BMW 新型3シリーズ “M340i xDrive”試乗|日常域でも愉しめる“M”のパフォーマンス
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:茂呂 幸正
2019年にデビューを果たすや、日本カー・オブ・ザ・イヤー2019-2020「インポートカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、国内でも高評価を得ているBMWの新型3シリーズ。既に330iと320dの試乗レポートをお届け済みだが、今回は387ps/500Nmを発揮する直列6気筒 3リッターガソリンターボエンジンを搭載し、シリーズ中最もハイパフォーマンスな「M340i xDrive」をご紹介する。
>>キドニーグリルまで特別仕立て! “M340i xDrive”を画像で見る[フォトギャラリー]
387ps/500Nmを発揮する直6 3Lガソリンターボエンジン搭載
現行3シリーズにおいてM340i xDriveは、最もハイパフォーマンスな一台だ。その心臓にはBMWの代名詞となる、3リッターの直列6気筒ガソリンターボが搭載されているからである。
最高出力は387PS/5800rpm、最大トルクは500Nm/1800-5000rpm。日産スカイライン “400R”が既に大台超えの406PSを実現して話題をさらったが、トルク値としてはこれを25Nm上回り、がっぷり四つ。どちらにしてもヤワなスポーツカーでは太刀打ちできないほどの力持ちである。
軽いけど、重厚!?
そんなM340iの乗り味は、3シリーズの本質を極めて高い純度で表現している。
まず圧倒されるのはその独特な重厚感だ。それは試乗車がMスポーツの足回りを備えているせいもあるが、引き締められたサスペンションからの入力はボディで受け止められ、ダンパーがその衝撃を素早く吸収する様子には、ちょっとした凄みを感じる。またM340iには、アダプティブ・サスペンション(可変ダンパー)が標準装備となっており、コンフォートモードを選べばランフラットタイヤの不快な突き上げや、短い周波数の横揺れ感が、マイルドに抑えられていた。
独特な重厚感と述べたのには、きちんとした理由がある。
最新世代のBMWは軽量化をひとつの柱としており、この3シリーズも先代に比べて約55kgというダイエットを果たしている。そしてこのボディに引き締められたサスペンションを組み合わせると、その乗り味はどっしりと安定感が増す。ロール剛性を引き上げたことで安定感が増しながらも、ハンドルを切れば軽やかに向きを変える応答性の高さは、まさに軽さと重厚感を高い領域でバランスさせた独特な乗り味。同じDセグメントのライバルはもちろん、同族の5シリーズや7シリーズに対しても、圧倒的にスポーティなのだ。
そのハイパフォーマンスはサーキットでも体感済み
今回はこうしたM340iの実力を引き出す環境に恵まれなかったが、私は運良く南アフリカの「THE BMW FESTIVAL 2019」で、そのパフォーマンスに触れることができた。
かつてF1グランプリも開催されたキャラミ・サーキット。砂とホコリが路面にうっすらと舞うコンディションで、M340iはその真価を遺憾なく発揮したのである。
やはり何より感激するのは、BMW製ストレート6ターボがもたらす純度の高さだ。
低速域から分厚いトルクを発揮しながらも、そのトルクの出し方は極めて上質。1気筒あたり500ccの適切なシリンダー容量と、素早いターボの過給。ここに振動面で完全バランスされた直6エンジンの回転フィールが加わると、数値に表れない滑らかさがまず押し寄せてくる。
そして回転を上げるほどに、パワーが漲って(みなぎって)行く。本当にこのストレートシックスは、「漲る」という表現が相応しいユニットである。
自然吸気時代に感じた中間域の線の細さ。それを通り超したところで開花するパワーといったドラマ性は、なくなった。いや、ターボ化がこうしたドラマをゆっくり楽しむ時間を奪っただけなのだが、そこには確実にBMW製直列6気筒ターボの緻密な回り方、それが醸し出す世界観が詰まっている。
4WDシステム“xDrive”が、BMWの目指す理想的な走りへと導く
高い荷重領域においてMスポーツの足回りは、一般道での剛性感が考えられないほどしなやかにストロークする。ブレーキングでオーバーロードを与えればノーズの重さは出て来るものの、セオリー通りにコーナーの手前で速度を落とせば、きれいなフォームを描いてコーナーをクリアして行く。
