日産 新型スカイラインターボ 200GT-t vs マツダ アテンザ XD クリーンディーゼル どっちが買い!?徹底比較(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
新型スカイラインターボ vs マツダ アテンザ クリーンディーゼル -動力性能対決-
次に、最も違いが出やすいと思われる両車の動力性能について比べてみよう。
新型スカイラインターボ 200GT-tが搭載する2リッター直列4気筒ターボは、最高出力が211ps(5,500rpm)、最大トルクが35.7kgf-m(1,250~3,500rpm)。
最高出力の数値はノーマルタイプのガソリンエンジンでいえば2.5リッタークラスだが、最大トルクは3.5リッターに匹敵する。そのため、実用回転域での駆動力が高い。
3.5リッターV型6気筒をベースにしたハイブリッドは、モーター駆動が加わるものの、車両重量も100kgほど重いため、200GT-tでもあまり見劣りしない。半面、高回転域の伸びは350GTハイブリッドが勝る。
いずれにしろ、新型スカイラインターボ 200GT-tはパワフルと表現できる動力性能を得ているのは間違いない。ターボでありながらアクセル操作と動力性能の増減に違和感はなく、6,000rpm前後まで回さない限りは3.5リッタークラスの性能と考えて良いだろう。
アクセラセダンXD・Lパッケージが搭載する2.2リッターのクリーンディーゼルターボは、新型スカイラインターボとはフィーリングがまったく異なる。
最高出力は175ps(4,500rpm)、最大トルクは42.8kg-m(2,000rpm)。ガソリンエンジンでいえば4リッタークラスの最大トルクをわずか2,000rpmで発揮するから、発進直後の駆動力はきわめて高い。
通常の走行では、軽くアクセルペダルを踏むだけで1,500~2,500rpm付近を維持しながらシフトアップを重ねて速度を上昇させていく。この運転感覚は一種の快感ともいえるが、ガソリンエンジンに慣れたユーザーが扱うと違和感を抱くこともあるだろう。エンジン回転と動力性能の関係が、ガソリンエンジンとは異なるからだ。
ディーゼルの中では高回転まで回る部類だが、ガソリンエンジンに比べれば頭打ちは早い。それでも前述の燃料代の安さまで考えれば効率は高く、走行コストの面で見ればクラウンハイブリッドなどと同等だ。
新型スカイラインのターボやハイブリッドと比べても明らかに安い。エンジンノイズはディーゼルとあってアテンザセダンが大きいが、ディーゼルエンジンの中では静かなほうだ。
また、新型スカイラインターボも静かなエンジンではない。音質が太くスポーティと表現できるが、静かで滑らかに吹け上がる多気筒エンジンとは異なる。
纏めると、両車とも動力性能は十分で、新型スカイラインターボ 200GT-tの運転感覚は馴染みやすく、アテンザセダンXD・Lパッケージは低回転域の高い駆動力と高効率が魅力だ。
新型スカイラインターボ vs マツダ アテンザ クリーンディーゼル -走行安定性対決-
走行安定性と操舵感はどうか。
新型スカイラインは、350GTハイブリッドがハンドル操作を電気信号に変換して操舵する「ダイレクトアダプティブステアリング」を採用しているが、200GT-tターボは電動油圧式を採用している(2014年秋にダイレクトアダプティブステアリングがオプション設定される予定)。路面の状況に合わせて前輪の動きを微調節する機能などは付かないが、電動油圧式のほうが操舵感は自然だ。
ダイレクトアダプティブステアリングはスポーツモードの選択によってギヤ比を大幅にクイックにすることも可能だが、低速でゆっくりと操舵した時に操作と舵角にズレが生じたり反力が不自然だったりする。だが、電動油圧式であればこういった違和感は生じない。
そして200GT-tターボの足まわりは、350GTハイブリッドよりも少し硬めに設定されている。
車両重量も100kgほど軽く、走行安定性は向上。350GTハイブリッドは良く曲がる半面、相対的に後輪の接地性が低く感じる場面もあるが、200GT-tであれば違和感を生じにくい。前後輪のグリップバランスが一般的な比率に近付けられている。
だから、350GTハイブリッドのような機敏に向きを変える面白さや玩具性は乏しいが、自然な運転感覚を重視するユーザーには適している。
「ダイレクトアダプティブステアリング」は、今は発展途上のメカニズムと考えるべきだろう。
新型スカイラインターボ vs マツダ アテンザ クリーンディーゼル -総評-
以上を総括すると、機能と価格のバランス、動力性能と燃費を考えると買い得なのはアテンザセダンXD・Lパッケージだ。走行安定性も上手にまとめた。
一方、新型スカイラインターボは実用性を超えた運転の楽しさ、新しいスポーティセダンの姿を追求している。その結果、「ダイレクトアダプティブステアリング」のセッティングが少し行き過ぎたと受け取られるが、機敏に曲がる性格は往年のスカイラインのイメージに合うだろう。
ボディをもう少し小さく抑え、200GT-tは車両重量を1,450kg以下にすると車両の挙動バランスがさらに良くなったと思うが、「攻める気分」にさせる性格は濃厚である。
アテンザに比べると新型スカイラインは割高ではあるが、現存する国産セダンの中では運転の楽しさを最も強く押し出している。
この持ち味を突き詰めたのが「350GTハイブリッド」、少しバランス型に振ったのが「200GT-tターボ」という位置付けになる。一般的な選択はアテンザセダンだが、刺激が欲しいユーザーへは新型スカイラインターボを推奨したい。
BMWやメルセデス・ベンツのような「優等生」でないところも、過激だった時代のスカイラインを思い出させるのだ。
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