【比較】今ブームの人気SUV3車 ハリアー・エクストレイル・CX-5を徹底比較(4/4)

【比較】今ブームの人気SUV3車 ハリアー・エクストレイル・CX-5を徹底比較
トヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンス ボディカラー:シルバーメタリック トヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンス ボディカラー:シルバーメタリック トヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンス ボディカラー:シルバーメタリック トヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンス ボディカラー:シルバーメタリック トヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンス ボディカラー:シルバーメタリック トヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンス ボディカラー:シルバーメタリック トヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンス ボディカラー:シルバーメタリック トヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンス ボディカラー:シルバーメタリック トヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンス トヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンス トヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンス 画像ギャラリーはこちら

ハイブリッドは低燃費だけでなく、運転感覚も上質に仕上げた

トヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンストヨタ ハリアー2.5 ハイブリッド E-Four エレガンス

ハリアーは2.5ハイブリッドを試乗した。動力性能はLサイズのSUVとして満足できるもので、モーターはアクセル操作に対する反応が素早く、巡航時からの緩い加速ではエンジンの駆動力を効果的に支援する。排気量は2.5リッターだが、加速感は2.7リッタークラスだ。

そのためにアクセルの踏み方も穏やかになり、モーター駆動の併用もあって静粛性も優れる。4気筒エンジンを意識させるのは、登坂路で加速する時くらいだ。

走行安定性もシティ派SUVらしく良好。操舵に対する反応は自然で、ボディの傾き方も穏やかなので安心できる。2リッターエンジン搭載車に比べてボディの重さを意識するが、違和感が生じるほどではない。

乗り心地は、低速域では路面のデコボコを感じるが、SUVの中では快適な部類に入る。試乗車のエレガンスは17インチタイヤを装着して、足まわりとの相性も良い。ハリアーの売れ筋は上級グレードの「プレミアム」だが、標準で装着されている18インチタイヤは少し硬い。機能と価格のバランスまで含めて、「エレガンス」が最も買い得なグレードになる。

それでもハリアーは、今のところ国内専売の車種でもあり、価格は高めだ。ノーマルタイプの2リッターエンジンを積んだ最廉価の2WDグランドでも約280万円。CX-5の2WD・20Cに比べて約70万円高い。

このあたりは考え方次第で、クラウンに近い位置付けのSUVと考えれば納得できる。ハリアーハイブリッドエレガンスは377万4,857円、同じハイブリッドを積んだクラウンハイブリッドアスリートは421万7,143円。両車ともにカーナビなどはオプションで、ハリアーには後輪をモーターで駆動する4WDも備わる。堅調な売れ行きを見ると、多くのユーザーがこの価格に納得しているようだ。

■トヨタ ハリアー(ハイブリッド)の画像ギャラリーはこちら(走行シーン)

走行安定性や操舵感が向上して走りの総合バランスを高めた

日産 エクストレイル 2.0 20X エマージェンシーブレーキパッケージ 2列車 4WD日産 エクストレイル 2.0 20X エマージェンシーブレーキパッケージ 2列車 4WD

エクストレイルが搭載する2リッターエンジンは、排気量の割に実用回転域の駆動力が高い。車両重量が1,500kgだから余裕があるとはいえないが、実用的には満足できる。

CVT(無段変速AT)にはステップ制御が採用され、フル加速時でも有段ATのようにエンジン回転が上下しながら車速を高めるが、この機能はあまり意味がない。CVTの利点は、効率の良い回転域を保ちながら滑らかに速度を高められること。フル加速時には、高回転を維持した方が良い。この種の玩具性はパドルシフトなどに任せるべきだ。

走行安定性は、今日の流れに沿って後輪の接地性を重視していて、直進時、旋回時ともに安心性が高い。

後輪が踏ん張る分だけ積極的に曲がれば旋回軌跡が拡大するが、高重心のSUVではバランスが良い。先代モデルは、ハンドルを切った時に唐突に傾いて走行安定性も不足気味だったが、現行モデルではその点は向上した。ボディ剛性を高め、ホイールベースを拡大した効果も大きい。

ただし乗り心地は先代モデルよりも硬く感じる。粗さはないが、足まわりが柔軟に動くSUVらしさは薄れた。それでも走行安定性と操舵に対する反応の仕方が正確になり、総合的な走りの水準は高まっている。

現行エクストレイルの評価は、この変化をどのように受け取るかで変わってくるだろう。オフロードSUV風の外観と優れた視界、ゆったりした乗り味が好みなら、先代モデルの方が魅力的だったと思うだろう。

逆にリアシートの広さ、舗装路での走行安定性など、一般的なクルマの機能を重視するなら現行モデルだ。SUVは趣味性が重視されるジャンルだから、自分の好みを反映しているか否かを見極めたい。

■日産 エクストレイルの画像ギャラリーはこちら(走行シーン)

クリーンディーゼルターボの圧倒的な動力性能と低燃費が魅力

マツダ CX-5 2.2 XD Lパッケージ ディーゼルターボマツダ CX-5 2.2 XD Lパッケージ ディーゼルターボ

CX-5の特徴は、2.2リッターのクリーンディーゼルターボ。4リッターのガソリンエンジンに相当する42.8kg-mの最大トルクをわずか2,000回転で発生し、動力性能は発進直後から力強い。特に巡航中に緩い加速をする時は、変速してエンジン回転を大きく高めることなく、期待どおりに加速できる

その半面、ユーザーによってはディーゼルのノイズが耳障りに感じるだろう。ディーゼルでは静かな部類だが、ガソリンエンジンよりは騒々しい。高回転域の吹き上がりはディーゼルでは良好だが、ガソリンエンジンに比べれば鈍い。

とはいえ動力性能が高く、燃料代は1.5リッターのガソリンエンジン並みだから効率は優れている。車両価格は2.5リッターのガソリンを38万円ほど上まわるが、性能を考えれば納得できる。

ちなみに1km当たりの燃料代を実用燃費で割り出すと、CX-5のディーゼルとハリアーハイブリッドは9.1円でほぼ同じ。燃費数値はハリアーが勝るが、CX-5のディーゼルは安価な軽油を使うためだ。エクストレイルは12円になる。

走行安定性と操舵感は意外にスポーティ。旋回時には車両の前方を少し下げながら、しっかりと回り込む。「SUVである以前にマツダ車」と感じた。その半面、後輪の接地性は相対的に下がるが、安定性に不満を抱くほどではない。

SUVはミニバンや背の高いコンパクトカーに比べると、実用性が下がる代わりに運転して楽しい。適度に重心が高く、スポーツカーに比べて挙動の変化を味わいやすい一面もある。前述のように車種ごとの性格も明確に異なるので、試乗して最適なSUVを見つけていただきたい。

■マツダ CX-5の画像ギャラリーはこちら(走行シーン)

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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