ダスティーな路面でパワーを掛けるとテールが滑り出すけれど、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール:横滑り防止装置)を効かせている限りはオーバーステア一歩手前で姿勢をバランスさせてくれる。またそれがなくとも長いホイールベースと従順な過給圧コントロールによってスライドは止まり、そこから4WDの加速力でコーナーを立ち上がって行くことができる。
こうしたドライビングは新型M5で開花したのだが、BMWはxDriveを得たことによって、よりFRへの理想に一歩近づいたのだと私は思う。
M2やM3、そして真打ちM4は高出力化するエンジンパワーに対して後輪のグリップを高めざるを得ず、弱アンダーステアなセッティングを基本としている。だからそのドライブフィールは意外に“曲がり感”が少なく、運転も常にスナップオーバーステアを気に掛けた、難しいものとなる。雨の日などは、本当に緊張感が高い。
対してM5やM340iはFRベースとなる4WDを得たことで、むしろその姿勢変化はしなやか。FR以上にFR的な乗り味を得ている。だからこそ次期型M3/M4がFRとして登場するならば、どんなフットワークを身につけるのかが大いに興味深い。
日常に“少しの特別”を感じながら楽しめる“M”
こうしたハイスピードドライビングでの走りは、当然ながら普段から必要とされるものではない。サーキット走行にしたって、一般的なオーナーがそれを楽しむ機会というのは極めて少ないだろう。
しかしM340iやMシリーズは、一定のファンをつかむはずだ。オーナーはそうしたドライビングの可能性を愛車が持っていることに喜びを得る。日常に“少しの特別”を感じながら、これを楽しむ。だからこその“M”なのだ。
[筆者:山田 弘樹/撮影:茂呂 幸正]
3シリーズ随一の注目モデル「320d xDrive M SPORT」もテスト
今回試乗した新型3シリーズは、3種類のグレード。そんな中、最も硬派な乗り味を示したのは直列6気筒ターボを搭載する「M340i xDrive」だ。しかし最も注目を集めるのはきっと、先代モデルでも高い人気を博したディーゼルモデルの後継車「320d xDrive M SPORT」だろう。そして筆者も、これが一番真っ先に紹介するべき3シリーズだと感じた。なぜならそのエンジンが、抜群に素晴らしいのである。
<↓続きはこちらから↓>
BMW 3シリーズ M340i xDrive[4WD] 主要スペック | |
---|---|
車種名 | 3シリーズ |
グレード名 | M340i xDrive |
価格(消費税込み) | 980万円 |
全長×全幅×全高 | 4720mm×1825mm×1445mm |
ホイールベース | 2850mm |
駆動方式 | 4WD |
車両重量 | 1730kg |
乗車定員 | 5名 |
エンジン種類 | 直列 6気筒 DOHC ガソリンターボ |
総排気量 | 2997cc |
エンジン最高出力 | 285kW(387PS)/5800rpm |
エンジン最大トルク | 500Nm(51.0kg・m)/1800~5000rpm |
トランスミッション | 8速AT |
使用燃料 | 無鉛ハイオク |
燃料消費率(JC08モード燃費) | 12.4km/L |
燃料消費率(WLTCモード燃費) | 11.7km/L |
燃料消費率(WLTC:市街地/郊外/高速道路モード) | 7.8km/L/12.2km/L/14.4km/L |
タイヤサイズ | (前)225/40R19(後)255/35R19 |
【随時更新!】東京オートサロン2020最新情報 TOPページはこちらから
最後まで読んで頂いた方には超豪華な旅館宿泊のチャンス!
2019年12月17日からMOTAにてリリースされた「ドライブ/宿」企画。
今回は、MOTA厳選宿公開記念として、1組2名さまに抽選で当たる宿泊券プレゼントキャンペーンを実施します。
応募条件は、以下のページからMOTAのメールマガジンに会員登録し、当キャンペーンに応募するだけ。
この機会に是非ご応募ください! 中には1泊10万円以上の宿も…!?
どんな宿があるかは、ページ上部右端の「ドライブ/宿」ページで見れるので要チェック!
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。