フィアット 500 海外試乗レポート(3/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:フィアット・オート・ジャパン
このクルマはイタリア人の心意気の象徴
日本への導入は早くて年明け早々で、まずは1.2のデュアロジックから導入されるという。今回、デュアロジックの試乗車がほとんどなく、1.2と1.4のMTのみの試乗となった。
1トンを大きく割り込む車重とはいえ、69bhpの1.2SOHCではさすがに少々かったるい。パンダではそれほど感じなかったが、トレッドが広がり路面をしっかり受け止めるようになった分だけ、このパワーでは物足りないということか。とにかくズボラな運転を許してくれず、常に適切なギア(当たり前なのだが)をチョイスして、積極的な運転が要求される。これはこれで、とてもイタリア車らしいというべきだが。
比べて、100bhpの1.4ならば、極めて軽快なドライブが楽しめた。6速であることも手伝って、出だしからクルージングまで、極めてスムース。パンダよりも静かでしっかり感のある走り味である。
とはいえ、全体的な雰囲気は、パンダの延長線上だ。BMWミニのような個性も無い代わりに、万人に受け入れられる。たっぷりとしたストロークと柔らかめの乗り心地、どちらかといえば脱力系で、気構えずに乗れるのが嬉しい。この懐の深さというか間口の広さこそが、国民車500のあるべき姿であろう。なるほど、新生フィアットの公約としてふさわしい。
ライバルとしてBMWミニが挙がるだろうが、現地での価格を考えれば、500が完全に格下である。それに、この手のクルマはまずカタチの好みありきだ。ライバルというよりはむしろ、クルマ好きをさらに増やす、そんな役割を担ってくれればと思う。
撮影のため広場にクルマを置くと、あっという間の人だかりであったと先に書いた。もちろん、こちらはカメラを構えているわけで、必死で交通整理をする(もちろん、片言のイタリア語で!)のだが、退いていてくれるのはものの数秒。新しい人が次から次へとやってきて、クルマに群がってしまう。そして、彼らは放っておくと、勝手にドアを開け、中に座り、後席の広さまで確かめ、ようやく出たかと思えばついでに前後のフードを開けて、エンジンはどうの、荷室はどうの、とたまたま居合わせた人と議論をかわす。それがもう、まさに老若男女なのだ。現実的な選択肢として、彼らが真剣に500を見ていることの証。撮影しているこっちとしては迷惑千万であったが、反面、とても羨ましく思えた。イタリア人はこんなにクルマが好きなんだ、と。
結局のところ、新型500にはそのシルエットにしか旧型チンクェチェントのDNAは見当たらないが、その大部分はイタリア人のハートにあったのだな、と日本人としては感心するしかなかった。
そうそう、日本デビューは随分と先だが、秋の東京モーターショーには、フランクフルトでデビュー予定のアバルトモデルがやってくるという。それも楽しみである。
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。