明らかにMとは違う世界観。アルピナ スーパーディーゼルモデルを乗り比べる|アルピナD3&D4試乗(4/4)

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ディーゼルだからこそ味わえるアルピナマジックがある

帰路はこのD3を世田谷の基地までドライブした。

荷重領域が高いサーキットでは柔らかく感じられたシャシーも、オープンロードではD4より重厚な乗り味を示した。これは高い重心を支えるべく、足回りを少し固めているからだろうか。たおやかさという面ではD4の方が好みだが、それでもハイパワーユニットを搭載するFRとして考えると立派に“アルピナ”していた。

ちなみにアルピナの足回りは、彼らが独自に仕立てたものではない。それでもBMWが持つ部材の中から、よりハイレートなスプリングやスタイビライザー、そしてブッシュを巧みに選りすぐってはいるのだろうが、基本的にはBMWの素材を使い、電子制御ダンパーをアルピナの乗り味へとアジャストしただけなのだというから驚いた。

だからこそ、その味わいは“アルピナマジック”と呼ばれているのだと初めて知った。

後輪から分厚いトルクを押し出し、どっしりと走るその様は、高性能セダンとしての役目をまっとうしている。日本での使い勝手を考えればこれは、確かに5シリーズや7シリーズよりも乗り回しやすく、なおかつアルピナのバッジが静かにそのステイタスを守ってくれるから、ベストチョイスのひとつだと感じられた。

アルピナはそのエンブレムにウェーバーキャブレターとクランクシャフトを描くことからも分かる通り、かつてはエンジンチューナーとしても名を馳せたメーカーだ。BMWのエンジンを搭載しながらも、独自に鼻の脂を効かせたチューニングでマニアを唸らせる存在だった。

しかし昨今はBMW製エンジンそのものの性能が高まったことや、環境性能が厳しくなったことでその影は弱まった印象があった。

だが今回D3とD4をロングドライブしたことで、ディーゼル・ターボが彼らにとっての大きなアイコンになったのではないかと強く感じた。本家の「M」に対して、アルピナは元来の「B」シリーズもさることながら、この「D」シリーズとアルピナマジックの乗り味が、時代を捕らえていると思えた。

[筆者:山田 弘樹/撮影:佐藤 正巳,ニコルレーシングジャパン]

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