明らかにMとは違う世界観。アルピナ スーパーディーゼルモデルを乗り比べる|アルピナD3&D4試乗(2/4)
乗り出してすぐに体感できた『アルピナマジック』
まず往路でMOTA編集部にあてがわれたのは「アルピナ D4ビターボクーペ」だった。
そしてこの2ドアクーペは、世田谷の細い荒れた道を走らせた瞬間からいきなり、“アルピナマジック”を発動させた。
ベースとなるのは、現行4シリーズクーペである。現在BMWは3シリーズを新登場させたばかりだからまだ新型4シリーズのローンチはしておらず、言ってしまえばこれは旧シャシー。しかしその乗り味は恐ろしく“たおやか”で、古さなど感じさせない。それどころか大人の男を唸らせる乗り味を呈したのであった。
その乗り味には“癒やし”と“正確性”が同居していた。路面からの突き上げをサスペンションがしなやかに吸収し、バウンスは一発で抑える。ステアリングの反力は軽く、しかし遊びがないために、このゆっくりと起こるロールモーメントを正確に操ることができる。
折しも当日は東名高速道路の渋滞がひどく、中央高速まで一般道を走り山中湖へとアクセスした。都内の緩慢で、ときに抜け目ない割り込みが横行する渋滞のなか、D4の中だけは、心地良い移動空間としてスタッフとの会話が弾んだ。
そんなD4が静かに本領を発揮したのは、もちろん高速巡航に入ってからだ。特に八王子を超えてからの山間部では、このシャシーとエンジンのリズムが滑らかにマッチングしてきた。
D4に搭載されるエンジンは、2992ccの排気量を持つ直列6気筒ディーゼルターボ。BMWジャパンでもセダン/クーペ系は7シリーズ以上にしか搭載されず、XシリーズでもX3なら「M40」(240PS/680Nm)、X5以上に与えられるユニットをもつことが、ひとつのステイタスとなっている。
そしてこの出力は、350PS/4000rpm、700Nm/1500-3000rpmにまで高められている。
いや高められているというよりもそれは、余裕の地力と言えるだろう。浅いアクセル開度でもD4は確実に加速し、これを半分も踏み込めば簡単に追い越しをかけてゆける。むしろパドルシフトによる変速は、その強力すぎるトルクバンドを外すためにあるのかもしれない。
そしてこの動力性能に対し、4シリーズクーペのボディ剛性と、アルピナ仕込みのサスペンションが見事なまでに呼応する。
それは「M」とは対極の世界観だと思う。Mはより高い次元でのGフォースに備え、これに負けないサスペンション剛性を有する。それゆえに日常領域では鋭いステアレスポンスが得られ、オーナーはその俊敏性に満足する。当然だがその分だけ、乗り心地は犠牲となる。
しかしアルピナは“今”を見つめている。街中から快適な乗り味を保ったまま、これが高速領域においてもしなやかに追従することに、完璧に狙いを定めている。
だからといって、超高速領域でこれが破綻するようなものではない。むしろワインディングではこうした路面追従性を有することが安全に速く移動するための常套手段で、だからこそアルピナという名前を冠しているのだと筆者は思う。
アルピナ、つまりアルプス。欧州のワインディングを駆け抜けるには最高の一台という意味なのだろうと思う。
そしてこの乗り味には、むしろ現行3シリーズさえもが寄ってきた印象を持つ。
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