5ナンバーミニバン 徹底比較(4/4)
- 筆者: 石川 真禧照
- カメラマン:原田淳
男性が最終的に決定するクルマ
ホンダのセールスの人たちに聞いたことがあるのだが、ホンダのミニバンを購入する人たちのパターンのなかで、意外に多いのが、車種やグレードを決めるのは、男性。ふだん使用するのは女性、というパターンだそうだ。
クルマを最終的に決定するのは女性というのが、最近のパターンだが、ホンダのミニバンはこのパターンにあてはまらないというのだ。男性が車種まで決定権をもっている。クルマだけは、好きに選ばせてくれ!というだ。しかし、ステップワゴンを見て、それは本当かもしれない、と思った。
例えばフローリングの床とか、ホワイトガラスの天井などは、男の部屋の感覚。さらにサードシートの扱い方や、シートの重さなど女性ユーザーを意識してのクルマづくりとはあまり思えなかった。
走りに関しても、町中では横方向のソフトさが気になったが、おそらくサーキットのようなところに持ちこむと、それがしなやかさとなって、小気味のよいコーナリングになるのだろう。
車両価格は安めだが、オプションの選択肢が広いので、自分好みに仕上げると意外に高いことも注意したい。ベストはGのLパッケージFF車。
女性ユーザーを徹底的に意識
ステップワゴンとは対称的にセレナは、女性ユーザーを徹底的に意識している。
それはスタイリングからいえる。例えばフロントドアウィンドは、他のサイドウィンドよりも一段下がっている。これは駐車するときなどにクルマのナナメ前が見やすいように、という考えから。女性ユーザーが駐車の際に気になる部分を解消しようというのだ。
シートアレンジも扱いやすさがメインテーマだった。セカンドシートのマルチセンターシートのスライドや折り畳み、サードシートの折り畳みなどの操作は、すべて軽くなっている。
誰にでも、カタログや取り扱い説明書を見なくても、使えるクルマにする、というコンセプトは、ファミリーユースのクルマには必要だろう。
エンジンは2L、137馬力、20.4kgmという数値だ。ステップワゴン(155馬力、19.2kgm)、ヴォクシー(155馬力、19.6kgm)と比較すると、馬力は小さいがトルクが太いことがわかる。スポーツモデルではないので、馬力よりもトルクのほうが、扱いやすさに結びつく、という考え方からきたセッティングだ。20SのFF車で十分楽しめる。
2列シートのグレードはレジャーユースに最適
ハンドリングを含めたメカニカルな性能では、ヴォクシーは他の2車と十分に比較できる実力がある。とくに04年のマイナーチェンジで、かなり実力がアップしている。
しかし、スタイリングに関してはマイナーチェンジで、個性を強くしたために、従来の大人しい印象は薄くなってしまった。インテリアもトヨタのミニバン系は、あまり明るい色を用いていないので、暗いイメージになってしまう。室内の汚れが目立たないので、これが好評というのだが、選択肢もないというのは不満だ。
ヴォクシーが他の2車と異なるのは2列シートのグレードが設定されている点。3列シートは使わないが、広い室内はほしい、というアクティブなユーザーに、この設定は貴重だ。実際に、使ってみるとレジャーユースにピッタリのつくりということがわかる。
車両価格は他の2車にくらべると、やや高めだが、装備は揃っているので購入後の出費は少ないハズ。
ベストモデルはX・Vエディションで、ブラインドコーナーモニター付。
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