フェラーリGTC4ルッソTは新たな跳ね馬!派生ではない6番目モデルの理由(1/2)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:フェラーリ・ジャパン
フェラーリが6番目のニューモデルと強調する理由は?
フェラーリの六番目のラインナップとして登場した“GTC4ルッソT”。
「え?GTC4ルッソの派生モデルでしょ?」と問われてしまうと、自動車ライターとしては「はい、まぁ、そうでしょうな」と答えるほかないのだけれど、マラネッロは「あくまでも、GTC4ルッソTは六番目のニューモデルである」と主張してはばからない。
ルッソが6.3リッターV12エンジンを積んだ4WDのフル4シーターだったのに対して、名前にTが付いたことからも分かるとおり、ルッソTにはターボエンジンが積み込まれた。ただし、エンジンは3.9リッターV8で、しかも4WDではなくFRである。そしてミッションは、ともに7速DSG。つまり、内容的にはカリフォルニアTに近い中身をもつルッソ、というわけだ。
内外装のデザインは、12気筒版とまったく同じ。わずかにマフラーフィニッシャーと20インチ鍛造アルミホイールのデザインが専用となるのみ。それでも尚、マラネッロが“派生モデルではない”と強弁する理由はどこにあるのだろうか。
だが乗ってみると、その理由が明確に理解できた。
3.9リッターV8ツインターボを搭載したルッソT
イタリアで行なわれた海外試乗会の模様を報告する前に、もういちど簡単にモデル概要を記しておきたい。
そもそも、GTC4ルッソは、FF(フェラーリ・フォー)の後継モデル(ビッグマイナーチェンジ)として登場した。革新的な4RM(4WDシステム)に後輪操舵を加えた進化版の4RM-Sを搭載。その他の電子制御系すべてをアップデートし進化させた、豪華なグランツーリズモである。
6.3リッターV12エンジンは、最高出力が690PS/8000rpm、最大トルクが697Nm/5750rpm。FFが、ちょっと直線番長的なGTであったのに対して、ルッソでは新たに後輪操舵を加えることによって、GT性能とスポーツカーとしての楽しさをミックスさせた存在となった。
とはいえ、どちらかといえばアンダーステア傾向はそのまま残されており、常に安心と伴うドライブフィールが特徴のモデルでもあった。
そして、ルッソTはカリフォルニアTと同系列の3.9リッターV8ツインターボエンジンが長いノーズの前軸以降に小さく収まっており、最高出力610PS/7500rpm、最大トルク760Nm/3000~5250rpmを発生。
12気筒のルッソと8気筒のルッソTとの重量差は50キロだ。ルッソに比べて主にフロント部分が減量された結果、前後重量配分は46:54とリアヘビーとなり、さらに後輪操舵制御を加えることでレスポンスに優れた俊敏なハンドリングと安定したGT性能の両立を図った、というわけである。
いつになくスペックを細かく羅列してみたが、そこからルッソTの走りのキャラクターがどれだけルッソとは違っているのかが、おぼろげながらも想像できると思うのだが、いかがだろうか。
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