マクラーレンF1は、1992年に発表・販売されたスーパーカーで、運転席が車両中央に位置する3人乗りレイアウトやバタフライドア、627psを発生させるV12エンジンなど、独特なパッケージングやパフォーマンスが特徴的なモデル。
当時としては最先端であったカーボンモノコックシャシーを贅沢に使い、高い運動性能と快適性を兼ね備えた3人乗りスーパーマシンは、53万ポンド(当時のレートで約1億8000万円)という衝撃の価格で販売された。
エンジンは、6064ccのBMW製V型12気筒DOHC自然吸気で、最高出力627ps/7400rpm、最大トルク69.3kgm/4000-7000rpm。全長わずか60センチの高性能V12エンジンは、座席後方に位置する金箔で囲まれたエンジンルームに収められ、6速MTを介して後輪を駆動する。
バリエーションは、プロトタイプの「XP」、ロードカーの「F1」、レース仕様の「GTR」をラインナップ。1995年にル・マン24時間レースの総合優勝を記念した「F1 LM」を6台、1997年にレース仕様をロードカーにしたホモロゲーションモデルの「GT」が3台生産された。
エクステリアは、ミッドシップならではの特性を活かした低いフロントボンネット、空気を整流するフロントフェンダーからベルトラインに繋がる造形、緩やかに湾曲したフロントガラスがレーシングマシンを彷彿とさせる。
リアまわりは、派手なパーツが装着されておらず、ストンと切り落とされたようなスタイルだが、実は格納式のウィングが隠されている。このリアに格納されているウィングには、エアブレーキ機能も備わり、ブレーキング時に立ち上がる。
斜め上に向かって開く「ディヘドラル・ドア(バタフライドア)」を開けると、中央に位置する運転席と左右両方に設けられた助手席が目に飛び込んでくる。
20年以上の時を経て実現した1+2レイアウトの運転席に辿り着くためには、太いサイドシルを跨ぎ、助手席を経由し、センターコンソールを跨がなければならない。
運転席に辿り着くと、弧を描いて左右に広がるダッシュボードと視認性が良いメーターが目の前に現れる。中央に位置するタコメーターは、8200rpmまで刻んでおり、レッドゾーンは7500rpm。ちなみに、シートベルトは、レーシングマシンさながらの4点式を採用している。
マクラーレン F1
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