プリウスの走行中にNレンジに入れられますか?教習所も教えてくれない緊急時操作
- 筆者: 国沢 光宏
AT限定免許でも沢山の種類のATに乗れるが…
一昔前まで『AT』と言えばトルクコンバーターを使った多段ATだけだった。AT限定免許を取得する際、乗るクルマをイメージしていただければよかろう。しかし今やATにもたくさんの種類があり、それぞれ使い方のコツも全く違う。例えばイザという時、ニュートラル(=Nレンジ)にすることすら出来ないかもしれない。
ちなみに現在販売されているATは大ざっぱに分けて5タイプ。
1)前述のトルクコンバーターを自動クラッチとして使う多段AT
2)金属ベルトを使うスクーターのような無段変速CVT
3)VWが広く採用しているツインクラッチ
4)スズキなどで使われるAMT
5)ハイブリッドやEVなどモーターである
マニュアル車は今でもシフトレバー+クラッチしかなく、全く進化していないのと対照的にATの種類は多い。
ここで質問。『皆さんは自分のクルマで走行中、何らかの理由で暴走した際、ニュートラルに戻すことは出来ますか?』
昔ながらのトルコン多段ATなら、シフトレバーをニュートラルにすればよい。
ハイブリッド車などの緊急時操作は教習所でも教えてもらえない
しかし電子制御の変速機やハイブリッド車などは、セレクトレバーをニュートラルにしても受け付けてくれない。誤動作でニュートラルになってしまうと危険だからだ。そこでプリウスなら、Nレンジの場所で左に移動させ2秒間弱そのままの状態をキープしなければニュートラルにならない。
困ったことにこういった操作、教習所でもディーラーでも教えてくれない。下り坂でのエンジンブレーキだってそれぞれ違う。電子制御のCVTに慣れていると、自動的にシフトダウンしてエンジンブレーキを掛けてくれる。そんな人が普通のAT車に乗るとフットブレーキばかり掛けるためフェードしてしまうことも。
Dレンジでブレーキ離すとジワジワ進もうとするクリープ制御は「あり」「無し」がある。オーソドックスなトルコンバーター多段ATの場合、機械的にクリープするが、その他のATでは基本的にクリープしない。必要とあれば、クリープするような制御をすることになる。
ただクリープ制御を入れると燃費が落ちたり、変速機の寿命を短くすることもあるため、あえて入れないクルマだってある。クリープに慣れているドライバーが、無しのクルマ乗ると発進の時にアクセルを踏み過ぎてしまうし、逆だとブレーキを離して勝手に前に進まれ、ビックリしてアクセルとブレーキの踏み間違ったりする。
ということで、AT限定免許であっても初めてのクルマに乗るときは、どんな特徴を持つのかジックリ判別してから走り出すことをすすめておく。最低限、緊急時にはニュートラルに戻す方法だけでも知っておくといい。
[Text:国沢光宏]
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