ダイハツ ムーヴ試乗レポート/岡本幸一郎(2/2)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
走り、装備の充実ぶりは先代を大きく上回る
使い勝手の面では、約90度開くドアと、横開き式のバックドアはムーヴの特徴。ヒップポイントが高く、広々とした後席もこれまでどおり。室内幅が1350mmと軽最大であるのもムーヴの強みだ。
また今回、肌の潤いキープや、まとまりの良い髪になる「ナノイーシャワー」が設定されたのも、女性にはうれしいニュースだろう。
ムーヴというと軽自動車初を謳う数々の装備がこれまでも与えられてきたが、プリクラッシュセーフティやレーダークルーズコントロールの設定、プリテンショナー付きシートベルト、オートエアコンの全車標準装備化など、やはり軽自動車らしからぬ充実ぶり。
さらに、先代の途中で廃止されていたVSCが復活し、しかも、先代では高価なパッケージオプションでしか選べず、やや非現実的な設定だったところが、今回は、カスタムRSのみというのが残念ではあるものの、単独で6万3000円で選べるという現実的な設定になったところも歓迎したい。
有益なものであるのは間違いないので、ゆくゆくはもっと多くのグレードで選べるようになり、そしてユーザーが積極的に選ぶようになるよう、切に願う次第である。
そして、ムーヴというと、やはり気になるのはワゴンRに対してどうか。
先々代までは、「価格こそ正義」のスズキと、「品質で勝負」のダイハツという図式がモロに両車の商品性に反映されていたのだが、2008年に登場した現行ワゴンRが一気にそれまでの殻を破って上級移行してきたので、「互角」という印象になった。
その点、デザインや乗り味、前述の使い勝手は“好み”の問題としても、乗り心地や静粛性など快適性は標準系もカスタム系もムーヴが上回ると思うし、装備面でのアドバンテージもこれまでどおりだ。
要するに新型ムーヴは、あるべきポジションの中で、しっかりその立ち位置を高めたクルマとなって出てきたと思う。
先代~先々代のムーヴの走りや装備について、軽自動車でここまでやるか!?と驚かされたものだが、新型もそれは同様。
また、持ち前の高いバリュー感を継承しつつ、ある部分はさらに向上し、ある部分は同等のバリューを維持しながらも、より「調達コストの低減を図った」との説明もあり、ユーザーに少しでも安く提供できるようにと努力したこともうかがえる。
税制など軽自動車の行く末に不透明な要素が多い中で、これならたとえ税制面でのメリットが小さくなっても、「ムーヴが欲しい!」という指名買いのユーザーが減ることはないだろうと思わせる仕上がりであった。
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