ドイツプレミアムコンパクトセダン 徹底比較(3/4)

端正で質感の高いインテリア

インパネのデザインはいたってオーソドックスで、端正な構成となっている。樹脂パネルの質感もそこそこ高い。反面、いささか事務的すぎる感もあり、もう少し、例えば現行SクラスやEクラスのような“色気”があってもよかったのではないかと思う。

センターパネルを大きく設定し、操作スイッチ類を集中レイアウト。あまりひとつのスイッチに多機能を与えず、使いやすく設定した点には好感を抱く。

また、新しいHDDナビが設定され、センターコンソールにコマンドコントローラーが設けられる。

リアシートのスペースは、いずれのモデルもサイズの制約のある中で頑張っているものの、こちらのCクラスが一歩リードした印象だ。なお、カタログに掲載されていないが、可倒式リアシートもオプションで選択できるという。

ひとつ気になったのは、C300アバンギャルドSには右ハンドルしか設定のない点だ。まもなく日本に導入されるAMGで左ハンドルも選べるからヨシとされたのかもしれないが、それでもアバンギャルドSとの価格差は非常に大きくなるはず。こういうモデルなればこそ、左ハンドルで楽しみたいというユーザーのほうが多いような気がするのだが…？

デザインコンシャスなドライビング空間

エクステリアと見事に調和されたデザインのインテリアは、いまやすっかりBMWらしさとして目に馴染んだが、エキゾチックな佇まいは、昨今のBMW流である。デザインやカラーコーディネートの巧みさも興味深い。そして、デザインの面白さもさることながら、あくまでドライバー主体に構成されていることがヒシヒシと伝わってくる。

ただし、i-Driveについては、カーナビのインターフェイス自体に階層のわかりにくい部分があり、少し使いにくく感じられてしまう。

3シリーズだけに、それほどスペースを稼ごうとしたクルマではないはずだが、このサイズの中で、よくぞここまでスペースを確保したといえる。後席の使用頻度が低いのであれば、5シリーズを買う必要性すら考え直させられるほどだ。335iでは、後席のブラインドの設定すらある。

リアシートは分割可倒式となっており、トランク上面にあるレバーを引くことで前倒しされる。トランクルーム自体は、横幅はタイヤハウスに要し少し小さめだが、縦方向は十分に長く、トランクスルーを活用することで、かなりの長尺物も積載可能となっている。

また、トランクルーム上部には、引き出し状のトレーも備わる。走りだけでなく、このように使い勝手にも配慮しているあたり、やはりカテゴリーの王者たる3シリーズなればこそだろう。

従来ゆずりの上質・快適な空間

先代でも大いに評価された質感の高いインテリアは、現行モデルにも受け継がれている。しかしながら、Cクラスも3シリーズも代替わりし、かなり力を入れてきた。

よって、アドバンテージといえるものはなくなってきたようにも思える。また、A6あたりを引き合いに出すと、やはり価格帯に相応ではあることには違いない。

とりたててどこにも奇抜なところはなく、それでいて、質感の高さを感じさせ、落ち着き感を与える空間となっている。金属パネルの使い方も上手い。

ステアリングホイール中央には、アウディの新アイデンティティであるシングルフレームグリルを模した模様が入れられている。それ以外は、あまり従来のA4に比べて変わっていないように思われ、現時点では、やや古さが感じられるようになったのは否めない。

室内空間もボディサイズのわりには十分に広く確保されている。装備類も充実し、快適なドライブを提供する。ラゲッジスペースも、横幅もそこそこで、深さもあり、縦方向の長さがかなり広く確保されている。実用性に優れるパッケージングである。

内装・装備の総評

価格とバリューを天秤にかけて、いずれもクラスに相応しい質感と個性を備えており、デザインテイストはそれぞれ。昨今、エクステリアもインテリアも、よりブランドのアイデンティティが求められる中で、こうして見てもBMW3シリーズの個性が際立つ。装備面では、どれもカーナビの機能がいまいちであった中で、Cクラスに新たに採用されたカーナビは、一気に優位に立った印象だ。