フィアット 500 海外試乗レポート(1/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:フィアット・オート・ジャパン
小さなボスが狙う、フィアットの未来
モンテゼーモロ・フィアットグループ会長から、新たにマルキオンネ・フィアットグループオート会長就任という新体制になってからというものの、フィアット自動車部門は好調に推移している。フランス勢などが軒並み前年割れを記録する中、グランドプントなど堅調な売れ行きだ。ブランドトップに60年代生まれの若い人材を登用するなど、硬直した組織を“柔らかに”した結果であろう。もちろん、クルマの仕上がりも徐々に良くなってきた。
そんな最近のフィアットの勢いを象徴する催しが、去る7月4日に行われた。新型500デビューイベントである。この日は、ちょうど50年前に愛すべき2代目チンクェチェントが生まれた日であり、150台もの“ヌォーバ500”がトリノの街をパレードした。そして、50年後の同じ日に新型をデビューさせるにあたり、フィアット首脳陣は盛大な誕生日会を、トリノのみならずイタリア全土を巻き込んで挙行することを決めたのだった。
当日、ヨーロッパ中から旧型チンクが集まり、ヴィットリオ・ヴェネト広場を埋め尽くした。他の有名な広場でも数々のイベントが催され、ブランド街のショーウィンドウには“まだ見ぬ”新型500のパーツが飾られた。
そして夜10時。ポー川の上に設営されたステージを1万人の観客が特設スタンドから見下ろしている。旧型チンクが川面を走り回り、ローリン・ヒルが新曲を披露すれば、人型の新型500が宙を舞い、何千発の花火が打ち上げられて、新型500がステージ上へ。何ともド派手なお披露目イベントであった。調子に乗ると怖いフィアットである。
翌5日、トリノオリンピックのアイスホッケー会場だったパレ磯崎でプレスカンファレンスが行われた。さすがに力が入っているとみえて、マルキオンネ直々登場し自ら出演するイメージフィルムを背にスピーチ。若きブランドトップ、デ・メオのプレゼンテーションも堂々としたものだった。
それもそのはず、この500、単にノスタルジーのモダナイズではない。デ・メオ自ら、「これは新生フィアットブランドのマニフェストだ!」と言うように、今後のフィアット車のあり方を、方向性を示す、いわば小さなフラッグシップなのだ。―――その中身は、真っ当で安全で環境に優しいコンパクトカーであること。いま一度、先代チンクが築いた庶民の味方というフィアットの原点に、立ち戻るという意思表示であったと思う。
トリノの街を新型500で走っていると、とにかく人々の視線が痛いほどであった。広場に停めれば、たちまち黒山の人だかり。しかも、彼らの顔が一様に笑顔である。そして、真剣だ。このクルマは愛されていると思った。
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