輪に荷重が加わって車両を舵角に沿って確実に前へ押し出す。
俗っぽい表現をすれば「オン・ザ・レール」と呼ばれる運転感覚で、操舵角に対して忠実に旋回する。車両の動きに合わせてハンドルを微調節する必要がほとんどない。
だからVSA(横滑り防止装置)をカットするスイッチも設けていない。後輪を大きく横滑りさせるような性格のクルマではないわけだ。
強いていえば、旋回中にアクセルを踏むというより少し戻して、車両の向きを若干コントロールする程度の走り方で十分に楽しめる。ボディの中央に重いエンジンを搭載するミッドシップの特徴を生かしたスポーツカーの新しい運転感覚ともいえるだろう。
ロードスターはS660とは対称的で、初代モデルに通じる後輪駆動の特徴を感じる。旋回時にボディの前側を下げて車両を内側へ向けるのは、設計の新しい大半のマツダ車に通じる設定だ。ロードスターはそこに後輪駆動車の優れた重量配分とコントロール性を加えた。後輪の接地性が味付けの範囲内で若干緩く、アクセル操作によって車両の向きを変えやすい。クルマと対話している感覚を味わえる。
この性格の違いに優劣はないが、S660が軽自動車だと考えればやはり凄い。
表現を変えると、全幅が狭いとか排気量が小さいといわれる今の軽自動車の規格も、それ相応に造り込めば、優れた商品力を生み出せる。Nシリーズに次ぐS660の投入で、ホンダの軽自動車造りの底力が見えたように思う。これは軽自動車という規格が持つ潜在的な可能性でもあるだろう。
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